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気づきたくなかった気持ち
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「梨音、ホントにごめんね。合コン初めてなのに」
私の後を追って来た玲奈が申し訳なさそうに謝罪する。
合コンのノリに戸惑ってクソ真面目にしか会話できない自分がいた。
きっと、周りの人たちも気を遣ってくれているんだろうなというのが肌で伝わってくる。
「私だけ浮いてる感じがするよね。玲奈に迷惑かけてない?」
「全然そんなことないよ。むしろ私は助かってるし」
「よかった。それより、もうそろそろ帰ってもいいかな?」
みんなそれぞれ盛り上がってたし、私ひとり抜けても全く問題はなさそうだけど、確認だけはしておかないと。
「うん、あの雰囲気なら大丈夫だよ。みんなに梨音は用事があるから先に帰るって伝えるね」
「そうしてくれると助かる」
二人で部屋に戻ると、玲奈はさっそくみんなに伝えてくれた。
「あのさー、梨音が用事があるから先に帰らせてもらうね」
「えー、もう帰っちゃうんだ。でも、用事があるなら仕方ないよね」
「そっか。気を付けて帰ってね」
先に帰るなんて言ったら場がシラケるかなと心配していたけど、全然そんな感じにはならなかった。
女性陣は私が急遽呼ばれたことを知っているので、用事があるということを納得してくれたんだろう。
明るくフォローしてくれ、社交的で周りの空気を読める人たちで本当によかった。
「ありがとう。ホントにごめんなさい」
軽く頭を下げ、荷物を手に部屋を出た。
通路を歩いていたら、誰かに呼び止められた。
「梨音ちゃん、待って」
振り返ると能勢さんがいた。
どうしたんだろう。
「あの、なにか?」
「駅まで送るよ」
「いえ、大丈夫です」
わざわざ送ってもらわなくても一人で帰れるし。
「そんなこと言わないで。送らせて欲しいんだ」
さすがに初対面の人にそこまでしてもらう訳にはいかない。
それに、私もバカじゃないので能勢さんが下心アリの人だっていうのは分かる。
「お気持ちだけで十分です。能勢さんは部屋に戻ってください。みんな待ってますよ」
やんわりと拒否し、早く解放して欲しかったのに能勢さんはただでは引き下がらなかった。
「じゃあ、連絡先だけでも教えてくれない?」
「あ、今はスマホの充電が切れちゃってるのでごめんなさい」
「電話番号ぐらいは覚えてるよね?」
連絡先を聞かれ、どう返事をすればいいのか頭をフル回転させていい答えを出せたと思ったのにそうきたか。
あまりのしつこさにどうしようか考えていたら誰かの手が私の肩に触れた。
そして、能勢さんから守るように私を抱き寄せたのはまさかの人物だった。
「梨音、どうした?」
「あ、立花さん……」
どうしてこんなところに立花さんがいるんだろう。
しかも今、私のことを"梨音"て呼んだよね?
「梨音ちゃん、この人誰?」
突然の男の出現に能勢さんが怪訝な表情で聞いてくる。
私が答えるよりも先に立花さんが口を開いていた。
私の後を追って来た玲奈が申し訳なさそうに謝罪する。
合コンのノリに戸惑ってクソ真面目にしか会話できない自分がいた。
きっと、周りの人たちも気を遣ってくれているんだろうなというのが肌で伝わってくる。
「私だけ浮いてる感じがするよね。玲奈に迷惑かけてない?」
「全然そんなことないよ。むしろ私は助かってるし」
「よかった。それより、もうそろそろ帰ってもいいかな?」
みんなそれぞれ盛り上がってたし、私ひとり抜けても全く問題はなさそうだけど、確認だけはしておかないと。
「うん、あの雰囲気なら大丈夫だよ。みんなに梨音は用事があるから先に帰るって伝えるね」
「そうしてくれると助かる」
二人で部屋に戻ると、玲奈はさっそくみんなに伝えてくれた。
「あのさー、梨音が用事があるから先に帰らせてもらうね」
「えー、もう帰っちゃうんだ。でも、用事があるなら仕方ないよね」
「そっか。気を付けて帰ってね」
先に帰るなんて言ったら場がシラケるかなと心配していたけど、全然そんな感じにはならなかった。
女性陣は私が急遽呼ばれたことを知っているので、用事があるということを納得してくれたんだろう。
明るくフォローしてくれ、社交的で周りの空気を読める人たちで本当によかった。
「ありがとう。ホントにごめんなさい」
軽く頭を下げ、荷物を手に部屋を出た。
通路を歩いていたら、誰かに呼び止められた。
「梨音ちゃん、待って」
振り返ると能勢さんがいた。
どうしたんだろう。
「あの、なにか?」
「駅まで送るよ」
「いえ、大丈夫です」
わざわざ送ってもらわなくても一人で帰れるし。
「そんなこと言わないで。送らせて欲しいんだ」
さすがに初対面の人にそこまでしてもらう訳にはいかない。
それに、私もバカじゃないので能勢さんが下心アリの人だっていうのは分かる。
「お気持ちだけで十分です。能勢さんは部屋に戻ってください。みんな待ってますよ」
やんわりと拒否し、早く解放して欲しかったのに能勢さんはただでは引き下がらなかった。
「じゃあ、連絡先だけでも教えてくれない?」
「あ、今はスマホの充電が切れちゃってるのでごめんなさい」
「電話番号ぐらいは覚えてるよね?」
連絡先を聞かれ、どう返事をすればいいのか頭をフル回転させていい答えを出せたと思ったのにそうきたか。
あまりのしつこさにどうしようか考えていたら誰かの手が私の肩に触れた。
そして、能勢さんから守るように私を抱き寄せたのはまさかの人物だった。
「梨音、どうした?」
「あ、立花さん……」
どうしてこんなところに立花さんがいるんだろう。
しかも今、私のことを"梨音"て呼んだよね?
「梨音ちゃん、この人誰?」
突然の男の出現に能勢さんが怪訝な表情で聞いてくる。
私が答えるよりも先に立花さんが口を開いていた。
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