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冥界
持てない自信
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「はあ……」
ため息をつきながら目の前に広がる蓮池を眺める。
どうしてこうなってしまったのだろう。
地下にいる間に日が昇り、いや、日が漂いあたりは春のような暖かさになっていた。
昼間のように明るくても、空には月がうっすらと浮かび、こちらをずっと見つめてくれている。
女王様とジニアにはしばらく一人になりたいとお願いし、蓮が咲き乱れる地上まで戻ってきた。
女王様は様子を見てゆっくり頷いてくれたが、何か言いたげにしていたことが少しだけ気がかりだ。
少しでも開放感がある場所――学校の屋上のように、広大な青空を見上げることが出来る場所――の方が気分を楽にできると思ってここまできた。
しかし、太陽がまったく別のものな上にずっと月が見えているからか、屋上で空を見上げた時と全く違って思いを馳せることも、嫌なことをすべて忘れることもできなかった。
むしろ、とても奇妙な気分になってしまうので、今こうして蓮の咲き乱れる巨大な池を眺めながら座っている。
この世界は月を中心に回り、空を明るくしている太陽はユグドラシルの実だそうな。
ここは夢の中なんだと思いたいが違和感を感じる。
これはきっと本の中にある世界なのだと思い込もうとしたが結局それもうまくいかなかった。
言葉に出来ないモヤモヤした何かがずっと自分の中にあり続けている。
きっとまだ、知らないことがたくさんあるのだろう。
なんとなくそうは思っても、それが何であるのかまったく検討もつかなかった。
この受け入れがたい非現実を冷静に捉えたら、落ち着くことができるかもしれない。
女王様から聞いた話を整理して自分が置かれている立場について再確認する。
この世界にはマナが存在し、そのマナは月から大地へ注がれているのだという。
マナなんて現実世界にはないし、マナって具体的にどのようなものなのか、どうやってその流れを調べたのか、魔法を使うために必要なエネルギーという認識でいいのだろうか、気になることは多々あれどファンタジー小説でしか読んだことがないので仮説を立てるのも難しい。
ひとりになって、落ち着いて話を振り返ると質問や疑問が浮かんできてくれる。
マナの次はこの世界にある領地について説明してもらった。
ここは『空中庭園』という領地で、ユグドラシルの木に支えられている大地、つまりここは地上ではなく樹に支えられている土地で、地上から遠く離れているのだ。
ユグドラシルは地上に根を張っていて、ここから見上げたよりもずっとずっとでかい樹ということ。
領地の端までいくと、地上を一望することができてとてもいい景色なのだそう。
ユグドラシルの樹から吹き上げていた風は地上から送られていたものだろうか。
それなら、蓮から吹き上げていたあの風はなんだったのか。
また新たな疑問がでてきて、少し楽しくなってくる気分を噛み締めながら、次に教わったことを反芻する。
空中庭園の他に、アトランティス、コロッセオ、アルカディアという領地があるそうだ。
アトランティスは小さな群島を中心に、海と川が領地の大半を占めている場所。
コロッセオは火山――死火山と活火山両方――やカルデラがたくさんある荒れ地。
アルカディアは地下に存在する領地で、出入り口がどこにあるのか、どんな特徴があるのか誰も知らないのだという。
最後に、幻と言われる領地ユートピアがどこかにあり、そこへ辿り着いたら誰も帰ってこないと言われている。
本当に存在するのか、はたまた存在しないのか、帰ってきた人がいないので誰も知らない。
「誰も帰ってきた人がいないくらい素晴らしい領地」
ユートピアと呼ばれているのは、そのような表現が取られるようになってからだといわれている。
他の一説によると、ユグドラシルから乙女の美しい歌声が聞こえてくることがあり、その歌声を聴いた人はしばらくずっとうっとりし続け、話しかけても気が付かないのだという。
歌の素晴らしさを表現しようとするが、表現も再現もしきれないほど素敵なのだそうな。
また聞くことができたらと恋焦がれ、ユグドラシルの頂上、あるかどうかもわからない空の国を求めてやまなくなる。一種の依存症に近い状態になるらしい。
最終的に空を目指して研究に没頭するようになる。それが旅であれ発明であれ文学であれ、空に恋焦がれるのだとか。
それほどまでに美しい歌を今までに聴いたことのないので、いったいどんな歌声で、どんな歌なのか知りたい衝動に駆られながら、これも戻った時に質問しようと決めた。
そろそろ女王様とジニアが待つ蓮へ戻ろうと腰をあげ、再び空を見上げると、さっき見上げた時とは違った奇妙な何かを感じた。
どうしてここの空はこんなにも奇妙なのだろう? 真昼でも月が見えて太陽が空を漂うから?
奇妙さの正体について考えながら元きた道をたどり、蓮のエレベーターがある葉に到着すると、待っていたらしきジニアが出迎えてくれた。
「おかえりなさい」
優しい口調で微笑みながら出迎えてくれたからか、心が温まってくるのを感じた。
おかげで自然と微笑むことができる。
「ただいま」
ジニアがもっと嬉しそうに微笑んでくれるので、今よりもっと幸せな微笑みを浮かべてしまうのだった。
とても不思議な感じ。こんな気分、いつから忘れてしまっていたのか。
思い出そうとしても、思い当たることなんてひとつもない。一つもないと思っているのに、頭がずきずきと痛んでくる。
いつからか人の顔色を伺い、窮屈な毎日を送ってきた。
嬉しい事があってちょっとニヤついていたら一人ぼっちを味わったからだろうか。
「何もないのに笑っていて気持ち悪い」
そうやって笑うことを許されなかったこともある。
そう、一人ぼっちだったんだ。
真くんが転校してきて、僕は一人ぼっちじゃなくなった。
真くんはすごく安心させてくれるし信頼できて幸せだった。でも、窮屈だったんだ。
どうして?
僕が笹倉くんを怒らせたから?
違う、そうじゃないんだ。僕は僕自身で窮屈な思いを強いていたんだ。
幸福な瞬間から思いがけず、友達へ最後に投げかけた言葉を思い出す。
忘れ去っていた事実に気が付き、浮かんでいた微笑みが消え失せた。なんてひどいことを言ったんだ。
その様子を見ていたジニアは心配そうな表情に切り替わる。
「どうかしましたか」
いつものように優しく問いかけてくれた。
ジニアからの問いかけは耳に入っておらず、急激に現実世界のことが気になり始めた。
僕は今どれくらいの時間眠っているのだろう。
早く起きないと遅刻するのではないか? 真くんはどうしているのか? もし僕が学校を休んだら真くんはどうなってしまうの?
「僕は、僕はいつになったら目が覚めるの?」
思いがけずそんな疑問を口にし、驚きながらジニアを見ると、同じように驚いた表情を浮かべながら、かなり動揺した様子で口をパクパクさせている。
「僕はいつになったらこの夢から覚めるの?」
ジニアの表情を見ていると不安になりもう一度問いかけてみると、どういう訳か少し安心した表情を浮かべ、ひとつ息を吐いてからまた微笑みかけてくれた。
「夢というのは、覚めたくて覚めるものじゃありません。覚めたくなくなった時に覚めることが多いものです。夢の中で過ごした時間が長くとも、現実ではあまり時間が流れていないものですよ。安心してください」
そう言われると、微笑みの効果もあるのだろう、落ち着きを取り戻すことができ、話を振り返っていた中で聞きたいことがいくつかあったのを思い出した。
好奇心を抑えることができず、雪崩でも起きたかのように質問を浴びせてしまった。
「マナってどういったものですか? 僕のいた世界にはないものだったので、いまいち想像できなくて。ほかに、ユグドラシルと蓮の中で吹いていた風はいったいどこから吹いているのでしょう? ユグドラシルから聴こえる歌はどんな歌声でどんな旋律でどんな雰囲気なのかとても気になります! 僕も聴いてみたいなあ」
しばらく考える素振りを見せた後、ジニアはいつものように微笑む。
「ユグドラシルから聴こえる歌は風の噂で聞いたことはありますが、誰も表現できたことがないので、僕も知らないのです。突然ですが、この世界にも本があります。僕の家に本がたくさんあるので、よければ帰って読みませんか。ひょっとすると、どこかに載っているかもしれません。女王様から、もう一度ここに来なければならないことはない、いずれまた顔を合わせるので自由にして良いと言伝を預かっています。もし帰るのであれば、帰りながらマナと吹き上がる風についてお話します。もし女王様の元へもう一度行くのなら、エレベーターの中でお話します」
挨拶もなしに帰るのは気が引けるが、それを理由に会いに行ってしまうと、自由にして良いという気遣いをないがしろにしてしまいそうだ。
もう一度顔を合わせる機会もあるようなので、今義務的に会いに行くとかえって迷惑をかけてしまうのではないかとも思う。
しばらく悩んだ末にジニアと一緒に家へ向かうことにした。
ジニアの家に向かう道すがら、マナについての説明をしてもらえるのが嬉しくてたまらなかった。
マナとは、この世界に溢れる資源、目に見えないエネルギーの奔流で、五つの属性――火、風、水、地、雷――があるそうだ。
これらの属性は、領地によってバランスが異なっており、このバランスは保有している精霊が影響しているのだという。
精霊は月から降り注ぐマナをより多く受け取り、保有している領地へ還元することができる。
精霊の属性によって受け取りやすいマナの種類が異なり、マナのバランスが領地ごとに異なる仕組みなのだ。
空中庭園にはノームという地の精霊がいるので、地属性のマナが豊富にある。おかげで肥沃な大地に恵まれており、植物が育ちやすいのだそうな。
アトランティスには水の精霊ウンディーネがいるので、様々な種類と豊富な水、海産物に恵まれている。
コロッセオには火の精霊イフリートがおり、火を扱う文化――料理や鍛冶、お風呂等が発達しているらしい。
アルカディアには雷の精霊レヴィンがいるそうだが、ここがどんな場所なのかは知られていない。
「残る風の精霊がユートピアにいるということ?」
「そう考えられています。ただ、不思議な事に、どの領地もシルフを所有していないにも関わらず、風のマナが十分補充されているのです。ひょっとすると、風の精霊は存在しないかもしれないし、裕樹さんがおっしゃったように、ユートピアにある説もあります。どのようにして風のマナを溢れさせているのかわからないままなので、様々な可能性があります。蓮から吹き上がる風はマナを利用したものなんですよ。ユグドラシルから吹き上がる風は実のところ、コントロールされているものではないのです。自然と吹き上がっているもののようです」
この世界にはまだわからないことがたくさんある。
現実世界でもわからないことはたくさんあったけれど、この世界の不思議はとても魅力的でわくわくしてくる。
「着きましたね」
薄暗い中で見た時には気づかなかった、煙突のような縦に長い建物が家の後ろにそびえているのが見えた。
あれが本を置いている建物だろうか。
明るい今、ジニアの家を改めて見てみると暗い時より少し小さく見えるのだった。色が全体的に暗いから、少し大きめに認識していたのかもしれない。
煙突のような建物の前は日当たりがよく、近くには藤棚があり、その下には木でできたテーブルとベンチが置かれていた。
ジニアと一緒に煙突のような建物に入ると、壁がすべて本棚になっていた。
螺旋状に階段が取りつけられており、階段に合わせて本棚も螺旋状に並んでいてすべての本に手が届くよう工夫されていた。
真上はガラスでできた天井で、光が降り注いでくるようになっていたが、天井が高すぎるためか光が全体に届いておらず、カグヤアオキノコがなければ字が読めなかった。
それがむしろ本を保存しておくにはちょうどいい薄暗さをしている。
少なくとも僕にとっては居心地がとても良く感じられる空間だった。
こんな建物が現実にあったらすごく嬉しいな。
理想的な建物との邂逅に胸をときめかせていると、ジニアが一冊の本を手に取った。
「まだここにある全部の本を読んだことがないんです。この本なんてどうでしょう」
渡してくれた本は『精霊と伝説』というタイトルで、作者は『学者』だった。
「シルフについて載ってそうなタイトル。ひょっとすると、ユグドラシルから聞こえる歌についても載ってるかもしれないね」
ジニアに招かれ、藤棚の下にあるベンチに座り、そっと本を開く。
隣にはジニアが近すぎない程度の場所に腰を掛け、二人で一緒に読んでいくことになった。
二人で一つの本を一緒に読むのは初めての経験で、最初は相手が読み終えたかどうか気にしながらページをめくっていたが、ジニアの読むスピードはほぼ同じだったため、慣れてくるとだいたい読み終えたかどうかがわかるようになった。
早く読まないと、というプレッシャーがなければ、読み終えてないのにページをめくってしまったらどうしようという心配もなく、あっという間に読み終わってしまった。
やっぱりこれは夢なんじゃないかなあ。すごく気が楽だ。現実だときっと読みづらいだろうに。
そんなことをしみじみ思いつつ、読んだ本の内容を思い返していく。
この本によると最初は闇の精霊、光の精霊も存在していたのだという。
現実世界にある伝説と同じで、この世界の伝説でもはじまりの世界は闇に覆われていた。
♢
世界に初めて光が生じたことにより、闇は闇、光は光と認識された。
もし仮に世界が光で覆われており、闇が生じたのであっても同じだったはずだ。
闇が生まれ、光が生まれた時、双子の精霊が生まれた。
この二人の精霊はいつでもどこでもぴったりと寄り添っていた。
二人で一人、一人で二人の精霊。
何人たりとも二人の絆を引き裂くことなどできなかった。
しかし、二人は天と地に引き離されてしまった。
二人は精霊でいられなくなり、光は空の光に、闇は地上を覆う暗闇に還っていった。
引き離されてもなお、二人はともにあろうとし、光の隣には闇が、闇の隣には光が存在する世界ができた。
二人の強い想いは他の精霊――シルフ、ドライアド、イフリート、ウンディーネ、ノームの五体――を生みだした。
精霊たちは地上の闇に優しく抱きしめられ、月からは溢れんばかりの愛情を注がれた。
五体の精霊はいつも一緒に過ごし、かつての二人がそうであったようにずっと寄り添い合っていた。
どこへ行くにも五人は一緒。
五人が訪れた土地は豊かな自然に恵まれ、これ以上ないほど栄えたが永遠に続くことはない。
五人はそれが少しだけ寂しかった。
五人の異なる個性がそれぞれ豊かに成長し、やがて地上は溢れんばかりの命に恵まれた。
五人にとってとても嬉しい出来事でそれはそれは喜んだ。
最初にユグドラシルが、次に太陽、次にあらゆる生命体と順番に生まれていき、最後に人間が生まれた。
五人にとって、どの生命も等しく愛しい宝物。
順番に平等に、マナの恩恵を授けて回り、順番に平等に耐え忍ばせた。残念なことに、生命が溢れたところでマナの恩恵は永遠に続かなかった。
一部の人間にはそれが我慢ならなかった。
己の自由と欲望のため、あらゆるものを奪い取るようになった。
必死に耐えて待ちわびていた精霊の恩寵が手に入りそうなその瞬間、我慢を知らぬ人間たちに唐突に奪い取られ、蹴落とされる人々。
五人の精霊は悲しみ、憤り、後悔し、絶望した。
どの子も等しく愛していたはずだったのに、大切だったはずなのに、もう同じように愛せなくなってしまった。
五人はもう各地に恵みをもたらすのは辞めにしようと、一緒に姿を隠そうと決めたが遅かった。
人間たちの欲望はすでに五人へと向けられてしまっていた。
欲深き人間たちは精霊を奪い合い、隠れることができないよう縛り付け、争いの末に今の領地ができあがった。
精霊たちは離れ離れにされ、酷く傷つき、寂しさに覆われ、より一層後悔した。
しかし、離れ離れになっていても五人はともにあった。
月と大地は五人をずっと結びつけ、寂しさや負の感情を紛らわせ続けていたのだ。
自分たちのような思いはさせまいと、希望はどこかにきっとあると。
♢
世界ができた馴れ初めと精霊の話、人間の業の深さについて書かれていた。
人はどこの世界でもやっていることは同じなんだ……。
それはさておき、本当に光と闇の精霊は存在していたのかどうか、一体なにが双子の精霊を引き離したのだろうか。
それともこの精霊は架空の精霊で作り話なのだろうか。
この本を読んでみて、精霊は本当にいるのかどうか疑問を抱いた。
もし本当にいるのであれば、シルフも存在している可能性が高い。
それに、レヴィンの代わりに書かれているドライアドとは何の精霊だろう。
今まで現実で読んできた本の知識を元に推測すると木の精霊だろうか。
どのようにして、いつレヴィンという精霊がでてきたのか。
文中にある『月からは溢れんばかりの愛情を』はマナのことを指しているのではないかという憶測も立ててみる。
確証を得るためにすることは、精霊をこの目で見てみるということ。
知りたい。本当に精霊が領地ごとに存在しているのかどうか。
でも、どうやって確かめる? 女王様の元へ行き、お願いをすれば案内してもらえるのだろうか。
自問自答をしながらふと顔を上げ、ジニアの家周辺にある木を眺めていると、思考が遮られるほどの衝撃を受けた。
「この木……」
見間違いだろうか。
幼いころ、亡くなった陽太と一緒に図鑑でみて憧れていた木にそっくりな木が並んでいるのだ。
この木は寄りかかると夏でも涼しく、枝には鳳凰がとまるという伝説がある。
とても神秘的で想像しただけでも癒やされたのを覚えている。
「近々女王様の元へ行きますか?」
ジニアの問いかけで我に返る。
「もしできるのであれば……」
目の前の木に目をやり、思考が逸れるまでに考えていたことをジニアは提案してきた。
ひょっとすると、同じことを考えていたのかもしれない。それとも……。
でも、それよりも、直接ジニアに尋ねたかった。どうしてこの木を植えているのかについて。
聞きたいけど聞けない。
理由はわからないが、頭がずきずきしてくるのだけは確かだった。
もし聞いてしまったなら逃げ出してしまう自信しかない。
怖くて仕方がない。
悪い方向に考えると歯止めが利かなくなってくる。
歯がガチガチ音を立てるほど震え、目眩がしてきた。
「聞いておいて、こう申し上げるのはおかしいかもしれませんが、今日はもう女王様と会えないと思います。もうすぐ夜になるので……。寒いですか?」
心配そうにジニアが表情をうかがってくれた。
ほんの少し落ち着くことはできたけれど、木に関する疑問だけが頭に残る。
「うん……。ちょっと冷えちゃったかも。心配かけてごめんなさい。時間の流れって早いですね」
心臓がバクバクと鳴り、体の震えをより一層強めている。
苦しすぎて呼吸もままならないほどに。
小さく深呼吸をし、植えられている木について聞こうとしたちょうどその時、ジニアが家へと案内してくれた。
大事なことを聞こうとすると避けられているのは気のせいなのだろうか。
夢を見た時、大抵の場合はそうだ。そして大抵の場合、質問の答えを聞けそうなタイミングで目が覚めてしまう。
ため息をつきながら目の前に広がる蓮池を眺める。
どうしてこうなってしまったのだろう。
地下にいる間に日が昇り、いや、日が漂いあたりは春のような暖かさになっていた。
昼間のように明るくても、空には月がうっすらと浮かび、こちらをずっと見つめてくれている。
女王様とジニアにはしばらく一人になりたいとお願いし、蓮が咲き乱れる地上まで戻ってきた。
女王様は様子を見てゆっくり頷いてくれたが、何か言いたげにしていたことが少しだけ気がかりだ。
少しでも開放感がある場所――学校の屋上のように、広大な青空を見上げることが出来る場所――の方が気分を楽にできると思ってここまできた。
しかし、太陽がまったく別のものな上にずっと月が見えているからか、屋上で空を見上げた時と全く違って思いを馳せることも、嫌なことをすべて忘れることもできなかった。
むしろ、とても奇妙な気分になってしまうので、今こうして蓮の咲き乱れる巨大な池を眺めながら座っている。
この世界は月を中心に回り、空を明るくしている太陽はユグドラシルの実だそうな。
ここは夢の中なんだと思いたいが違和感を感じる。
これはきっと本の中にある世界なのだと思い込もうとしたが結局それもうまくいかなかった。
言葉に出来ないモヤモヤした何かがずっと自分の中にあり続けている。
きっとまだ、知らないことがたくさんあるのだろう。
なんとなくそうは思っても、それが何であるのかまったく検討もつかなかった。
この受け入れがたい非現実を冷静に捉えたら、落ち着くことができるかもしれない。
女王様から聞いた話を整理して自分が置かれている立場について再確認する。
この世界にはマナが存在し、そのマナは月から大地へ注がれているのだという。
マナなんて現実世界にはないし、マナって具体的にどのようなものなのか、どうやってその流れを調べたのか、魔法を使うために必要なエネルギーという認識でいいのだろうか、気になることは多々あれどファンタジー小説でしか読んだことがないので仮説を立てるのも難しい。
ひとりになって、落ち着いて話を振り返ると質問や疑問が浮かんできてくれる。
マナの次はこの世界にある領地について説明してもらった。
ここは『空中庭園』という領地で、ユグドラシルの木に支えられている大地、つまりここは地上ではなく樹に支えられている土地で、地上から遠く離れているのだ。
ユグドラシルは地上に根を張っていて、ここから見上げたよりもずっとずっとでかい樹ということ。
領地の端までいくと、地上を一望することができてとてもいい景色なのだそう。
ユグドラシルの樹から吹き上げていた風は地上から送られていたものだろうか。
それなら、蓮から吹き上げていたあの風はなんだったのか。
また新たな疑問がでてきて、少し楽しくなってくる気分を噛み締めながら、次に教わったことを反芻する。
空中庭園の他に、アトランティス、コロッセオ、アルカディアという領地があるそうだ。
アトランティスは小さな群島を中心に、海と川が領地の大半を占めている場所。
コロッセオは火山――死火山と活火山両方――やカルデラがたくさんある荒れ地。
アルカディアは地下に存在する領地で、出入り口がどこにあるのか、どんな特徴があるのか誰も知らないのだという。
最後に、幻と言われる領地ユートピアがどこかにあり、そこへ辿り着いたら誰も帰ってこないと言われている。
本当に存在するのか、はたまた存在しないのか、帰ってきた人がいないので誰も知らない。
「誰も帰ってきた人がいないくらい素晴らしい領地」
ユートピアと呼ばれているのは、そのような表現が取られるようになってからだといわれている。
他の一説によると、ユグドラシルから乙女の美しい歌声が聞こえてくることがあり、その歌声を聴いた人はしばらくずっとうっとりし続け、話しかけても気が付かないのだという。
歌の素晴らしさを表現しようとするが、表現も再現もしきれないほど素敵なのだそうな。
また聞くことができたらと恋焦がれ、ユグドラシルの頂上、あるかどうかもわからない空の国を求めてやまなくなる。一種の依存症に近い状態になるらしい。
最終的に空を目指して研究に没頭するようになる。それが旅であれ発明であれ文学であれ、空に恋焦がれるのだとか。
それほどまでに美しい歌を今までに聴いたことのないので、いったいどんな歌声で、どんな歌なのか知りたい衝動に駆られながら、これも戻った時に質問しようと決めた。
そろそろ女王様とジニアが待つ蓮へ戻ろうと腰をあげ、再び空を見上げると、さっき見上げた時とは違った奇妙な何かを感じた。
どうしてここの空はこんなにも奇妙なのだろう? 真昼でも月が見えて太陽が空を漂うから?
奇妙さの正体について考えながら元きた道をたどり、蓮のエレベーターがある葉に到着すると、待っていたらしきジニアが出迎えてくれた。
「おかえりなさい」
優しい口調で微笑みながら出迎えてくれたからか、心が温まってくるのを感じた。
おかげで自然と微笑むことができる。
「ただいま」
ジニアがもっと嬉しそうに微笑んでくれるので、今よりもっと幸せな微笑みを浮かべてしまうのだった。
とても不思議な感じ。こんな気分、いつから忘れてしまっていたのか。
思い出そうとしても、思い当たることなんてひとつもない。一つもないと思っているのに、頭がずきずきと痛んでくる。
いつからか人の顔色を伺い、窮屈な毎日を送ってきた。
嬉しい事があってちょっとニヤついていたら一人ぼっちを味わったからだろうか。
「何もないのに笑っていて気持ち悪い」
そうやって笑うことを許されなかったこともある。
そう、一人ぼっちだったんだ。
真くんが転校してきて、僕は一人ぼっちじゃなくなった。
真くんはすごく安心させてくれるし信頼できて幸せだった。でも、窮屈だったんだ。
どうして?
僕が笹倉くんを怒らせたから?
違う、そうじゃないんだ。僕は僕自身で窮屈な思いを強いていたんだ。
幸福な瞬間から思いがけず、友達へ最後に投げかけた言葉を思い出す。
忘れ去っていた事実に気が付き、浮かんでいた微笑みが消え失せた。なんてひどいことを言ったんだ。
その様子を見ていたジニアは心配そうな表情に切り替わる。
「どうかしましたか」
いつものように優しく問いかけてくれた。
ジニアからの問いかけは耳に入っておらず、急激に現実世界のことが気になり始めた。
僕は今どれくらいの時間眠っているのだろう。
早く起きないと遅刻するのではないか? 真くんはどうしているのか? もし僕が学校を休んだら真くんはどうなってしまうの?
「僕は、僕はいつになったら目が覚めるの?」
思いがけずそんな疑問を口にし、驚きながらジニアを見ると、同じように驚いた表情を浮かべながら、かなり動揺した様子で口をパクパクさせている。
「僕はいつになったらこの夢から覚めるの?」
ジニアの表情を見ていると不安になりもう一度問いかけてみると、どういう訳か少し安心した表情を浮かべ、ひとつ息を吐いてからまた微笑みかけてくれた。
「夢というのは、覚めたくて覚めるものじゃありません。覚めたくなくなった時に覚めることが多いものです。夢の中で過ごした時間が長くとも、現実ではあまり時間が流れていないものですよ。安心してください」
そう言われると、微笑みの効果もあるのだろう、落ち着きを取り戻すことができ、話を振り返っていた中で聞きたいことがいくつかあったのを思い出した。
好奇心を抑えることができず、雪崩でも起きたかのように質問を浴びせてしまった。
「マナってどういったものですか? 僕のいた世界にはないものだったので、いまいち想像できなくて。ほかに、ユグドラシルと蓮の中で吹いていた風はいったいどこから吹いているのでしょう? ユグドラシルから聴こえる歌はどんな歌声でどんな旋律でどんな雰囲気なのかとても気になります! 僕も聴いてみたいなあ」
しばらく考える素振りを見せた後、ジニアはいつものように微笑む。
「ユグドラシルから聴こえる歌は風の噂で聞いたことはありますが、誰も表現できたことがないので、僕も知らないのです。突然ですが、この世界にも本があります。僕の家に本がたくさんあるので、よければ帰って読みませんか。ひょっとすると、どこかに載っているかもしれません。女王様から、もう一度ここに来なければならないことはない、いずれまた顔を合わせるので自由にして良いと言伝を預かっています。もし帰るのであれば、帰りながらマナと吹き上がる風についてお話します。もし女王様の元へもう一度行くのなら、エレベーターの中でお話します」
挨拶もなしに帰るのは気が引けるが、それを理由に会いに行ってしまうと、自由にして良いという気遣いをないがしろにしてしまいそうだ。
もう一度顔を合わせる機会もあるようなので、今義務的に会いに行くとかえって迷惑をかけてしまうのではないかとも思う。
しばらく悩んだ末にジニアと一緒に家へ向かうことにした。
ジニアの家に向かう道すがら、マナについての説明をしてもらえるのが嬉しくてたまらなかった。
マナとは、この世界に溢れる資源、目に見えないエネルギーの奔流で、五つの属性――火、風、水、地、雷――があるそうだ。
これらの属性は、領地によってバランスが異なっており、このバランスは保有している精霊が影響しているのだという。
精霊は月から降り注ぐマナをより多く受け取り、保有している領地へ還元することができる。
精霊の属性によって受け取りやすいマナの種類が異なり、マナのバランスが領地ごとに異なる仕組みなのだ。
空中庭園にはノームという地の精霊がいるので、地属性のマナが豊富にある。おかげで肥沃な大地に恵まれており、植物が育ちやすいのだそうな。
アトランティスには水の精霊ウンディーネがいるので、様々な種類と豊富な水、海産物に恵まれている。
コロッセオには火の精霊イフリートがおり、火を扱う文化――料理や鍛冶、お風呂等が発達しているらしい。
アルカディアには雷の精霊レヴィンがいるそうだが、ここがどんな場所なのかは知られていない。
「残る風の精霊がユートピアにいるということ?」
「そう考えられています。ただ、不思議な事に、どの領地もシルフを所有していないにも関わらず、風のマナが十分補充されているのです。ひょっとすると、風の精霊は存在しないかもしれないし、裕樹さんがおっしゃったように、ユートピアにある説もあります。どのようにして風のマナを溢れさせているのかわからないままなので、様々な可能性があります。蓮から吹き上がる風はマナを利用したものなんですよ。ユグドラシルから吹き上がる風は実のところ、コントロールされているものではないのです。自然と吹き上がっているもののようです」
この世界にはまだわからないことがたくさんある。
現実世界でもわからないことはたくさんあったけれど、この世界の不思議はとても魅力的でわくわくしてくる。
「着きましたね」
薄暗い中で見た時には気づかなかった、煙突のような縦に長い建物が家の後ろにそびえているのが見えた。
あれが本を置いている建物だろうか。
明るい今、ジニアの家を改めて見てみると暗い時より少し小さく見えるのだった。色が全体的に暗いから、少し大きめに認識していたのかもしれない。
煙突のような建物の前は日当たりがよく、近くには藤棚があり、その下には木でできたテーブルとベンチが置かれていた。
ジニアと一緒に煙突のような建物に入ると、壁がすべて本棚になっていた。
螺旋状に階段が取りつけられており、階段に合わせて本棚も螺旋状に並んでいてすべての本に手が届くよう工夫されていた。
真上はガラスでできた天井で、光が降り注いでくるようになっていたが、天井が高すぎるためか光が全体に届いておらず、カグヤアオキノコがなければ字が読めなかった。
それがむしろ本を保存しておくにはちょうどいい薄暗さをしている。
少なくとも僕にとっては居心地がとても良く感じられる空間だった。
こんな建物が現実にあったらすごく嬉しいな。
理想的な建物との邂逅に胸をときめかせていると、ジニアが一冊の本を手に取った。
「まだここにある全部の本を読んだことがないんです。この本なんてどうでしょう」
渡してくれた本は『精霊と伝説』というタイトルで、作者は『学者』だった。
「シルフについて載ってそうなタイトル。ひょっとすると、ユグドラシルから聞こえる歌についても載ってるかもしれないね」
ジニアに招かれ、藤棚の下にあるベンチに座り、そっと本を開く。
隣にはジニアが近すぎない程度の場所に腰を掛け、二人で一緒に読んでいくことになった。
二人で一つの本を一緒に読むのは初めての経験で、最初は相手が読み終えたかどうか気にしながらページをめくっていたが、ジニアの読むスピードはほぼ同じだったため、慣れてくるとだいたい読み終えたかどうかがわかるようになった。
早く読まないと、というプレッシャーがなければ、読み終えてないのにページをめくってしまったらどうしようという心配もなく、あっという間に読み終わってしまった。
やっぱりこれは夢なんじゃないかなあ。すごく気が楽だ。現実だときっと読みづらいだろうに。
そんなことをしみじみ思いつつ、読んだ本の内容を思い返していく。
この本によると最初は闇の精霊、光の精霊も存在していたのだという。
現実世界にある伝説と同じで、この世界の伝説でもはじまりの世界は闇に覆われていた。
♢
世界に初めて光が生じたことにより、闇は闇、光は光と認識された。
もし仮に世界が光で覆われており、闇が生じたのであっても同じだったはずだ。
闇が生まれ、光が生まれた時、双子の精霊が生まれた。
この二人の精霊はいつでもどこでもぴったりと寄り添っていた。
二人で一人、一人で二人の精霊。
何人たりとも二人の絆を引き裂くことなどできなかった。
しかし、二人は天と地に引き離されてしまった。
二人は精霊でいられなくなり、光は空の光に、闇は地上を覆う暗闇に還っていった。
引き離されてもなお、二人はともにあろうとし、光の隣には闇が、闇の隣には光が存在する世界ができた。
二人の強い想いは他の精霊――シルフ、ドライアド、イフリート、ウンディーネ、ノームの五体――を生みだした。
精霊たちは地上の闇に優しく抱きしめられ、月からは溢れんばかりの愛情を注がれた。
五体の精霊はいつも一緒に過ごし、かつての二人がそうであったようにずっと寄り添い合っていた。
どこへ行くにも五人は一緒。
五人が訪れた土地は豊かな自然に恵まれ、これ以上ないほど栄えたが永遠に続くことはない。
五人はそれが少しだけ寂しかった。
五人の異なる個性がそれぞれ豊かに成長し、やがて地上は溢れんばかりの命に恵まれた。
五人にとってとても嬉しい出来事でそれはそれは喜んだ。
最初にユグドラシルが、次に太陽、次にあらゆる生命体と順番に生まれていき、最後に人間が生まれた。
五人にとって、どの生命も等しく愛しい宝物。
順番に平等に、マナの恩恵を授けて回り、順番に平等に耐え忍ばせた。残念なことに、生命が溢れたところでマナの恩恵は永遠に続かなかった。
一部の人間にはそれが我慢ならなかった。
己の自由と欲望のため、あらゆるものを奪い取るようになった。
必死に耐えて待ちわびていた精霊の恩寵が手に入りそうなその瞬間、我慢を知らぬ人間たちに唐突に奪い取られ、蹴落とされる人々。
五人の精霊は悲しみ、憤り、後悔し、絶望した。
どの子も等しく愛していたはずだったのに、大切だったはずなのに、もう同じように愛せなくなってしまった。
五人はもう各地に恵みをもたらすのは辞めにしようと、一緒に姿を隠そうと決めたが遅かった。
人間たちの欲望はすでに五人へと向けられてしまっていた。
欲深き人間たちは精霊を奪い合い、隠れることができないよう縛り付け、争いの末に今の領地ができあがった。
精霊たちは離れ離れにされ、酷く傷つき、寂しさに覆われ、より一層後悔した。
しかし、離れ離れになっていても五人はともにあった。
月と大地は五人をずっと結びつけ、寂しさや負の感情を紛らわせ続けていたのだ。
自分たちのような思いはさせまいと、希望はどこかにきっとあると。
♢
世界ができた馴れ初めと精霊の話、人間の業の深さについて書かれていた。
人はどこの世界でもやっていることは同じなんだ……。
それはさておき、本当に光と闇の精霊は存在していたのかどうか、一体なにが双子の精霊を引き離したのだろうか。
それともこの精霊は架空の精霊で作り話なのだろうか。
この本を読んでみて、精霊は本当にいるのかどうか疑問を抱いた。
もし本当にいるのであれば、シルフも存在している可能性が高い。
それに、レヴィンの代わりに書かれているドライアドとは何の精霊だろう。
今まで現実で読んできた本の知識を元に推測すると木の精霊だろうか。
どのようにして、いつレヴィンという精霊がでてきたのか。
文中にある『月からは溢れんばかりの愛情を』はマナのことを指しているのではないかという憶測も立ててみる。
確証を得るためにすることは、精霊をこの目で見てみるということ。
知りたい。本当に精霊が領地ごとに存在しているのかどうか。
でも、どうやって確かめる? 女王様の元へ行き、お願いをすれば案内してもらえるのだろうか。
自問自答をしながらふと顔を上げ、ジニアの家周辺にある木を眺めていると、思考が遮られるほどの衝撃を受けた。
「この木……」
見間違いだろうか。
幼いころ、亡くなった陽太と一緒に図鑑でみて憧れていた木にそっくりな木が並んでいるのだ。
この木は寄りかかると夏でも涼しく、枝には鳳凰がとまるという伝説がある。
とても神秘的で想像しただけでも癒やされたのを覚えている。
「近々女王様の元へ行きますか?」
ジニアの問いかけで我に返る。
「もしできるのであれば……」
目の前の木に目をやり、思考が逸れるまでに考えていたことをジニアは提案してきた。
ひょっとすると、同じことを考えていたのかもしれない。それとも……。
でも、それよりも、直接ジニアに尋ねたかった。どうしてこの木を植えているのかについて。
聞きたいけど聞けない。
理由はわからないが、頭がずきずきしてくるのだけは確かだった。
もし聞いてしまったなら逃げ出してしまう自信しかない。
怖くて仕方がない。
悪い方向に考えると歯止めが利かなくなってくる。
歯がガチガチ音を立てるほど震え、目眩がしてきた。
「聞いておいて、こう申し上げるのはおかしいかもしれませんが、今日はもう女王様と会えないと思います。もうすぐ夜になるので……。寒いですか?」
心配そうにジニアが表情をうかがってくれた。
ほんの少し落ち着くことはできたけれど、木に関する疑問だけが頭に残る。
「うん……。ちょっと冷えちゃったかも。心配かけてごめんなさい。時間の流れって早いですね」
心臓がバクバクと鳴り、体の震えをより一層強めている。
苦しすぎて呼吸もままならないほどに。
小さく深呼吸をし、植えられている木について聞こうとしたちょうどその時、ジニアが家へと案内してくれた。
大事なことを聞こうとすると避けられているのは気のせいなのだろうか。
夢を見た時、大抵の場合はそうだ。そして大抵の場合、質問の答えを聞けそうなタイミングで目が覚めてしまう。
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