再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~

松本ユミ

文字の大きさ
上 下
17 / 115
二人の関係を変えた夜

しおりを挟む
何か頭が重たいな……。
薄っすらと目を開けて見えた天井をしばらく眺めていてアレ?と思った。
ここはどこだろう。

私の部屋じゃない……よね?
それに、この頭の痛さは二日酔いだ。
痛む頭を押えつつ、どうしてこんなことになったのか考える。

昨日はテツと一緒にバーに行った。
その時に昔のことを謝罪してもらい、スッキリした気持ちでお酒をたくさん飲んだ。
お酒代のことも考えて、テツの部屋で飲み直そうとか言った気がするけど……それからどうしたんだっけ?
思い出そうとして寝返りを打った時に信じられないモノが視界に飛び込んできた。

寝息を立てているテツの無防備な寝顔がそこにあった。
えっ?
驚いて身体を起こした時、布団がずり落ちて気づく。
私、何も着てないんだけど!
どうして裸なの?
さっきから肌に直接感じるシーツの感触に違和感を覚えていたんだ。
次から次へとあり得ない状況を目の当たりにして頭が真っ白になる。

私、テツとそういう関係になったの?
いやいや、そんなバカな……という信じられない気持ちと同時に、下腹部に鈍い痛みが残っている。
これは初めて経験する感覚だけど、紛れもなくテツとそういうことをしてしまったんだと思わざるを得ない。

ふと、周りを見回すとベッドの下に私が着ていた服や下着が落ちているのが視界に入った。
(ギャー!)
脱ぎ散らかした感じにいろいろと恥ずかしくなり、顔を覆いたくなる。
取り合えず、服を着なきゃ。
テツを起こさないようにそっと手を伸ばして下着を拾って身に付ける。
カットソーを拾うためにべッドから降りようとした時、低く掠れた声が耳に届いた。

「起きたのか?」

「ヒッ!」

身体がビクリと跳ね、思わず変な声が出た。
テツがゆっくりと起き上がると、裸の上半身が目に入る。
細身だけどしっかりと筋肉はついていて、バランスのとれた身体つきに思わずガン見する。
あれ?左腕に引っかき傷のような赤い筋がある。
怪我でもしたんだろうか。

「あぁ、これか」

私の視線に気付いたテツは左腕の引っかき傷を擦る。

「痛みはないから気にするなよ」

気にするなってどういうこと?
テツの言い方からして、私が引っかいたんだろうか。
ホントに何があったんだ、昨日の私!
現状からして答えはひとつのような気がする。

「あの、もしかして私たち……」

「もしかしてって、まさか覚えていないのか?」

テツは呆れたというか、困惑したような表情になる。

「えっ、いや、その……」

答えにつまり視線をさ迷わせる。
この状況で覚えていないとは言いづらい。
かといって、思い出そうとしても思い出せない。

「覚えてないなら身体に聞いてみる?」

「か、身体って……」

アワアワと動揺している私を見て意地悪な笑みを浮かべると、腕を掴まれ引き寄せられた。
テツの顔が間近に迫ってきたと思ったら、私の唇に柔らかな感触があった。
触れたのは一瞬だけだったけど、今の私には効果は絶大だ。

「どう、少しは思い出した?昨日はもっと濃厚なやつをしたけど」

ニヤリと口角を上げる。
もっと濃厚なやつって……!!!

どうしてこんなことになったんだろう。
まだ酔ってるのかな?
もしかして、これは夢……?
そうだ、もう一度寝たら自分のベッドの上で目覚めるかもしれない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

イケメン副社長のターゲットは私!?~彼と秘密のルームシェア~

美和優希
恋愛
木下紗和は、務めていた会社を解雇されてから、再就職先が見つからずにいる。 貯蓄も底をつく中、兄の社宅に転がり込んでいたものの、頼りにしていた兄が突然転勤になり住む場所も失ってしまう。 そんな時、大手お菓子メーカーの副社長に救いの手を差しのべられた。 紗和は、副社長の秘書として働けることになったのだ。 そして不安一杯の中、提供された新しい住まいはなんと、副社長の自宅で……!? 突然始まった秘密のルームシェア。 日頃は優しくて紳士的なのに、時々意地悪にからかってくる副社長に気づいたときには惹かれていて──。 初回公開・完結*2017.12.21(他サイト) アルファポリスでの公開日*2020.02.16 *表紙画像は写真AC(かずなり777様)のフリー素材を使わせていただいてます。

溺婚

明日葉
恋愛
 香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。  以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。  イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。 「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。  何がどうしてこうなった?  平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?

【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

雪井しい
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。 【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】 ☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆ ※ベリーズカフェでも掲載中 ※推敲、校正前のものです。ご注意下さい

睡蓮

樫野 珠代
恋愛
入社して3か月、いきなり異動を命じられたなぎさ。 そこにいたのは、出来れば会いたくなかった、会うなんて二度とないはずだった人。 どうしてこんな形の再会なの?

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

あなたが居なくなった後

瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの専業主婦。 まだ生後1か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。 朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。 乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。 会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。 「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願う宏樹。 夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……。

身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】 妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。 結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。 何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

処理中です...