再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~

松本ユミ

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素直に気持ちを伝える

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すっかり酔いもさめ、お風呂から出るとリビングのソファに座ってテレビ画面をじっと見つめていた。
今はテツが入浴中だ。

別にテツを待っている訳ではない。
何となく眠れなくてテレビを見ている……というのは口実だ。
テツがお風呂に入っている時に、リビングのテーブルの上に無造作に置かれていたテツのスマホに着信があった。

堂島さんからかもしれない。
あんな終わり方をしたから納得できなくて電話してきてるんだろうか。
それとも別の人?
いろいろと気になるけど、テツに直接聞くことなんて出来ない。
ソファの上で膝を抱え悶々としていた。

ガチャ、とリビングのドアが開き、上半身裸のテツが首にタオルを巻いて入ってきた。

「まだ、起きてたんだな」

テツが私の隣に座ってきて、慌てて視線を逸らし足を床につけた。
私の気持ちなんて知るよしもないテツは鼻歌混じりで濡れた髪の毛をタオルで拭く。
髪の毛も濡れ、上半身裸で色気駄々漏れ。
いくら慣れたとはいえ、こんな近さでそれは反則だ。

「美桜、何か悩みごと?」

「別に悩みなんてないけど」

「ならいいけど。さっき、何か考えているように見えたから」

膝を抱えていた私の姿を見てそう思ったんだろう。
テツは些細なことでも私の変化に気づいてくれる。
それだけ、私のことを見ているんだなと思ったら恥ずかしいけど嬉しさもある。
私が口を開こうとした時、再びテツのスマホの着信がリビングに鳴り響いた。
テツがスマホに手を伸ばし画面を見たけど、電話に出る様子もない。

「出なくていいの?」

「あぁ、どうせ仕事の電話じゃないからな」

平然と言ってのけ、スマホをマナーモードにしてテーブルの上に置いた。

「髪の毛、乾かしてくる」

そう言ってリビングを出ていった。

さっきの着信、仕事じゃないということは、プライベートな電話ということになる。
二十三時過ぎて電話してくる人は誰なんだろう。
やっぱりあの人からなのかな……。
考えれば考えるほどモヤモヤが募る。

「なに変な顔してんの?」

髪を乾かしてきたテツが私の隣に座ってきた。

「……変な顔なんてしてないけど」

「してる。あっ、もしかして電話のこと気にしてるのか?」

図星を突かれ、あからさまに視線を逸らしてしまった。
こんな態度をとったら気にしていると言っているようなものだけど、今さらどうすることもできない。

「えっ、マジで?冗談だったのに……」

私の反応を見たテツは驚きの声をあげた。
何よ、冗談なら冗談だって最初から言ってよ。
こんな目を逸らすとかしなかったのに!
墓穴を掘ったみたいで恥ずかしい。

「べ、別に気にしてないから」

テツに誰から電話がかかってこようが私には関係ないじゃない。
自分自身に言い聞かせる。

「それってさ、ヤキモチを焼いてくれたってことだよな」

テツが嬉しそうにニヤニヤしている。

「ヤキモチなんて焼いてないからっ!」

ふん、と鼻を鳴らしムキになって反論してしまった。
ああ、ダメだなぁ私。
どうして強がってしまうんだろう。

本当は気になっているのに、素直になれない自分が嫌だった。
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