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レンヴァル村の戦い
鎮火の風
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レンヴァル村は、ユトムンダスに攻められた以上の惨状になっていた。
女は次々に捕らえ、男は大人から子供まで殺戮の対象にされる。
村には火が放たれ、逃げ惑う村人をスリヴァルディの兵が次々殺していいった。
村は火に覆われ、大地は血に染まっていく。
「ロキの野郎……………この私に、人間ごときの下につけって?ふざけてるとしか思えませんね!!しかも、こんな誰でも出来る任務など………」
スリヴァルディは、フェルグスの配下として智美護送の為の安全確認のような指令を受けていた。
人間であるフェルグスの指示の下に動く…………更に、低レベルの任務内容にスリヴァルディは苛ついている。
「この村には、フェルグスの母親がいるはずです。そいつを捕らえて、フェルグスの持つ剣【カラドボルグ】をクロウ・クルワッハへの手土産にしましょう!!」
元々、神族とヨトゥンの混血であるロキに対する忠誠心はない。
スリヴァルディは、ロキの部隊から離れてクロウ・クルワッハの部隊に編入してもらおうと考えていた。
憂さ晴らしと、手土産……………その両方を満たす為だけに、スリヴァルディはレンヴァル村に部隊を進ませる。
「男はいくら殺しても構いませんよ。女は捕らえて、私の前に連れて来なさい」
人間達の悲鳴…………そして、燃え上がる村の惨状に、スリヴァルデイは満足気にほくそ笑む。
ヨトゥン領とはいえ、人間しか住んでいない村…………更には、ロキが統治している村……………ストレスが溜まったスリヴァルディにとって、これほど都合の良い攻撃対象は無かった。
「母親を捕らえる前に、フェルグスが来ると厄介ですが……………まぁ、捕虜を連れて来る奴の足は遅いでしょうから、ゆっくり楽しみますかね」
下卑た笑いを浮かべるスリヴァルディ………………その顔が、怪訝な顔に変わる。
突然、一陣の風が戦場に吹き荒れたからだ。
その風は、火を煽るのではなく鎮火の風になる!!
一瞬にして村の火が消え、スリヴァルディの兵達は混乱する。
「何事です!!」
完全に笑みが消えたスリヴァルディが、近くの兵に事態の状況を聞こうとした時……………
スリヴァルディ目掛けて、もの凄い勢いで鎌鼬が飛んでくる。
かわす間もなく、スリヴァルディ護衛のヨトゥン兵もろともスリヴァルディの首が吹っ飛んだ。
しかし、たいしたダメージにはならず、すぐに首が再生したスリヴァルディは、鎌鼬が飛んできた方を見た。
その瞳には、フードを深く被った1人の男が丘に立ち、2撃目の鎌鼬を放とうとしている姿が映る。
その手には【エアの剣】が握られていた。
「風のMyth Knightですか……………小癪な真似を…………しかし、捕虜の件を真に受けて、本当に1人で来るとは……………阿呆な奴ですね」
1人言のように呟いたスリヴァルディは、生き残ったヨトゥン兵に地面に座らせてる人質………………村人の女性達を立たせた。
「人間の村人を犠牲にできんだろ?これで遠距離攻撃はできまい!!どうする?風のMyth Knight!!」
再び笑みを浮かべ、安堵の表情をしたスリヴァルディに……………立たせた村人の女性達に、高速で放たれた鎌鼬が迫る!!
「何!!」
再び、スリヴァルディの首が飛ばされた。
(何度も生き返る私の首を飛ばす為に、村人の女性達を犠牲にしたか…………人間に、これほど肝の据わっている男がいるとはねぇ………)
首が再生したスリヴァルディは、村人の女性達が転がっているであろう場所を見て驚愕する。
「馬鹿な……………こんな事が出来るのか??」
村人の女性達は、全員無傷でその場に立っている…………しかし、村人を立たせていたヨトゥン兵は全員斬られて倒れていた。
(何が起きている??風のMyth Knightの力は、たいした事なかった…………この短期間で、急激に力をつけたのか?)
疑問を持ちながら、しかしスリヴァルディは次の手を考える。
「魔術隊!前へ!!魔法防壁で鎌鼬を防げ!!」
50人近くの魔術隊が、全員で防壁魔法を唱える。
前方の空間を歪ませて攻撃を届かなくする魔法は、放たれた3射目の鎌鼬を完全に無効化した。
「脅かしやがって。フェルグスごときに倒されてたヤツが、そんなに強い訳がないですね」
スリヴァルディは、村を魔法防壁で囲ませると丘に立つ男を睨む。
「あなたの相手は、フェルグスの母親を見つけてから、ゆっくりしてあげますよ」
そう言うと、スリヴァルディは手を叩く。
「さぁ、男は皆殺し、女は捕らえて、とっととフェルグスの母親を見つけますよ!!」
殺戮再会を宣言するスリヴァルディ。
「………………」
【エアの剣】を持つ男は、その光景を見ると再び横方向に剣を払い、鎌鼬を発生させる。
更に、横の鎌鼬を追うように縦の鎌鼬を発生させた。
横の鎌鼬よりスピードの速い縦の鎌鼬が横の鎌鼬に追いつき、凄まじい風斬り音を上げ、加速しながら十字の刃を形成する。
十字の刃は、50人以上の魔力の篭った魔法防壁を打ち破り…………そして、その魔力防壁を作り出していた全ての魔術師を切り裂いた!!
「馬鹿な…………」
ついに、スリヴァルディは戦慄を覚えた…………
女は次々に捕らえ、男は大人から子供まで殺戮の対象にされる。
村には火が放たれ、逃げ惑う村人をスリヴァルディの兵が次々殺していいった。
村は火に覆われ、大地は血に染まっていく。
「ロキの野郎……………この私に、人間ごときの下につけって?ふざけてるとしか思えませんね!!しかも、こんな誰でも出来る任務など………」
スリヴァルディは、フェルグスの配下として智美護送の為の安全確認のような指令を受けていた。
人間であるフェルグスの指示の下に動く…………更に、低レベルの任務内容にスリヴァルディは苛ついている。
「この村には、フェルグスの母親がいるはずです。そいつを捕らえて、フェルグスの持つ剣【カラドボルグ】をクロウ・クルワッハへの手土産にしましょう!!」
元々、神族とヨトゥンの混血であるロキに対する忠誠心はない。
スリヴァルディは、ロキの部隊から離れてクロウ・クルワッハの部隊に編入してもらおうと考えていた。
憂さ晴らしと、手土産……………その両方を満たす為だけに、スリヴァルディはレンヴァル村に部隊を進ませる。
「男はいくら殺しても構いませんよ。女は捕らえて、私の前に連れて来なさい」
人間達の悲鳴…………そして、燃え上がる村の惨状に、スリヴァルデイは満足気にほくそ笑む。
ヨトゥン領とはいえ、人間しか住んでいない村…………更には、ロキが統治している村……………ストレスが溜まったスリヴァルディにとって、これほど都合の良い攻撃対象は無かった。
「母親を捕らえる前に、フェルグスが来ると厄介ですが……………まぁ、捕虜を連れて来る奴の足は遅いでしょうから、ゆっくり楽しみますかね」
下卑た笑いを浮かべるスリヴァルディ………………その顔が、怪訝な顔に変わる。
突然、一陣の風が戦場に吹き荒れたからだ。
その風は、火を煽るのではなく鎮火の風になる!!
一瞬にして村の火が消え、スリヴァルディの兵達は混乱する。
「何事です!!」
完全に笑みが消えたスリヴァルディが、近くの兵に事態の状況を聞こうとした時……………
スリヴァルディ目掛けて、もの凄い勢いで鎌鼬が飛んでくる。
かわす間もなく、スリヴァルディ護衛のヨトゥン兵もろともスリヴァルディの首が吹っ飛んだ。
しかし、たいしたダメージにはならず、すぐに首が再生したスリヴァルディは、鎌鼬が飛んできた方を見た。
その瞳には、フードを深く被った1人の男が丘に立ち、2撃目の鎌鼬を放とうとしている姿が映る。
その手には【エアの剣】が握られていた。
「風のMyth Knightですか……………小癪な真似を…………しかし、捕虜の件を真に受けて、本当に1人で来るとは……………阿呆な奴ですね」
1人言のように呟いたスリヴァルディは、生き残ったヨトゥン兵に地面に座らせてる人質………………村人の女性達を立たせた。
「人間の村人を犠牲にできんだろ?これで遠距離攻撃はできまい!!どうする?風のMyth Knight!!」
再び笑みを浮かべ、安堵の表情をしたスリヴァルディに……………立たせた村人の女性達に、高速で放たれた鎌鼬が迫る!!
「何!!」
再び、スリヴァルディの首が飛ばされた。
(何度も生き返る私の首を飛ばす為に、村人の女性達を犠牲にしたか…………人間に、これほど肝の据わっている男がいるとはねぇ………)
首が再生したスリヴァルディは、村人の女性達が転がっているであろう場所を見て驚愕する。
「馬鹿な……………こんな事が出来るのか??」
村人の女性達は、全員無傷でその場に立っている…………しかし、村人を立たせていたヨトゥン兵は全員斬られて倒れていた。
(何が起きている??風のMyth Knightの力は、たいした事なかった…………この短期間で、急激に力をつけたのか?)
疑問を持ちながら、しかしスリヴァルディは次の手を考える。
「魔術隊!前へ!!魔法防壁で鎌鼬を防げ!!」
50人近くの魔術隊が、全員で防壁魔法を唱える。
前方の空間を歪ませて攻撃を届かなくする魔法は、放たれた3射目の鎌鼬を完全に無効化した。
「脅かしやがって。フェルグスごときに倒されてたヤツが、そんなに強い訳がないですね」
スリヴァルディは、村を魔法防壁で囲ませると丘に立つ男を睨む。
「あなたの相手は、フェルグスの母親を見つけてから、ゆっくりしてあげますよ」
そう言うと、スリヴァルディは手を叩く。
「さぁ、男は皆殺し、女は捕らえて、とっととフェルグスの母親を見つけますよ!!」
殺戮再会を宣言するスリヴァルディ。
「………………」
【エアの剣】を持つ男は、その光景を見ると再び横方向に剣を払い、鎌鼬を発生させる。
更に、横の鎌鼬を追うように縦の鎌鼬を発生させた。
横の鎌鼬よりスピードの速い縦の鎌鼬が横の鎌鼬に追いつき、凄まじい風斬り音を上げ、加速しながら十字の刃を形成する。
十字の刃は、50人以上の魔力の篭った魔法防壁を打ち破り…………そして、その魔力防壁を作り出していた全ての魔術師を切り裂いた!!
「馬鹿な…………」
ついに、スリヴァルディは戦慄を覚えた…………
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