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騎士への道
王立ベルヘイム騎士養成学校12
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「イングリス……どうしたの? 考え事?」
「ああ……いや、何でもない……」
特訓の合間の時間……ジルはイングリスが集中出来ていない事が気になっていた。
いつもなら傷が癒えたら真っ直ぐに航太に突っ込んで行き、時間を惜しむように訓練しているのに、明らかに色々な反応が鈍い。
何かを考えていて、明らかに全ての反応が鈍い……そんな感じだ。
「おいおい、そんなんで大丈夫なのかよ。今日の朝、実家に行ってからだよな。何があったか知らねぇが、オレ達はチームで試験を受ける訳じゃねーんだ。一人だけ試験に受からない事だってあるんだぞ。気を抜いてる余裕は、ねー筈だ!」
「ザハール君、そんな言い方しちゃ駄目だよ。イングリスちゃん、何かあったのか知らないけど……困ってる事があるなら相談して。集中出来てない時に頑張っても、あまり身にならないわ。大きな事故に繋がるかもしれないし……航ちゃん、少し休憩にしよ!」
智美に言われ、航太はグラムを鞘に収めるとイングリス達の元へ走って来る。
「イングリス、どうした? お前らしくもない……って言い方は、あまり好きじゃないんだが……それにしても、明かにおかしいぞ。訓練たって、集中してないと怪我するかもしれないぞ」
「分かってる! だが……いや、何でもない……」
語気を強く言った後、イングリスの声は直ぐに小さくなった。
何かを言いたくても言い出せない……そんな感じがする。
しばらくの沈黙の後、少し強めの風が5人の間を通り過ぎていく。
「イングリス……ひょっとしたら、奴隷解放の話……聞いたんじゃない?」
その風が背中を押したのか……ジルが言葉を発した。
「奴隷解放? なんだ、ベルヘイムは黙って良い事するんだな。そんなの迷う事でも無いだろ? 正当な報酬を払って手伝ってもらうのは仕事としてアリだと思うが、強制的に従わせる奴隷制度なんて間違ってるからな。イングリスも素直に喜んだら良いんじゃねーの? 悩む事ないだろ?」
「航ちゃん、馬鹿なの? 多分だけど、奴隷を解放しようとしているのはベルヘイムじゃない……聖凰騎士団が攻めて来る……」
智美の言葉に、ジルは少し考えてから首を横に振る。
「智美さん、聖凰騎士団は攻めて来る訳ではないんです。ベルヘイム中の奴隷に、伝心の魔法で解放する事を言ってきたって……今朝、父から聞きました。ベルヘイム郊外の場所に集まった奴隷は、自分達の国で自由に暮らす権利を与えるって……」
「そうか……ジルの家は、奴隷を虐げてないからな……それで、相談したって事か。私の母は、聖凰騎士団に付いて行きたいみたいなんだ……私にも、一緒に来ないかって……」
イングリスは晴れ渡る空を見ながら、ようやく重い口を開いた。
「そりゃ……でも、どちらにしたって悪い事じゃねーだろ? 奴隷として虐げられ続けるぐらいなら、国を変えるって選択肢はアリだと思うが……いてててぇ!」
「航ちゃん、ここは日本……私達の住んでる世界とは違うのよ。国を出るって事だけで、重罪になるんだから……二度とベルヘイムに戻って来れなくなるのよ」
航太の耳を思い切り引っ張った智美は、小声で……しかし、少し怒った口調で耳打ちする。
「なるほー。でも、したら余計に良いんじゃねーのか? ベルヘイムは奴隷に優しくない国なんだろ? なら、ちゃんと人権がある国に行く事は選択肢として間違っちゃいない」
「うん……そう言われると、確かにね……逆に、奴隷を使ってる側……ジルちゃんの実家とかは、どうなのかしら? 奴隷の人に逃げられたら困るんじゃ……」
奴隷の人達が逃げ出したとして、その責任は誰がとるのか……腑に落ちない表情の智美は、ジルの方を向く。
「父は、奴隷の人達の好きなようにしたいって……ベルヘイムに残った奴隷の人達が、逃げた奴隷の人達の責任をとらされる可能性は高いと思います。逃げるなら、全ての奴隷の人達が逃げた方が良い……それが父の考えです。奴隷の使っている使用者が逃走計画の事を知って通報したら、この計画が実行されないかもしれませんが……」
「イングリス……だから言えなかったのか……それで、どうするか決めてるのか? 母親の為に騎士になって、暮らしを楽にさせたいって言ってたが……」
逃げてしまえば、生活の事を気にしなくて済む。
それどころか、残ったらジルの言う通り虐待される可能性もある。
「そう……なんだが……皆と一緒に騎士になって、共にヨトゥンと戦う事も悪くないって思っているんだ。ベルヘイム中の人達が私を攻撃しても、ここにいる皆は私を守ってくれる……母の心配をしないで、そんな仲間達と共に歩めるなら、それも悪くないなって……」
少し恥ずかしそう言うイングリスの言葉に、ザハールが吹き出した。
「あんだよ、それ。仲間ってより、今は試験の合格を目指すライバルみたいな感じなんじゃねーか? けどまぁ……自分が奴隷の立場なら逃げ出したいと思うぜ、こんな国。それでも逃げ出した奴隷の事を悪く言う奴らがいたら、イラっとするかもな」
「ふーん……イングリスの思いも、ザハールが仲間想いなのも分かったとこで、どうする? ここに来る前に、奴隷解放の名目で町を襲っている聖凰騎士団の姿を見たんだが……どうする?」
顔を真っ赤にして否定の言葉を口にするザハールを無視して、航太は智美に意見を求める。
「そうね……一悶着ぐらいあるかも……みーちゃんが来てくれれば、少しは聖凰騎士団の状況が分かるかもしれないけど……」
「絵美が来てくれりゃ……か。案外、聖凰に取り込まれてる可能性もありそうなんだよな……流されやすいし、聖凰は明かな悪って感じでもねーしな」
「そうねぇ……あ、航ちゃん! パーカー持って来てる? 顔を隠して集合場所を見張って、何かあったら何とかしたらいいんじゃない?」
智美の意見に、航太は一瞬固まった。
「何かあったら、何とかしたらいいんじゃない? って何だよ? 丸投げとは、正にこの事を言うんだぞ! 何とかしなきゃいけない部分を話し合うべきだろ!」
4人は、顔を見合わせて笑う。
「いやぁ、大先生なら一人で大丈夫だろ? お手並み拝見させてもらうぜ!」
先程の仕返しのつもりなのだろうか……ザハールは笑いながら親指を突き立てる。
「航ちゃん、エアの剣だと身バレするからグラムで行ってよ」
「一応、私は付いて行くよ。母に別れの挨拶ぐらいはしたいしな」
明らかに納得していない顔をしている航太だったが、一人で行く流れを回避出来なそうな事を察した。
「分かりましたよ! 寒空の中、一人で行って来ますよ! 皆は、訓練サボんじゃねーぞ!」
そう言うと、航太はパーカーを探しに部屋に戻る。
何か胸騒ぎがする……一悶着程度であってくれ……航太は無意識に、そう思っていた……
「ああ……いや、何でもない……」
特訓の合間の時間……ジルはイングリスが集中出来ていない事が気になっていた。
いつもなら傷が癒えたら真っ直ぐに航太に突っ込んで行き、時間を惜しむように訓練しているのに、明らかに色々な反応が鈍い。
何かを考えていて、明らかに全ての反応が鈍い……そんな感じだ。
「おいおい、そんなんで大丈夫なのかよ。今日の朝、実家に行ってからだよな。何があったか知らねぇが、オレ達はチームで試験を受ける訳じゃねーんだ。一人だけ試験に受からない事だってあるんだぞ。気を抜いてる余裕は、ねー筈だ!」
「ザハール君、そんな言い方しちゃ駄目だよ。イングリスちゃん、何かあったのか知らないけど……困ってる事があるなら相談して。集中出来てない時に頑張っても、あまり身にならないわ。大きな事故に繋がるかもしれないし……航ちゃん、少し休憩にしよ!」
智美に言われ、航太はグラムを鞘に収めるとイングリス達の元へ走って来る。
「イングリス、どうした? お前らしくもない……って言い方は、あまり好きじゃないんだが……それにしても、明かにおかしいぞ。訓練たって、集中してないと怪我するかもしれないぞ」
「分かってる! だが……いや、何でもない……」
語気を強く言った後、イングリスの声は直ぐに小さくなった。
何かを言いたくても言い出せない……そんな感じがする。
しばらくの沈黙の後、少し強めの風が5人の間を通り過ぎていく。
「イングリス……ひょっとしたら、奴隷解放の話……聞いたんじゃない?」
その風が背中を押したのか……ジルが言葉を発した。
「奴隷解放? なんだ、ベルヘイムは黙って良い事するんだな。そんなの迷う事でも無いだろ? 正当な報酬を払って手伝ってもらうのは仕事としてアリだと思うが、強制的に従わせる奴隷制度なんて間違ってるからな。イングリスも素直に喜んだら良いんじゃねーの? 悩む事ないだろ?」
「航ちゃん、馬鹿なの? 多分だけど、奴隷を解放しようとしているのはベルヘイムじゃない……聖凰騎士団が攻めて来る……」
智美の言葉に、ジルは少し考えてから首を横に振る。
「智美さん、聖凰騎士団は攻めて来る訳ではないんです。ベルヘイム中の奴隷に、伝心の魔法で解放する事を言ってきたって……今朝、父から聞きました。ベルヘイム郊外の場所に集まった奴隷は、自分達の国で自由に暮らす権利を与えるって……」
「そうか……ジルの家は、奴隷を虐げてないからな……それで、相談したって事か。私の母は、聖凰騎士団に付いて行きたいみたいなんだ……私にも、一緒に来ないかって……」
イングリスは晴れ渡る空を見ながら、ようやく重い口を開いた。
「そりゃ……でも、どちらにしたって悪い事じゃねーだろ? 奴隷として虐げられ続けるぐらいなら、国を変えるって選択肢はアリだと思うが……いてててぇ!」
「航ちゃん、ここは日本……私達の住んでる世界とは違うのよ。国を出るって事だけで、重罪になるんだから……二度とベルヘイムに戻って来れなくなるのよ」
航太の耳を思い切り引っ張った智美は、小声で……しかし、少し怒った口調で耳打ちする。
「なるほー。でも、したら余計に良いんじゃねーのか? ベルヘイムは奴隷に優しくない国なんだろ? なら、ちゃんと人権がある国に行く事は選択肢として間違っちゃいない」
「うん……そう言われると、確かにね……逆に、奴隷を使ってる側……ジルちゃんの実家とかは、どうなのかしら? 奴隷の人に逃げられたら困るんじゃ……」
奴隷の人達が逃げ出したとして、その責任は誰がとるのか……腑に落ちない表情の智美は、ジルの方を向く。
「父は、奴隷の人達の好きなようにしたいって……ベルヘイムに残った奴隷の人達が、逃げた奴隷の人達の責任をとらされる可能性は高いと思います。逃げるなら、全ての奴隷の人達が逃げた方が良い……それが父の考えです。奴隷の使っている使用者が逃走計画の事を知って通報したら、この計画が実行されないかもしれませんが……」
「イングリス……だから言えなかったのか……それで、どうするか決めてるのか? 母親の為に騎士になって、暮らしを楽にさせたいって言ってたが……」
逃げてしまえば、生活の事を気にしなくて済む。
それどころか、残ったらジルの言う通り虐待される可能性もある。
「そう……なんだが……皆と一緒に騎士になって、共にヨトゥンと戦う事も悪くないって思っているんだ。ベルヘイム中の人達が私を攻撃しても、ここにいる皆は私を守ってくれる……母の心配をしないで、そんな仲間達と共に歩めるなら、それも悪くないなって……」
少し恥ずかしそう言うイングリスの言葉に、ザハールが吹き出した。
「あんだよ、それ。仲間ってより、今は試験の合格を目指すライバルみたいな感じなんじゃねーか? けどまぁ……自分が奴隷の立場なら逃げ出したいと思うぜ、こんな国。それでも逃げ出した奴隷の事を悪く言う奴らがいたら、イラっとするかもな」
「ふーん……イングリスの思いも、ザハールが仲間想いなのも分かったとこで、どうする? ここに来る前に、奴隷解放の名目で町を襲っている聖凰騎士団の姿を見たんだが……どうする?」
顔を真っ赤にして否定の言葉を口にするザハールを無視して、航太は智美に意見を求める。
「そうね……一悶着ぐらいあるかも……みーちゃんが来てくれれば、少しは聖凰騎士団の状況が分かるかもしれないけど……」
「絵美が来てくれりゃ……か。案外、聖凰に取り込まれてる可能性もありそうなんだよな……流されやすいし、聖凰は明かな悪って感じでもねーしな」
「そうねぇ……あ、航ちゃん! パーカー持って来てる? 顔を隠して集合場所を見張って、何かあったら何とかしたらいいんじゃない?」
智美の意見に、航太は一瞬固まった。
「何かあったら、何とかしたらいいんじゃない? って何だよ? 丸投げとは、正にこの事を言うんだぞ! 何とかしなきゃいけない部分を話し合うべきだろ!」
4人は、顔を見合わせて笑う。
「いやぁ、大先生なら一人で大丈夫だろ? お手並み拝見させてもらうぜ!」
先程の仕返しのつもりなのだろうか……ザハールは笑いながら親指を突き立てる。
「航ちゃん、エアの剣だと身バレするからグラムで行ってよ」
「一応、私は付いて行くよ。母に別れの挨拶ぐらいはしたいしな」
明らかに納得していない顔をしている航太だったが、一人で行く流れを回避出来なそうな事を察した。
「分かりましたよ! 寒空の中、一人で行って来ますよ! 皆は、訓練サボんじゃねーぞ!」
そう言うと、航太はパーカーを探しに部屋に戻る。
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