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偽装恋愛、始めます
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先日、私の部屋に立花さんが来た時の会話が原因だ。
立花さんに料理を作る約束をしていて、その流れで私がお弁当を作っている話をした。
そしたら、立花さんが『いいなぁ』と呟いたので、私はまた『よかったら作りましょうか?』と口を滑らせた。
しまった!と思ったけど後の祭り。
立花さんは『いいの?』と目を輝かせ、無邪気に喜ぶ顔を見て引き下がれなくなった。
発した言葉は取り消すことは出来ないし『楽しみにしてる』とまで言われたから、プレッシャーだけど作るしかないでしょ。
特に何も考えず、私が普段使っている弁当箱を使用した。
自分用の弁当箱は何個か持っている。
男の人がどれぐらい食べるのかよく分からなくて、私のお弁当よりかなり多めに詰めた。
あと、おにぎりも追加で握った。
弁当箱を保冷バッグに入れて、出社前に立花さんに渡したんだ。
どこで食べるとか聞いてなくて、まさか社員食堂で食べるとは思わなかった。
しかも、そのお弁当について他人にそこまで詮索されるなんて想像していなかった。
(失敗)したなぁ。
次にお弁当を作るときは男性用の弁当箱を買って用意するべきだなって、次があるか分からないけど。
そういえば、お弁当は立花さんの口に合ってるかな。
そんなことを思っていたらスマホにメッセージが届いた。
【弁当美味しかった。ありがとう】
ドンピシャなタイミングで気になっていた返事が来た。
私はそれを見てホッと胸を撫で下ろした。
「友田さん、面白い話をしてるね」
「あっ、高柳課長!」
いつの間にか、高柳課長が私たちの背後にいた。
「翔真が手作り弁当を食べていたって本当?」
「本当です。社員食堂で二段重ねの可愛いお弁当箱をひろげていたのを見たんです。高柳課長は何か聞いてませんか?」
友田さんは興味津々といった様子で聞いている。
高柳課長と立花さんは同期で仲がいい。
もしかして、偽装彼女の話をしているのかもしれない。
私の心臓は早いリズムを刻みながら動いている。
「いや、何も聞いてないな。アイツは料理が苦手だから自分で弁当なんて作る訳がない。一人暮らしだから母親という線もない。意外と潔癖なところもあるから、自分が信頼していない人からの手作りなんて絶対に食べないと思う。ということは、ホントに彼女が出来たのかも」
高柳課長は話を聞いてないのか。
安心したのもつかの間、彼女という言葉に反応してしまう。
「やっぱりそうなんですか!」
「聞いてみないと分からないけど多分ね。もしかして、この話って広まってる?」
「どうでしょう。でも他の部署の人たちもザワザワしていたので……」
「そうか、じゃあ噂になるのも時間の問題だな。アイツは噂嫌いなくせに何を考えてるんだか……。それにしても社食で手作り弁当を食べる、ね。なるほど」
高柳課長はそう呟き、自分の席へと戻って行った。
私は噂になるのも時間の問題という言葉にヒヤヒヤしていた。
立花さんに料理を作る約束をしていて、その流れで私がお弁当を作っている話をした。
そしたら、立花さんが『いいなぁ』と呟いたので、私はまた『よかったら作りましょうか?』と口を滑らせた。
しまった!と思ったけど後の祭り。
立花さんは『いいの?』と目を輝かせ、無邪気に喜ぶ顔を見て引き下がれなくなった。
発した言葉は取り消すことは出来ないし『楽しみにしてる』とまで言われたから、プレッシャーだけど作るしかないでしょ。
特に何も考えず、私が普段使っている弁当箱を使用した。
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男の人がどれぐらい食べるのかよく分からなくて、私のお弁当よりかなり多めに詰めた。
あと、おにぎりも追加で握った。
弁当箱を保冷バッグに入れて、出社前に立花さんに渡したんだ。
どこで食べるとか聞いてなくて、まさか社員食堂で食べるとは思わなかった。
しかも、そのお弁当について他人にそこまで詮索されるなんて想像していなかった。
(失敗)したなぁ。
次にお弁当を作るときは男性用の弁当箱を買って用意するべきだなって、次があるか分からないけど。
そういえば、お弁当は立花さんの口に合ってるかな。
そんなことを思っていたらスマホにメッセージが届いた。
【弁当美味しかった。ありがとう】
ドンピシャなタイミングで気になっていた返事が来た。
私はそれを見てホッと胸を撫で下ろした。
「友田さん、面白い話をしてるね」
「あっ、高柳課長!」
いつの間にか、高柳課長が私たちの背後にいた。
「翔真が手作り弁当を食べていたって本当?」
「本当です。社員食堂で二段重ねの可愛いお弁当箱をひろげていたのを見たんです。高柳課長は何か聞いてませんか?」
友田さんは興味津々といった様子で聞いている。
高柳課長と立花さんは同期で仲がいい。
もしかして、偽装彼女の話をしているのかもしれない。
私の心臓は早いリズムを刻みながら動いている。
「いや、何も聞いてないな。アイツは料理が苦手だから自分で弁当なんて作る訳がない。一人暮らしだから母親という線もない。意外と潔癖なところもあるから、自分が信頼していない人からの手作りなんて絶対に食べないと思う。ということは、ホントに彼女が出来たのかも」
高柳課長は話を聞いてないのか。
安心したのもつかの間、彼女という言葉に反応してしまう。
「やっぱりそうなんですか!」
「聞いてみないと分からないけど多分ね。もしかして、この話って広まってる?」
「どうでしょう。でも他の部署の人たちもザワザワしていたので……」
「そうか、じゃあ噂になるのも時間の問題だな。アイツは噂嫌いなくせに何を考えてるんだか……。それにしても社食で手作り弁当を食べる、ね。なるほど」
高柳課長はそう呟き、自分の席へと戻って行った。
私は噂になるのも時間の問題という言葉にヒヤヒヤしていた。
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