107 / 115
対決、そしてこれからもずっと
3
しおりを挟む
「いろいろとご迷惑をおかけしてすみません。テツには職場も紹介してもらってお世話になりっぱなしで」
「あら、迷惑なんて思っていないわよ。むしろ、哲平と一緒に住んでくれてありがとうって言いたいぐらいよ。それに美桜ちゃんはストーカー被害に遭っているかもしれないんでしょ。哲平じゃなくても心配するわ。困ったことがあったら何でも言ってね。私も出来る限りのことをするから」
「ありがとうございます」
テツママにもストーカーの話もしていることに驚いた。
いきなり息子が私と一緒に住むとか言い出したら、どうして?とは思うよね。
私の背景まで順を追って伝えてから同居の話を進めてくれたってことなのかな。
テツは強引と見せかけて、ちゃんと筋を通しているところは誠実でいいなと思うポイントだ。
「好きな子が危険な目に遭うかもしれないなんて考えたら居ても立っても居られない気持ちも分かるし。哲平も美桜ちゃんのお世話ができるなら本望じゃないかしら。というか、もう哲平から逃げれないけど大丈夫?」
テツママはクスリと笑った。
逃げられない、か……。
テツから離れるなんて今の私は想像すらできない。
今までの反動からなのか、テツのことが好きで仕方がない自分がいる。
「はい。もうテツと離れることは考えられないので」
「あら、可愛いことを言ってくれるのね。あーもう今すぐにでも美桜ちゃんにお嫁さんに来てほしいわ」
テツママが私の手をギュッと握ってきたとき、突然横から手が伸びてギョッとした。
「お袋、何やっているんだよ」
さっきまで違う場所で談笑していたテツが私とテツママを無理やり引きはがした。
「まあ、母親にまで嫉妬するなんて心の狭い男ね」
呆れるテツママを無視して、その息子は私の肩を抱き寄せる。
「美桜、そのドレスよく似合ってる」
耳元で囁かれ、顔が赤く染まる。
というか、母親がそばにいるくせによくそんなことが言えるよなと感心してしまう。
「ありがとう。テツはもう挨拶回りは済んだの?」
「ああ、主要どころは全部終わらせた。途中、面倒なのに絡まれたけど婚約者がいるって言って撃退した。これも美桜のお陰だよ」
テツは甘やかな視線を向けてきて胸がキュンとなる。
私の存在がテツの役に立ててるならよかった。
きっと、あの豊満ボディの女性にも言ってくれたはず。
「こんなところにいたのか」
こちらに歩み寄ってくるのは、肩幅が広くてがっしりとした体格の五十代ぐらいの男性。
目元とかテツに似ている気がする。
もしかして、テツのお父さん?
「あれ、うちの親父」
やっぱりそうなのかと思い私はペコリと頭を下げた。
「あなた、美桜ちゃんよ。覚えている?」
テツママに言われ、お父さんは真っ直ぐに私を見つめた。
何を言われるんだろうかと思わず身構えた。
「ああ、君がか。前に会った気がするが、哲平の父の鳴海和孝です」
優しい声で自己紹介してきて、私は緊張しながら口を開く。
「夏木美桜と申します」
「美桜さんの話は聞いているよ。哲平が我儘を言っているみたいですまないね」
「とんでもありません。むしろこちらがお世話になっているので」
テツがいなかったら、今頃私はどうなっていただろう。
想像すらできない。
「ところで、二人は将来結婚するんだよな」
「そのつもり。じゃないと、こんな場所に美桜を連れてこないよ。今日は俺の婚約者として親父たちに紹介したかったんだ」
「そうか。美桜さん、今日はわざわざ来てくれてありがとう。また後日、ゆっくり話がしたいと思うんだがいいかな」
「はい、ぜひ」
私の返事にテツのお父さんは穏やかに微笑んだ。
「あら、迷惑なんて思っていないわよ。むしろ、哲平と一緒に住んでくれてありがとうって言いたいぐらいよ。それに美桜ちゃんはストーカー被害に遭っているかもしれないんでしょ。哲平じゃなくても心配するわ。困ったことがあったら何でも言ってね。私も出来る限りのことをするから」
「ありがとうございます」
テツママにもストーカーの話もしていることに驚いた。
いきなり息子が私と一緒に住むとか言い出したら、どうして?とは思うよね。
私の背景まで順を追って伝えてから同居の話を進めてくれたってことなのかな。
テツは強引と見せかけて、ちゃんと筋を通しているところは誠実でいいなと思うポイントだ。
「好きな子が危険な目に遭うかもしれないなんて考えたら居ても立っても居られない気持ちも分かるし。哲平も美桜ちゃんのお世話ができるなら本望じゃないかしら。というか、もう哲平から逃げれないけど大丈夫?」
テツママはクスリと笑った。
逃げられない、か……。
テツから離れるなんて今の私は想像すらできない。
今までの反動からなのか、テツのことが好きで仕方がない自分がいる。
「はい。もうテツと離れることは考えられないので」
「あら、可愛いことを言ってくれるのね。あーもう今すぐにでも美桜ちゃんにお嫁さんに来てほしいわ」
テツママが私の手をギュッと握ってきたとき、突然横から手が伸びてギョッとした。
「お袋、何やっているんだよ」
さっきまで違う場所で談笑していたテツが私とテツママを無理やり引きはがした。
「まあ、母親にまで嫉妬するなんて心の狭い男ね」
呆れるテツママを無視して、その息子は私の肩を抱き寄せる。
「美桜、そのドレスよく似合ってる」
耳元で囁かれ、顔が赤く染まる。
というか、母親がそばにいるくせによくそんなことが言えるよなと感心してしまう。
「ありがとう。テツはもう挨拶回りは済んだの?」
「ああ、主要どころは全部終わらせた。途中、面倒なのに絡まれたけど婚約者がいるって言って撃退した。これも美桜のお陰だよ」
テツは甘やかな視線を向けてきて胸がキュンとなる。
私の存在がテツの役に立ててるならよかった。
きっと、あの豊満ボディの女性にも言ってくれたはず。
「こんなところにいたのか」
こちらに歩み寄ってくるのは、肩幅が広くてがっしりとした体格の五十代ぐらいの男性。
目元とかテツに似ている気がする。
もしかして、テツのお父さん?
「あれ、うちの親父」
やっぱりそうなのかと思い私はペコリと頭を下げた。
「あなた、美桜ちゃんよ。覚えている?」
テツママに言われ、お父さんは真っ直ぐに私を見つめた。
何を言われるんだろうかと思わず身構えた。
「ああ、君がか。前に会った気がするが、哲平の父の鳴海和孝です」
優しい声で自己紹介してきて、私は緊張しながら口を開く。
「夏木美桜と申します」
「美桜さんの話は聞いているよ。哲平が我儘を言っているみたいですまないね」
「とんでもありません。むしろこちらがお世話になっているので」
テツがいなかったら、今頃私はどうなっていただろう。
想像すらできない。
「ところで、二人は将来結婚するんだよな」
「そのつもり。じゃないと、こんな場所に美桜を連れてこないよ。今日は俺の婚約者として親父たちに紹介したかったんだ」
「そうか。美桜さん、今日はわざわざ来てくれてありがとう。また後日、ゆっくり話がしたいと思うんだがいいかな」
「はい、ぜひ」
私の返事にテツのお父さんは穏やかに微笑んだ。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
70
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる