夢日記

木野恵

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2024

2024/10/5 何の猶予?/夜空を飛ぶ夢

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「一ヶ月の猶予をやる」

 それが最後に言われた言葉だった。



 見知らぬ土地、見知らぬ景色、見知らぬお店。

 初めて見る場所に私はいた。

 芝生ほどしかない草丈の原っぱ、1mほどの段差、原っぱの周りをぐるりと一周しているアスファルトでできた遊歩道。

 たくさんの人が笑い合いながら遊んでいて、小さな赤ちゃんを連れている人もいて、和やかな公園でのことだった。

 オフ会なのかと思うような集会に居合わせていた。

 誰も知らない人ばかりだし、自己紹介がはじまったからそう思った。

 男女様々な年齢層の自己紹介が終わり、私は自己紹介しないままだった。

 誰もその事を追求せず、私をチラッと見ただけだった。

 談笑しながら公園の遊歩道を歩き始めた。

 私は前を歩く人の靴を踏んでしまっていた。

 小声で謝ると、あまり気にしていないような返事をくれてほっとしつつも、心から気を付けようと思った。

 日が暮れて、集会は終わった。

 近くにあるお店にみんなで入り、ここで寝泊まりをしようとの話で驚かされた。

 ホテルにはいかないのか。

 お店の中と、働いている人だけは見慣れたものだった。

 しかし、病院の待合室のような場所が併設されているのははじめてみた。

 ここで寝泊まりするの怖いな。

 そう思っていると、案の定トラブルが起きた。

 黒いフードを被った魔術師風のコートを身につけた三人組がお店を襲撃していた。

 物の損壊や盗難はなく、ただそこにいる人に危害を加えに来た襲撃だった。

 誰を狙ったものかわからなかったけれど、死傷者はおらず、私が嫌がらせを受けただけでおわった。

 やたら目の敵にされていたのはなぜだろう?

 すごく嫌な気持ちになりながらも、また同じように談笑しながら公園の遊歩道を歩く集団に加わった。

 メンバーに変動があったけれど、誰がどう変わったのかわからなかった。

 夢の中の私は気づいてなくとも、見ている私には現実の店長とバイト仲間がその輪に加わっているのがわかった。

 そして、昨日襲撃してきた三人がこの集まりの中にいることもわかっていた。

 なんとなく、あの人とあの人とあの人だとわかったけれど証拠がなにもなかった。

 そうこうするうちに地殻変動と言われる災害が起きた。

 公園だった場所はいびつに歪み、地面はひび割れ、岩場がたくさんある場所ができた。

 丸かった生地がナンのような形に引き伸ばされていくような光景に驚いていると、この自然災害の影響で何人かが命を落とした。

 凄惨な光景を見ながら絶句していると、景色はこのままで死んだ人が何食わぬ顔をしながら歩いていた。

 何がどうなっているのかわからなかった。

 その日の夜もまた同じようにお店に寝泊まりし、襲撃を受けた。

 前よりも強くなっていて、なにかが違ったけど私にはわからなかった。

 一晩明けると、夢の中の夢であいつらは過去に戻って人生をやり直して鍛練してきていると教わっていた。

 そして、また見知らぬ景色だった。

 今度は都会にいた。

 高層ビルの周りに車が走れる螺旋状の道路があり、ここもまた初めて見る場所だった。

 女社長と車に乗り、雑談をしているところから覚えている。その前にもいろいろあったけど思い出せない。

 たくさんお話をしたなかで覚えているのが、学生時代の話をしているところだ。

 勉強であまりいい成績がとれなかったと話しながら、得意な理数でも90点代で100点がとれず、社会や英語が赤点ギリギリだったと話していると、相手が少し怒ったような空気を感じたところ。

 点数が嫌みに聞こえたのだと気づいて、こういうこと話すから敵が増えるんだと反省した場面だった。

 そのあと何を話したか思い出せないけれど、社長に気に入られてオフィスで働くよう言われたけれど、私は任せてもらえてもせいぜい掃除しかできないですよと自己卑下しながら断っていた。

 そして目が覚める日の夜、またあの店で襲撃を受け、警察がようやく対応してくれた。

 そしてなぜか襲われた側の私が犯人扱いされていた。

 私を犯人とする証拠はない。

 すべて証言だけで決めつけられそうになっていた。

 この中で店長だけが嘘の証言をしていなかった。

 嘘の証言をしたバイト仲間は、家族構成から同情を買っている上に、余命一年もないとかで免罪符を得ていた。

 店長はなぜ嘘の証言をしなかったのか。

 してほしかったわけではないけど、それが気になってたくさん話をした。

 内容は覚えていない。

 ただ、なにも嫌なことされないでほしいと思ったのは確かだった。

 現実でもそうやって嘘の証言をしないわけなさそうなのにな。

 すると、警察の偉そうな人から一ヶ月の猶予を言い渡された。

 具体的に何の猶予かなんてわからない。

 結婚しなければならないらしいと知ったけどするきがおきないし、相手も頭に浮かばない。

 するとまたあの公園にいた。

 なにもかも元通りで、またあの遊歩道を歩いていた。

 違ったのは、襲撃者の後ろを私が歩いていたことだ。

 また前の人の靴を踏んでしまった。

 謝ろうとすると、俺こいつ嫌いだわと言われた。

 それからその集団の輪にいるのをやめて、公園の小さい子の悲鳴を聞いて助けにいったり、お店で辞めた子と再会してたくさん話そうとしていたり、いろんなことがあった。

 最後、目が覚める前に実家に戻っていた。

 年老いた母がお願いしてきて、父がいつも寝る部屋に物を取りに行こうとして目が覚めた。

 目を覚ましながら残りは一ヶ月と言われる声を聞いた。



 目が覚めたのは4時前だった。

 夢を書いてもう一度寝ると、また夢を見た。



 今度は電車に乗り遅れて空を飛ぶところから記憶がある。

 バイトを一生懸命頑張っていて、休憩が遅くなり、休んですぐ退勤したりしていたけどこれは多分電車の前の夢。

 実家のはるか南にある都会で、電車に乗り遅れる夢だった。

 学生時代の遠征する授業のように、集団で行動していたらしい。

 みんな電車に乗り込んでいる中、私は何をしていたのか思い出せないけれど、乗り遅れてみんなの乗る電車を見送っていた。

 背中にある羽を使って風に乗り、電車を空からひたすら追いかけた。

 風に抵抗するような羽の向きだと、上空に行ける向きと下に行く向きがあって、上にいくように調整しながら追いかけた。

 風向きによっては、羽を動かして飛ぶよりずっと早く飛べてとても気持ちが良かった。

 馬鹿正直に追いかけても電車に追いつけないから、地図を見て先回りできるよう空を飛んだけれど、それでも追いつくことができなかった。

 追いつくことがないまま、遠い町から実家の田舎まで結局空を飛んで帰った。

 ほとんど風に乗っていたからさほど疲れてはいない。

 いや、風に煽られて体が冷えていたから、違う意味では疲れていた。

 寒くてたまらなかった。

 電車を逃したのが空が真っ暗な時間だったから、今はもう深夜に近いのかもしれない。

 震えながら家に入る前に目が覚めた。

 目が覚める前、家に帰って温かいご飯を食べて、温かいお風呂に入って、温かい布団に入ることを思い描いていたけれど、目が覚めたらそこまで体は冷えていなかったし、お腹もすいていないどころか満腹に思えて不思議だった。
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