再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~

松本ユミ

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新しい職場

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「社長、美桜はここで雇ってもらえるんだよな?」

「ええ。哲平のお墨付きの人なら大歓迎よ」

社長の言葉に私は安堵した。
どうにか働き口が見つかってよかった。

「不馴れなこともあってご迷惑をお掛けするかも知れませんが、よろしくお願いします」

「美桜さんには緑ちゃんの後任ということで事務全般をやってもらおうと思っているんだけど大丈夫?」

エクセルやワードは使えるし、事務なら頑張ったらどうにかなりそうだ。
与えられた仕事は精一杯頑張ろう。

「はい、大丈夫です」

「いつから出社できる?引き継ぎがあるので、出来れば明日からお願いしたいんだけど」

「明日からでも行けます!」

「じゃあ、明日からよろしくね」

「はい」

引き継ぎで教えてもらったことをちゃんと覚えなきゃ。

「とりあえず、今日は会社の中の案内でもしてもらうといいわ。その後、一緒にお昼御飯を食べましょう」

「はい、分かりました」

「社長、俺が美桜を案内してもいい?」

テツが口を挟んできて、社長はため息をついた。

「なに言ってるの。あなたはさっさと仕事しなさい」

「おばさんのケチ」

「こら、おばさんじゃないでしょ。ここでは社長と呼びなさい」

「分かりましたよ、社長!」

注意されたテツは“社長”の部分を強調して言うと、立ち上がった。

「哲平、美桜さんのことが気になるのも分かるけど、自分の置かれている立場を忘れては困るわよ。しっかり実績を積んで次のステップへ進む準備をしなさい。何のためにこの会社に来たの?」

厳しいけど愛情のある言葉だ。
現にテツの表情が明らかに変わった。
どう表現していいのか分からないけど、キリッとして隙がない感じだ。
その姿に思わず見入ってしまった。

「美桜、ゆっくり社内を案内してもらって。じゃあ、仕事してくる。失礼しました」

軽く頭を下げ、テツは社長室を出ていった。

「哲平は美桜さんの前では素を見せているのね」

社長はクスッと笑う。
素を見せる?
不思議に思っていると、社長は私を見て微笑んだ。

「あの子、外面は完璧だけどちょっと子供っぽいところがあってね。聞いていると思うけど、父親の会社を継がないといけないからそれなりに重圧があると思うの。仕事中は一切隙を見せなくて、どこかで息抜きをしないと心身共に壊れてしまう。だから、ありのままの姿を受け入れてあげれる人や場所が必要だなと思っていたの」

隙がないというのは、さっき私が感じた仕事中のテツの姿だ。

「この会社で哲平の事情を知っているのは私と副社長、緑ちゃんだけなの。この三人は素の部分を知っているけど、他の社員からしたら自分のことは全く喋らない秘密主義の男って思われているのよ。あの子、自分のことを聞かれるのは嫌だから適当にかわしているんだけどね」

社長はお茶に口をつける。
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