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突然のお誘い
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六月の後半、今日は梅雨の合間の貴重な晴れの日。
オフィスから外に出ると身体いっぱいに太陽の光を浴びる。
やっぱり天気がいいと気持ちも明るくなる。
私はじめじめした雨より、晴れの方が好きだ。
河野梨音、二十五歳。
母親ゆずりのパッチリ二重は自慢だけど、少し鼻が低いのが残念ポイントだ。
肩までの長さのモカブラウンの髪は毛先だけパーマをあてている。
私が勤務しているのは文具メーカーの『ラブイット』。
文具、事務用品などの開発、製造、販売などを手掛けていて、自社ブランドを展開したり、海外にも力を入れ着実に実績を伸ばしている会社だ。
私は商品企画部で働いて三年目、まだまだ雑用も多いけど自分なりに努力している。
会社の敷地内には花壇があり、綺麗に手入れされている。
季節の花が植えられ、雑草はこまめに取り除かれていてちゃんと管理しているんだろうなというのがうかがえる。
六階建てのオフィスビルから倉庫までの道のり、花壇に咲いている花を見ながら歩いていると癒やされる。
いくつかベンチも設置されていて、そこで昼ご飯を食べる人もチラホラいる。
倉庫に着き、ドアを開けた。
ここは商品の在庫が保管されていて、すごく広い。
倉庫内は配送の準備などでせわしなく人が動いているし機械も稼働中だ。
中に入りキョロキョロと周りを見回すと、段ボールを手に持っている比嘉さんを見つけた。
「お疲れさまです。企画の河野です。桐野さんから商品の受け取りを頼まれたんですけど」
「あぁ、お疲れさま。話は聞いているよ。納品書を見せてくれる?」
私に気づいた比嘉さんは笑顔を見せた。
納品書を渡すと、比嘉さんは近くに置いていた段ボールの中身を確認する。
「うん、漏れはないみたいだね。ガムテ貼るからちょっと待ってて」
棚に置いていたガムテープを取り、段ボールに貼った。
「じゃ、これよろしく」
比嘉さんは持っていた段ボールを私に渡すと、忙しいのかすぐに背を向けて倉庫内の事務所に入っていく。
「ありがとうございました」
私はお礼を言って倉庫をあとにした。
元来た道を通り、オフィスビルに入りエレベーターのボタンを押そうとして足を止めた。
両手で段ボールを持っているので、そのままではボタンが押せれない。
一度、段ボールを下に置こうとした時、背後からスッと手が伸びてきてボタンを押すのが視界に入った。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
お礼を言おうと顔を上げたら、そこにいたのは営業部の立花翔真さんだった。
手足が長くモデルのような体型で、ダークグレーのスーツをお洒落に着こなしている。
サラッとした真っ黒な髪の毛に二重の切れ長の目は涼しげで、鼻筋の通った高い鼻。
薄い形のいい唇が弧を描き、微笑みながら私を見ていてドクンと心臓が跳ねた。
オフィスから外に出ると身体いっぱいに太陽の光を浴びる。
やっぱり天気がいいと気持ちも明るくなる。
私はじめじめした雨より、晴れの方が好きだ。
河野梨音、二十五歳。
母親ゆずりのパッチリ二重は自慢だけど、少し鼻が低いのが残念ポイントだ。
肩までの長さのモカブラウンの髪は毛先だけパーマをあてている。
私が勤務しているのは文具メーカーの『ラブイット』。
文具、事務用品などの開発、製造、販売などを手掛けていて、自社ブランドを展開したり、海外にも力を入れ着実に実績を伸ばしている会社だ。
私は商品企画部で働いて三年目、まだまだ雑用も多いけど自分なりに努力している。
会社の敷地内には花壇があり、綺麗に手入れされている。
季節の花が植えられ、雑草はこまめに取り除かれていてちゃんと管理しているんだろうなというのがうかがえる。
六階建てのオフィスビルから倉庫までの道のり、花壇に咲いている花を見ながら歩いていると癒やされる。
いくつかベンチも設置されていて、そこで昼ご飯を食べる人もチラホラいる。
倉庫に着き、ドアを開けた。
ここは商品の在庫が保管されていて、すごく広い。
倉庫内は配送の準備などでせわしなく人が動いているし機械も稼働中だ。
中に入りキョロキョロと周りを見回すと、段ボールを手に持っている比嘉さんを見つけた。
「お疲れさまです。企画の河野です。桐野さんから商品の受け取りを頼まれたんですけど」
「あぁ、お疲れさま。話は聞いているよ。納品書を見せてくれる?」
私に気づいた比嘉さんは笑顔を見せた。
納品書を渡すと、比嘉さんは近くに置いていた段ボールの中身を確認する。
「うん、漏れはないみたいだね。ガムテ貼るからちょっと待ってて」
棚に置いていたガムテープを取り、段ボールに貼った。
「じゃ、これよろしく」
比嘉さんは持っていた段ボールを私に渡すと、忙しいのかすぐに背を向けて倉庫内の事務所に入っていく。
「ありがとうございました」
私はお礼を言って倉庫をあとにした。
元来た道を通り、オフィスビルに入りエレベーターのボタンを押そうとして足を止めた。
両手で段ボールを持っているので、そのままではボタンが押せれない。
一度、段ボールを下に置こうとした時、背後からスッと手が伸びてきてボタンを押すのが視界に入った。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
お礼を言おうと顔を上げたら、そこにいたのは営業部の立花翔真さんだった。
手足が長くモデルのような体型で、ダークグレーのスーツをお洒落に着こなしている。
サラッとした真っ黒な髪の毛に二重の切れ長の目は涼しげで、鼻筋の通った高い鼻。
薄い形のいい唇が弧を描き、微笑みながら私を見ていてドクンと心臓が跳ねた。
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