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それぞれの旅立ち
ガラード・エレイン3
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「ガラード様なのですか? 槍が刺さったように見えましたけど、大丈夫ですか?」
霧の中から突然女性の声が聞こえ、ガラードは鎧から湖のある方に視線を向ける。
霧の中から、修道服のワンピースを膝まで上げ、足首まで水に浸かりながら走ってくる女性が見えた。
「お前……ニミュエか? 姿が見えないとは思っていたけど、なんでこんな所に?」
「神父様にお使いを頼まれて……でも、教会の前で騎士様が戦っていたので怖くて隠れていたら、ここでも戦いが……霧でよく見えなかったのですが、近付いて見たらガラード様でしたので……」
綺麗な黄色の髪が黒い修道服の上で輝きを増し、霧の漂う湖畔で彼女の姿は神秘的に感じ、ガラードは思わず見とれてしまう。
「どうしたのですか? 何か付いてます? それより、ガラード様……お身体は大丈夫ですか?」
「あ……ああ、大丈夫。このカリバーンは、傷を癒す力があるからね。しかし、ニミュエは大人になったなぁ……お転婆娘だったのに……」
ガラードと湖畔に佇む女性……ニミュエとは、同じ修道院で育った幼なじみの様なものだ。
幼い頃は、教会の中でかくれんぼや鬼ごっこをして、よく神父に怒られていた……それぐらい、活発な女の子だったのに……
その佇まいや仕草に昔の面影は感じられないが、顔は間違いなくニミュエだ。
「それは……そうですよ。あの頃から、何年経ってると思ってるんですか? ガラード様は、マーリン様の元で厳しい修業を受けていると聞いてましたけど、もう修業は終わったのですか?」
「いや、まだ修業中だよ。今は、自分の主となるべき人物を探す旅の途中さ」
ニミュエは湖の岸に上がると、持っていたハンカチで足を拭く。
そして、バラバラになった白騎士の鎧を見る。
「この鎧が動いてたのですか? 中の人は?」
「分からない……斬った感触は無かった。だから、鎧が動いていたとしか……」
ガラードはそう言うと、無意識に白い盾を手に取った。
すると、バラバラに散らばっていた白い鎧が、一斉にガラードに向かって飛んで来る。
「ガラード様っ!」
「うわぁぁぁ!」
白い鎧に襲われたガラードだが、痛みは感じない。
目を瞑っていたガラードは、恐る恐る目を開けた。
「ガラード様……その鎧、ピッタリですね。カッコイイですよ」
「何?」
思わず自分の腕を見たガラードは、白い鎧が装着されている事に気付く。
慌てて湖まで走り、その水に自らを映す。
全身に鎧が装備されている状態に、ガラードは驚いた。
感覚的には、服を着ている様な感じ……その程度の重さしかないのだ。
白騎士と戦っていた時に感じた盾の重さも、今は感じない。
「どうなってるんだ? これじゃ、まるで神器だ……カリバーンに認められた時と同じ……」
しかし、神器は1人1つ。
分離する剣や槍はあるが、それでも珍しいパターンで、剣と鎧に分離するなんて聞いた事もない。
そもそも、聖剣と呼ばれるカリバーンと鎧がセットなんて有り得ない事だ。
「ガラード様、主を探すと言ってましたが、どのように探しているのですか?」
「ん? いや……知ってる教会とか修道院を転々と……」
やっぱり……言葉にしてはいないが口に手を当てて笑うニミュエを見て、心を見透かされた様な気がしてガラードは恥ずかしそうに頭を掻く。
「ガラード様は身の回りの事、出来なそうですからね! 私がお世話しますよ」
「って、子供じゃないんだ! 自分の事ぐらい、自分で出来るさ!」
とは言ったものの、教会や修道院を転々としているという事は、つまりそういう事だ。
「ガラード様、顔に出てますよ! 白い鎧の事、ガラード様の探している主の事……私も興味があるし、神父様に旅の同行の許可をもらってくるわ!」
「言葉使いや雰囲気は御淑やかになったのに、中身は変わらないな……分かったよ……正直なトコ、結構助かる。この鎧も不気味だし……呪われてるって事は無さそうだけど……」
試しに手甲と腕当てを外してみるが、簡単に外す事が出来る。
「ガラード様、良かったですね! お風呂には入れそう!」
「ニミュエ、一緒に旅するなら、様を付けるの止めてくれ。もしオレの主になる人物が現れたら、その方に様を付けなくちゃいけないからな」
ニミュエは笑顔で頷くと、教会に向かって走り出した。
霧の中から突然女性の声が聞こえ、ガラードは鎧から湖のある方に視線を向ける。
霧の中から、修道服のワンピースを膝まで上げ、足首まで水に浸かりながら走ってくる女性が見えた。
「お前……ニミュエか? 姿が見えないとは思っていたけど、なんでこんな所に?」
「神父様にお使いを頼まれて……でも、教会の前で騎士様が戦っていたので怖くて隠れていたら、ここでも戦いが……霧でよく見えなかったのですが、近付いて見たらガラード様でしたので……」
綺麗な黄色の髪が黒い修道服の上で輝きを増し、霧の漂う湖畔で彼女の姿は神秘的に感じ、ガラードは思わず見とれてしまう。
「どうしたのですか? 何か付いてます? それより、ガラード様……お身体は大丈夫ですか?」
「あ……ああ、大丈夫。このカリバーンは、傷を癒す力があるからね。しかし、ニミュエは大人になったなぁ……お転婆娘だったのに……」
ガラードと湖畔に佇む女性……ニミュエとは、同じ修道院で育った幼なじみの様なものだ。
幼い頃は、教会の中でかくれんぼや鬼ごっこをして、よく神父に怒られていた……それぐらい、活発な女の子だったのに……
その佇まいや仕草に昔の面影は感じられないが、顔は間違いなくニミュエだ。
「それは……そうですよ。あの頃から、何年経ってると思ってるんですか? ガラード様は、マーリン様の元で厳しい修業を受けていると聞いてましたけど、もう修業は終わったのですか?」
「いや、まだ修業中だよ。今は、自分の主となるべき人物を探す旅の途中さ」
ニミュエは湖の岸に上がると、持っていたハンカチで足を拭く。
そして、バラバラになった白騎士の鎧を見る。
「この鎧が動いてたのですか? 中の人は?」
「分からない……斬った感触は無かった。だから、鎧が動いていたとしか……」
ガラードはそう言うと、無意識に白い盾を手に取った。
すると、バラバラに散らばっていた白い鎧が、一斉にガラードに向かって飛んで来る。
「ガラード様っ!」
「うわぁぁぁ!」
白い鎧に襲われたガラードだが、痛みは感じない。
目を瞑っていたガラードは、恐る恐る目を開けた。
「ガラード様……その鎧、ピッタリですね。カッコイイですよ」
「何?」
思わず自分の腕を見たガラードは、白い鎧が装着されている事に気付く。
慌てて湖まで走り、その水に自らを映す。
全身に鎧が装備されている状態に、ガラードは驚いた。
感覚的には、服を着ている様な感じ……その程度の重さしかないのだ。
白騎士と戦っていた時に感じた盾の重さも、今は感じない。
「どうなってるんだ? これじゃ、まるで神器だ……カリバーンに認められた時と同じ……」
しかし、神器は1人1つ。
分離する剣や槍はあるが、それでも珍しいパターンで、剣と鎧に分離するなんて聞いた事もない。
そもそも、聖剣と呼ばれるカリバーンと鎧がセットなんて有り得ない事だ。
「ガラード様、主を探すと言ってましたが、どのように探しているのですか?」
「ん? いや……知ってる教会とか修道院を転々と……」
やっぱり……言葉にしてはいないが口に手を当てて笑うニミュエを見て、心を見透かされた様な気がしてガラードは恥ずかしそうに頭を掻く。
「ガラード様は身の回りの事、出来なそうですからね! 私がお世話しますよ」
「って、子供じゃないんだ! 自分の事ぐらい、自分で出来るさ!」
とは言ったものの、教会や修道院を転々としているという事は、つまりそういう事だ。
「ガラード様、顔に出てますよ! 白い鎧の事、ガラード様の探している主の事……私も興味があるし、神父様に旅の同行の許可をもらってくるわ!」
「言葉使いや雰囲気は御淑やかになったのに、中身は変わらないな……分かったよ……正直なトコ、結構助かる。この鎧も不気味だし……呪われてるって事は無さそうだけど……」
試しに手甲と腕当てを外してみるが、簡単に外す事が出来る。
「ガラード様、良かったですね! お風呂には入れそう!」
「ニミュエ、一緒に旅するなら、様を付けるの止めてくれ。もしオレの主になる人物が現れたら、その方に様を付けなくちゃいけないからな」
ニミュエは笑顔で頷くと、教会に向かって走り出した。
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