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突然のお誘い
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しおりを挟む「きっとモデル体型の美人で料理上手で、非の打ち所のないような人なんだろうな。じゃないと難しいですよね。あ、そろそろ時間なんでお先に失礼します」
「お疲れさま」
自分の理想をペラペラと喋った後、軽い足取りでフロアを出て行く友田さんを見送った。
まさか友田さんの口から立花課長と金城さんの話が出てくるなんて思ってもいなかったから本当に驚いた。
実際にその場面を見てしまったんだよな。
それにしても難攻不落か……。
そんな人と一緒に食事に行ってもいいんだろうか。
手にスマホを持ったまま五分が経過していた。
机に突っ伏し、これからどうしようか考える。
そもそも、告白現場に居合わせただけで私は何もしていないから、立花課長にお礼とかしてもらう必要はないと思うんだけど……。
はぁ、とため息が出る。
「具合でも悪いの?」
そんな声が耳に届き、顔を上げるとすぐそばに立花課長の整った顔があった。
「っ!!!」
驚きのあまり声にならない声が出る。
「あ、驚かせてごめんね。河野さんから一向に連絡がないから気になって直接来てみたんだ」
そう言って笑顔を見せる。
ホント心臓に悪いんですけど。
「わざわざ来てもらってすみません。具合は悪くないんですけど、何て言って連絡していいか分からなくて……」
「そっか。俺に連絡しようと悩んでくれていたんだね」
立花課長は私が手に持っていたスマホに気づくと、嬉しそうに言う。
私は恥ずかしくなり、出来ることなら逃げ出したいぐらいだ。
男の人に仕事以外で電話したことなんてないんだから、それは悩むに決まっている。
「もう仕事終わった?」
「あ、はい」
立花課長は綺麗に片付けられている私の机に視線を向ける。
今、幸いにも企画部のフロアには誰もいない。
部長たちの打ち合わせが長引いているからだ。
私はいつでも帰れる準備は出来ていた。
「それじゃ、問題ないね。行こう」
そう言って立花課長は背中を向け、後を追うように企画部のフロアを出た。
私はその足で更衣室に行き、私服に着替えた。
今日の服装はミントグリーンのフリルブラウスに黒のワイドパンツ。
メイクを軽く直し、鏡を見ておかしいところがないか確認する。
それにしても、今日はジーパンとかじゃなくてよかった。
更衣室を出てエレベーターホールに向かう。
立花課長の車に乗って食事に行くみたいだけど、流石に社内で並んで歩く勇気はない。
立花課長と一緒にいるところを社内の誰かに見られたら何か言われそうだ。
それを何となく伝えたら、立花課長は察してくれて「地下の駐車場にいるから、着替えが済んだら降りてきて」と言ってくれた。
立花課長と食事に行くなんて、まだ信じられない。
改めて考えたらすごいことだよね。
エレベーターに乗り、ドキドキしながら地下の駐車場へと向かった。
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