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気づきたくなかった気持ち
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「あっ、梨音!こっちこっち」
十八時前に駅の銅像に向かうと、すでに玲奈が待っていて大きく手を振っていた。
「ちょっと、どういうこと?」
「急にごめんね。どうしても梨音にお願いがあって。早速だけど来て欲しいところがあるの」
そう言うと、私の腕を掴み歩き出す。
訳も分からずに歩いていると、玲奈はある店の前で足を止めた。
和風建築の外観のお洒落な居酒屋だけど……。
「この店に何の用?」
「ホントごめんね。今から合コンがあって」
「は?合コン?」
耳を疑い、素っ頓狂な声が出た。
私の怪訝そうな表情を見て、玲奈が眉を下げる。
「急に体調不良で合コンに来れなくなった子がいてどうしようかと思ってたの。それで、私がこの合コンに賭けていることを知っているのは梨音の他にはいなかったから電話したんだ」
「だからって急に言われても私だって困るよ」
手荷物たくさんあるし、普段着だし。
しかも、合コンなんて一度も行った事がないし。
私が渋っている様子を見て玲奈は謝ってきた。
「ホントにごめんね。だけど、この合コンだけはキャンセルはしたくなかったの。会費は私が出すから。お願い」
拝むように必死に頼み込んできた。
そういえば、玲奈は近々合コンがあると話していた。
その時に気になっている人がいると言っていて、合コンをすごく楽しみにしていたからこんなに必死なんだろう。
そんな玲奈を見て、私は腹をくくった。
「本当に会費は払わなくてもいい?」
私がそう言った瞬間、玲奈はパッと表情を明るくする。
「大丈夫!他の子にもフォローしてもらうし、梨音は飲んで食べててくれるだけでいいから」
「それならいいけど……」
「ホント?ありがとう」
玲奈はテンション高く抱きついてきた。
「もうみんな集まってるんだ。女子はあと二人いるんだけど、私の大学時代の友達で眼鏡の子が花田美紀、髪の毛がショートの子が尾崎綾子。私が梨音の隣に座るから安心して。じゃ、入ろう」
合コンは初めてだけど、私は人数合わせで、ただでご飯が食べれるってことで流れに身を任せていたらなんとかなるかな。
あっ、こういうのって立花さんに連絡するべき?
偽装彼氏だけど……そんなことを考えていたら玲奈に押されるように居酒屋に入った。
店内は木造ということもあり、木のぬくもりが感じられ、天井から吊るされたランプや照明が凝っていた。
カウンター席、テーブル席、個室と充実している。
玲奈と向かったのは掘りごたつ式の個室で、すでにメンバーは集まっていてお酒を飲んでいた。
十八時前に駅の銅像に向かうと、すでに玲奈が待っていて大きく手を振っていた。
「ちょっと、どういうこと?」
「急にごめんね。どうしても梨音にお願いがあって。早速だけど来て欲しいところがあるの」
そう言うと、私の腕を掴み歩き出す。
訳も分からずに歩いていると、玲奈はある店の前で足を止めた。
和風建築の外観のお洒落な居酒屋だけど……。
「この店に何の用?」
「ホントごめんね。今から合コンがあって」
「は?合コン?」
耳を疑い、素っ頓狂な声が出た。
私の怪訝そうな表情を見て、玲奈が眉を下げる。
「急に体調不良で合コンに来れなくなった子がいてどうしようかと思ってたの。それで、私がこの合コンに賭けていることを知っているのは梨音の他にはいなかったから電話したんだ」
「だからって急に言われても私だって困るよ」
手荷物たくさんあるし、普段着だし。
しかも、合コンなんて一度も行った事がないし。
私が渋っている様子を見て玲奈は謝ってきた。
「ホントにごめんね。だけど、この合コンだけはキャンセルはしたくなかったの。会費は私が出すから。お願い」
拝むように必死に頼み込んできた。
そういえば、玲奈は近々合コンがあると話していた。
その時に気になっている人がいると言っていて、合コンをすごく楽しみにしていたからこんなに必死なんだろう。
そんな玲奈を見て、私は腹をくくった。
「本当に会費は払わなくてもいい?」
私がそう言った瞬間、玲奈はパッと表情を明るくする。
「大丈夫!他の子にもフォローしてもらうし、梨音は飲んで食べててくれるだけでいいから」
「それならいいけど……」
「ホント?ありがとう」
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「もうみんな集まってるんだ。女子はあと二人いるんだけど、私の大学時代の友達で眼鏡の子が花田美紀、髪の毛がショートの子が尾崎綾子。私が梨音の隣に座るから安心して。じゃ、入ろう」
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