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紅の剣士と恐怖の剣
凄惨な戦場
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航太達は馬の背に乗っていた。
みんな、二人乗りの後ろ側である。
「騎士やらなんやらって、おだてられてたくせにダサイの~~~♪♪」
絵美が航太を見て「ぷぷっ」と笑う。
航太は(お前も同じだろ!!)と思って絵美を見たら……
(絵美の頭の上にアヒル野郎が!!みんな何も感じないのか??)
オゼス村には【アムルサイト・ゼーク】と呼ばれる、綺麗で長い銀髪が特徴の少女を大将とした数十騎の部隊が馬を走らせている。
走っている道は細く、両側は林に囲まれている。
砂浜とは全く違う光景が流れていく。
今まで気付かなかったが、見上げれば凄く綺麗な星空がある。
航太達が乗る馬は、最後尾を走っていた。
隊列から少し離れている所を走っているので、戦闘になったら距離を置く事が出来る。
後方から奇襲されたらそれまでだが、今回はこちらが奇襲をかけるので、その可能性は少ない。
みんな真剣な眼差しで、オゼス村に向かっている。
一秒でも早く着きたいという意思が感じられた。
のに、絵美の頭の上にガーゴである。
(絵美の野郎!!不謹慎にも程があるだろ!!)
航太が智美の方もチラっと見る。
智美は俯いており、話かけれる感じではない。
人を傷つける戦場なんかには、本当は行きたくないのだろう。
そんな事を考えてると、一真が話かけてきた。
「みんな自分を保とうと必死だね……こんな場所にみんなを連れてくるべきじゃなかったのかな……??」
その言葉に、絵美も今の状況下で自分を保とうとしてる事に航太は気付く。
「まったく、年上のくせにオレは駄目だな」
航太は髪をクシャっと掻き、一真に向かって言う。
「大丈夫さ。一真をこんな場所に一人で連れてくるより、はるかにマシだよ!」
確かに、異常な状況ではある。
これから行くのは、本当の戦場だ……
ただ航太は、まだどこか他人事のように感じていた。
自分達が傷ついたり、死んだりする事はないだろうと……
「馬を止めてくれ!!」
オゼス村に近づいた所、で一真が急に大声を上げる。
道端から見える林の中で倒れている人を発見したのだ!!
一真が止まった馬から飛び下りると、倒れている人に向かった!!
「…………っっ!!」
その体は酷いものだった!
体中を切り刻まれて、最後は心臓を一突きにされていた。
木や草には血が飛び散っており、黒く不気味に光っている。
「うっ………はぁ……」
智美が耐え切れず、嘔吐した。
絵美は顔を背けている。
「ひでぇ………戦争だからって、ここまでするのかよ……」
航太は怒りで体が震えた。
「いやぁーー!!」
突然、近くの民間から悲鳴が上がる。
「何でしゅか~~」
ガーゴがヌイグルミのくせに、ビクッとする。
「ガーゴ、ちょっと中の様子見てきて!!」
「ミーちゃんが言うなら仕方ないから見に行くでしゅ~~。恐いでしゅ~~((゚Д゚ll))」
ガーゴと一真は、絵美の事を何故か【ミーちゃん】と呼ぶ。
ネコに似てるからとかって、一真が言ってたな……
こんな切迫した状態で、変な事を考えてた航太は少し苦笑しながら、まだ頭を冷やせると思い、冷静になれと自分に言い聞かせた。
オゼス村の方では、ゼーク隊とクロウ・クルワッハの残党兵が戦ってるのだろう。
大きな声が、いたる所から聞こえてくる。
「オレ達だけで解決するしかないか……」
航太は呟いた。
そこにガーゴが戻ってきた。
「女の人と赤ちゃんが大変な事になってるでしゅ~~。赤い剣がアワワでしゅ~~」
……………………
ガチャ
そんな事を話てる間に、男が民家から出てきた。
真っ赤な髪、真っ赤な鎧、そして真っ赤な剣……
すぐに航太達に気付き
「なんだ?てめぇら??」
と、眉間に皺を寄せて、怪訝そうな顔で話しかけてきた。
みんな、二人乗りの後ろ側である。
「騎士やらなんやらって、おだてられてたくせにダサイの~~~♪♪」
絵美が航太を見て「ぷぷっ」と笑う。
航太は(お前も同じだろ!!)と思って絵美を見たら……
(絵美の頭の上にアヒル野郎が!!みんな何も感じないのか??)
オゼス村には【アムルサイト・ゼーク】と呼ばれる、綺麗で長い銀髪が特徴の少女を大将とした数十騎の部隊が馬を走らせている。
走っている道は細く、両側は林に囲まれている。
砂浜とは全く違う光景が流れていく。
今まで気付かなかったが、見上げれば凄く綺麗な星空がある。
航太達が乗る馬は、最後尾を走っていた。
隊列から少し離れている所を走っているので、戦闘になったら距離を置く事が出来る。
後方から奇襲されたらそれまでだが、今回はこちらが奇襲をかけるので、その可能性は少ない。
みんな真剣な眼差しで、オゼス村に向かっている。
一秒でも早く着きたいという意思が感じられた。
のに、絵美の頭の上にガーゴである。
(絵美の野郎!!不謹慎にも程があるだろ!!)
航太が智美の方もチラっと見る。
智美は俯いており、話かけれる感じではない。
人を傷つける戦場なんかには、本当は行きたくないのだろう。
そんな事を考えてると、一真が話かけてきた。
「みんな自分を保とうと必死だね……こんな場所にみんなを連れてくるべきじゃなかったのかな……??」
その言葉に、絵美も今の状況下で自分を保とうとしてる事に航太は気付く。
「まったく、年上のくせにオレは駄目だな」
航太は髪をクシャっと掻き、一真に向かって言う。
「大丈夫さ。一真をこんな場所に一人で連れてくるより、はるかにマシだよ!」
確かに、異常な状況ではある。
これから行くのは、本当の戦場だ……
ただ航太は、まだどこか他人事のように感じていた。
自分達が傷ついたり、死んだりする事はないだろうと……
「馬を止めてくれ!!」
オゼス村に近づいた所、で一真が急に大声を上げる。
道端から見える林の中で倒れている人を発見したのだ!!
一真が止まった馬から飛び下りると、倒れている人に向かった!!
「…………っっ!!」
その体は酷いものだった!
体中を切り刻まれて、最後は心臓を一突きにされていた。
木や草には血が飛び散っており、黒く不気味に光っている。
「うっ………はぁ……」
智美が耐え切れず、嘔吐した。
絵美は顔を背けている。
「ひでぇ………戦争だからって、ここまでするのかよ……」
航太は怒りで体が震えた。
「いやぁーー!!」
突然、近くの民間から悲鳴が上がる。
「何でしゅか~~」
ガーゴがヌイグルミのくせに、ビクッとする。
「ガーゴ、ちょっと中の様子見てきて!!」
「ミーちゃんが言うなら仕方ないから見に行くでしゅ~~。恐いでしゅ~~((゚Д゚ll))」
ガーゴと一真は、絵美の事を何故か【ミーちゃん】と呼ぶ。
ネコに似てるからとかって、一真が言ってたな……
こんな切迫した状態で、変な事を考えてた航太は少し苦笑しながら、まだ頭を冷やせると思い、冷静になれと自分に言い聞かせた。
オゼス村の方では、ゼーク隊とクロウ・クルワッハの残党兵が戦ってるのだろう。
大きな声が、いたる所から聞こえてくる。
「オレ達だけで解決するしかないか……」
航太は呟いた。
そこにガーゴが戻ってきた。
「女の人と赤ちゃんが大変な事になってるでしゅ~~。赤い剣がアワワでしゅ~~」
……………………
ガチャ
そんな事を話てる間に、男が民家から出てきた。
真っ赤な髪、真っ赤な鎧、そして真っ赤な剣……
すぐに航太達に気付き
「なんだ?てめぇら??」
と、眉間に皺を寄せて、怪訝そうな顔で話しかけてきた。
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