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孤独な旅立ち
温泉にて………
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「は~~~、ようやく一息つけたわね~~」
露天風呂に浸かりながら、智美が「ふうっ」と息を吐きながら腕を上げて背筋を伸ばした。
「温泉に入れるなんて感激~~♪♪最近、まともに身体すら洗えてなかったから、ホント天国だょ~~。」
絵美は綺麗で長い黒髪をお団子にして、笑顔で湯舟に浸かっている。
「智姉さんも、みーちゃんも、お肌きれー。いいなぁ…………どうしたら、そんな綺麗な肌が保てるのー??」
「ホントに、羨ましいぐらい綺麗だねー。私なんて傷もあるし、肌はガサガサだし……………嫌んなるなー」
智美と絵美の白くて傷一つ無い肌は、鎧を装備して戦う女性の肌とは明らかに違う。
ルナとゼークはマジマジと、その綺麗な肌に魅入ってしまっていた。
「綺麗に保つ秘訣…………それは、日焼け止めを必ず塗って、お肌を紫外線に晒さない事だねー。そして毎日パックを……………って、いたぁ!!」
「絵美さん…………私にしか分からない話は、止めようねー。何度言ったら、分かるのかなー??」
智美の拳が絵美のコメカミに当てられ、そしてグリグリと…………
「みーさんは、相変わらずアホでしゅね~~。学習能力ゼロでしゅ~」
絵美が痛みのダンスを踊る頭の上で、ガーゴが呆れた顔で座っている。
「確かに、智美さんと絵美さんの肌は綺麗ですね。今度、その日焼け止めって物を貸してもらおうかしら??」
自分の薄い褐色の肌を見ながらティアは笑顔で言うと、直ぐに真剣な顔になりゼークを見た。
「ゼークさん…………私、気になってるんですけど…………あの時、なんで一真に突っ掛かったの??一真の秘密を知っているみたいだったけど………一体、何を知っているの??」
ティアはネイアの葬儀の時のゼークの態度が気になっており、胸がモヤモヤしている。
自分の知らない一真の秘密を知っている…………それだけの事なのに、ティアの心は締め付けられていた。
「やっぱり…………ティアは、カズちゃんに気があるのかにゃ~~♪♪なーんか、カズちゃんを見る瞳が、乙女なのよねー♪♪」
「きっとそーでしゅ!!ティアは一真を見る時、恋する乙女の瞳をしてるでしゅ♪♪うぷぷぅ!!」
絵美とガーゴは心を共有している……………まさに倍の力でティアを囃し立てている2人(?)を智美が睨んだ。
「真剣な話をしてるんだから、茶化さない!!ティアさん、ごめんね………」
智美の言葉にティアは頷くと、改めてゼークを見る。
「うーん…………将軍とネイアさんから口止めされてるんだけど……………ここにいるメンバーなら、いいよね??」
ゼークは自分に言い聞かせるように呟くと、周囲に誰もいない事を確認してから意を決したように口を開く。
「以前…………レンヴァル村をスリヴァルディが襲った事があったでしょ??あの時…………村を救ったのは、多分だけど一真なんだ…………」
突然の話に、全員驚いた顔をして言葉を失う。
唯1人、ルナだけが「私は知ってたよ」といった顔で頷いている。
「ちょ…………ちょっと待って…………カズちゃんはMyth Knightじゃないのよ。それにエアの剣は、航ちゃんにしか扱えない筈じゃないの??レンヴァル村を救った時って、風の力を持つ剣だったんでしょ??」
智美は、ゼークの顔を見て聞く。
「そう…………なんだけどね…………あの夜、確かに一真がエアの剣を持っていた…………フードを深く被っていたケド、間違いない。私にも、どうやって一真がエアの剣を持ったかは分からないんだけど…………」
そう言うとゼークは、温泉の湯に口をつけ、ブクブクさせる。
「ゼークの言ってる事は、本当だと思う。ネイアさんから、少しだけ聞いた事があるんだけど…………一真は、バロールの魔眼に対抗出来る貴重な存在みたいなの。でも、バロールに…………ヨトゥンに一真の力を知られるとと警戒されるから、敵にも味方にも知られちゃいけないって………………だから、ホワイト・ティアラ隊で、一真を守らなきゃって言ってた。詳しい事までは教えてくれなかったけど、ネイアさんも一真も、その事を必死に守りながら戦ってた……………」
その時の事を思い出したのだろうか…………哀しい表情で言葉を紡ぐエリサを見て、ゼークは叩かれた頬を軽く撫でた。
2人とも守らなければいけない秘密と、救いたい命を天秤にかけながら必死に戦ったのだろう…………ゼークはエリサが自分を叩いた意味が、なんとなく分かった気がする。
「だからぁ、ルナはカズ兄ちゃんに助けてもらったって、何度も言ってるじゃん!!誰も信じてくれなかったケド、これで分かったわね!!あの神秘的な朱い瞳…………そして焔の翼…………戦う天使様みたいだったんだから!!」
「嘘でしょ??まさか…………凰の目…………一真って、アスナ様の関係者なのかな??そうしたら、ヤバイ!!私、一真の目を見て話せなくなっちゃうよ~」
ルナと一緒にハシャギ始めるゼークを、智美と絵美と…………そしてガーゴまでが冷ややかな目で見て、そして同時に溜息をついた。
そんな中で、不安な表情で身体を震わせている人物がいる…………ティアだ。
「そんな……………一真をバロールと戦わせるの??一真は伝説の7国の騎士、凰の目のアスナとは違うのよ!!バロールなんかと戦ったら…………死んじゃうよ!!」
ティアは心配そうな顔で、瞳に涙を溜めて首を横に振る。
「そうよね…………伝説の騎士アスナ様でも、アルパスター将軍の先祖ランティスト様と協力して、魔眼を2つ奪うのがやっとだったんだから…………本当に、一真が凰の目を持っていたとしても……………」
ルナと一緒に騒いでいたゼークも、ティアの言葉に深刻な事態である事に気付く。
見るだけで、人の命を奪う魔眼…………そう、対バロールの切り札なのであれば、それは1人でバロールと戦う事を意味していた………
露天風呂に浸かりながら、智美が「ふうっ」と息を吐きながら腕を上げて背筋を伸ばした。
「温泉に入れるなんて感激~~♪♪最近、まともに身体すら洗えてなかったから、ホント天国だょ~~。」
絵美は綺麗で長い黒髪をお団子にして、笑顔で湯舟に浸かっている。
「智姉さんも、みーちゃんも、お肌きれー。いいなぁ…………どうしたら、そんな綺麗な肌が保てるのー??」
「ホントに、羨ましいぐらい綺麗だねー。私なんて傷もあるし、肌はガサガサだし……………嫌んなるなー」
智美と絵美の白くて傷一つ無い肌は、鎧を装備して戦う女性の肌とは明らかに違う。
ルナとゼークはマジマジと、その綺麗な肌に魅入ってしまっていた。
「綺麗に保つ秘訣…………それは、日焼け止めを必ず塗って、お肌を紫外線に晒さない事だねー。そして毎日パックを……………って、いたぁ!!」
「絵美さん…………私にしか分からない話は、止めようねー。何度言ったら、分かるのかなー??」
智美の拳が絵美のコメカミに当てられ、そしてグリグリと…………
「みーさんは、相変わらずアホでしゅね~~。学習能力ゼロでしゅ~」
絵美が痛みのダンスを踊る頭の上で、ガーゴが呆れた顔で座っている。
「確かに、智美さんと絵美さんの肌は綺麗ですね。今度、その日焼け止めって物を貸してもらおうかしら??」
自分の薄い褐色の肌を見ながらティアは笑顔で言うと、直ぐに真剣な顔になりゼークを見た。
「ゼークさん…………私、気になってるんですけど…………あの時、なんで一真に突っ掛かったの??一真の秘密を知っているみたいだったけど………一体、何を知っているの??」
ティアはネイアの葬儀の時のゼークの態度が気になっており、胸がモヤモヤしている。
自分の知らない一真の秘密を知っている…………それだけの事なのに、ティアの心は締め付けられていた。
「やっぱり…………ティアは、カズちゃんに気があるのかにゃ~~♪♪なーんか、カズちゃんを見る瞳が、乙女なのよねー♪♪」
「きっとそーでしゅ!!ティアは一真を見る時、恋する乙女の瞳をしてるでしゅ♪♪うぷぷぅ!!」
絵美とガーゴは心を共有している……………まさに倍の力でティアを囃し立てている2人(?)を智美が睨んだ。
「真剣な話をしてるんだから、茶化さない!!ティアさん、ごめんね………」
智美の言葉にティアは頷くと、改めてゼークを見る。
「うーん…………将軍とネイアさんから口止めされてるんだけど……………ここにいるメンバーなら、いいよね??」
ゼークは自分に言い聞かせるように呟くと、周囲に誰もいない事を確認してから意を決したように口を開く。
「以前…………レンヴァル村をスリヴァルディが襲った事があったでしょ??あの時…………村を救ったのは、多分だけど一真なんだ…………」
突然の話に、全員驚いた顔をして言葉を失う。
唯1人、ルナだけが「私は知ってたよ」といった顔で頷いている。
「ちょ…………ちょっと待って…………カズちゃんはMyth Knightじゃないのよ。それにエアの剣は、航ちゃんにしか扱えない筈じゃないの??レンヴァル村を救った時って、風の力を持つ剣だったんでしょ??」
智美は、ゼークの顔を見て聞く。
「そう…………なんだけどね…………あの夜、確かに一真がエアの剣を持っていた…………フードを深く被っていたケド、間違いない。私にも、どうやって一真がエアの剣を持ったかは分からないんだけど…………」
そう言うとゼークは、温泉の湯に口をつけ、ブクブクさせる。
「ゼークの言ってる事は、本当だと思う。ネイアさんから、少しだけ聞いた事があるんだけど…………一真は、バロールの魔眼に対抗出来る貴重な存在みたいなの。でも、バロールに…………ヨトゥンに一真の力を知られるとと警戒されるから、敵にも味方にも知られちゃいけないって………………だから、ホワイト・ティアラ隊で、一真を守らなきゃって言ってた。詳しい事までは教えてくれなかったけど、ネイアさんも一真も、その事を必死に守りながら戦ってた……………」
その時の事を思い出したのだろうか…………哀しい表情で言葉を紡ぐエリサを見て、ゼークは叩かれた頬を軽く撫でた。
2人とも守らなければいけない秘密と、救いたい命を天秤にかけながら必死に戦ったのだろう…………ゼークはエリサが自分を叩いた意味が、なんとなく分かった気がする。
「だからぁ、ルナはカズ兄ちゃんに助けてもらったって、何度も言ってるじゃん!!誰も信じてくれなかったケド、これで分かったわね!!あの神秘的な朱い瞳…………そして焔の翼…………戦う天使様みたいだったんだから!!」
「嘘でしょ??まさか…………凰の目…………一真って、アスナ様の関係者なのかな??そうしたら、ヤバイ!!私、一真の目を見て話せなくなっちゃうよ~」
ルナと一緒にハシャギ始めるゼークを、智美と絵美と…………そしてガーゴまでが冷ややかな目で見て、そして同時に溜息をついた。
そんな中で、不安な表情で身体を震わせている人物がいる…………ティアだ。
「そんな……………一真をバロールと戦わせるの??一真は伝説の7国の騎士、凰の目のアスナとは違うのよ!!バロールなんかと戦ったら…………死んじゃうよ!!」
ティアは心配そうな顔で、瞳に涙を溜めて首を横に振る。
「そうよね…………伝説の騎士アスナ様でも、アルパスター将軍の先祖ランティスト様と協力して、魔眼を2つ奪うのがやっとだったんだから…………本当に、一真が凰の目を持っていたとしても……………」
ルナと一緒に騒いでいたゼークも、ティアの言葉に深刻な事態である事に気付く。
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