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優しさに触れて

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ふと、喉の乾きで目が覚めた。
今、何時だろう。
手探りで枕元に置いていたスマホを探す。
十九時か……。
時計を確認していたら、数件の着信とメッセージが届いていた。

立花さんと桐野さんからだった。
まず、桐野さんからのメッセージを表示させた。

【お疲れ様。体調はどう?しんどかったら無理せず、明日はゆっくり休むこと。返信不要、お大事に!】

返信不要とあったけど、ありがとうございますというスタンプを送った。
立花さんからも私を心配しているメッセージが書かれていた。

【体調はどう?何か困ったり必要な物があったら遠慮なく言って。いつでも連絡してくれていいから】

あれ、どうして立花さんは私が体調を崩していることを知っているんだろう。
不思議に思いながらも、優しい言葉に胸が温かくなった。

のろのろと起き上がり、体温計を脇に挟み熱を測る。
ピピッと音がし、数字を見ると37.5。
すぐに熱が下がるわけがないか。
でも、鼻の詰まりは若干解消されている。

キッチンに行き、冷蔵庫から水が入っているペットボトルを取り出しコップに入れて飲む。
冷えた水がすごく美味しい。
そうだ、立花さんに返信しておこう。

【返事が遅くなってすみません。まだ熱があり】

あっ、間違えて文章を打っている途中で送信してしまった。
慌てて次の文字を打っていたら、さっき送った文章が既読になり、そのあとすぐに着信音が鳴った。
スマホをタップして電話に出た。

「も、もしもし」
『もしもし、立花です。いきなり電話してごめん。今大丈夫?』
「はい」
『企画部に寄った時、高柳に君が体調不良で早退したって話を聞いたんだ』

なるほど、そういうことだったのか。
私が聞く前に立花さんが理由を教えてくれた。

「そうなんですね、わざわざありがとうございます」
『声からして大丈夫そうじゃないね』

私のガラガラ声を聞いて、症状を察してくれたみたいだ。

『何か食べたりした?』
「帰ってきた時にプリンだけ食べました」
『熱はまだあるんだよね。水分はちゃんととれてる?』
「水分はとれてます」
『そうか……。今から部屋に行くから』
「えっ、あの」

決定事項だと言わんばかりに宣言され、通話が終了した。
そして、数分もしないうちに私の部屋のインターホンが鳴った。
(え、早いんだけど!)
今の私はノーメイクだし、髪の毛もボサボサ。
部屋だって片付けていないのに……と室内を見回す。
それでも、このまま立花さんを待たせるわけにもいかないので玄関のドアを開けた。

立花さんはドラッグストアで購入したであろうビニール袋を手に私の部屋にやって来た。
この短時間で買い物は出来ないだろうから、仕事終わりに買ってくれていたんだろう。

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