君色ロマンス~副社長の甘い恋の罠~

松本ユミ

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策士の副社長の罠にはまる

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ぼんやりと目覚めた視界に見慣れない部屋が映る。

「えっ?」

身体を起こすと、ベッドに寝ていたことからここが寝室だということに気づく。
でも、自分の部屋ではないことに変な焦りを覚えた。

いったい、ここは誰の部屋?
重厚感のある黒とグレーでデザインされた寝室にセミダブルのベッド。
部屋の雰囲気やインテリアをみて男の人の物だというのが分かる。

私は何をしていたかなと自分の行動を思い出す。
副社長と一緒にご飯を食べて家に送ってもらうことになり、車に乗ったはずなんだけど……。
不意に寝室のドアが開いた。

「あれ、起きたんだ」

入ってきたのは副社長だ。
お風呂に入ったのか、ラフなスウェット姿でタオルで髪の毛を拭いている。

「ふ、副社長……」

私は驚きで目を見開く。

「意外に早く目が覚めたんだね」

そういうと、副社長はベッドサイドに近寄ってくる。

「あの、ここは……」

「うん。俺の部屋。また逆戻りしたね」

クスクスと笑う副社長に私はガバッと頭を下げた。

「すみません。私、送ってもらっているうちに寝てしまって」

車内でいろいろ話しているうちに睡魔に襲われたことを思い出した。

「別に謝らなくてもいいよ。気持ちよさそうに寝ていたから起こすのが可哀そうになって俺の部屋に連れてきたんだ」

やってしまった。
今までこんな失態を犯したことがなかったのに。
私のバカ!と睡魔に耐えられなかった自分を叱る。
それより、いつまでもお邪魔しているわけにはいかない。

「すみませんが、今は何時でしょうか?」

「二十三時ぐらい。朝まで寝るかなと思っていたからそっとしておいたんだけどね。起きたならシャワーを浴びておいで」

「でも……」

「時間も遅いし今日は泊ったらいいよ」

副社長は何でもないように言う。

「そんなことできません」

社長からお世話を頼まれたのに、役に立つどころか迷惑しかかけていない。
泊まるなんて滅相もないよ。

「伊藤さんは真面目だね」

目を細めながら言う。
色気たっぷりの表情にドキリとする。

「前から思ってたんだけど、伊藤さんは俺のこと苦手?」

「いえ、そんなことないです」

「ホントに?話しかけてもあまり目を合わせてくれないし、避けられているのかなと思って」

どうしてそんな風に思うんだろう。
それを言うなら私の方だ。

「副社長の方が私のことを苦手なんじゃないですか?」

「どういうこと?」

「だって、私は真面目過ぎて面白みもないから話しかけずらいですよね?話しかけられても上手い返しが出来ないのは自覚してます。それに私のことだけ苗字で呼ぶし……」

「えっ」

副社長はキョトンとした表情を浮かべている。
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