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02.チュートリアル
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思考が覚醒して、目覚めた時に思ったことがある。
眩しい。
ただひたすらに眩しかった。
あまりに眩しすぎて、目を開けることすら叶わず、必死に目を瞑って光から逃れようとする。
少しして、目が慣れたのか、光を攻撃的に感じなくなり、ゆっくりと目を開ける。
俺の見た光景は白かった。光で白く見えるとかじゃなくて、ただただ真っ白の空間。今までの暗闇とは真逆。
……いや、だからこそ反作用で白く見えているのかもしれない。
とりあえず、今はそんなことどうでもいい。
なんだこれ、俺の視覚障害って完治不能だったはずだが。
いや、そもそも完治というか、原因すら分からないはずじゃ……。
ま、いいか。
それで、ここはあのゲームの中……ってことで間違いないんだよな?
なんか妙に感覚がリアルだなぁ。肌に触れる空気の感覚とか、地面を踏みしめる感覚とか。
それで、こっからどうなるんだろう。
『──これより、チュートリアルを開始します。ICEが確認されませんでしたので、キャラメイクを省略します。では、お好きな武器をお選びください』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・片手剣
・魔法杖
・魔導書
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
目の前の少し下、胸のあたりに半透明で青色の板が出てきた。
え、何これ……。
……そっか、俺今ゲームの中にいるのか。リアル過ぎるのも考えものだな。
で、片手剣と魔法杖と魔導書、か。詳しくは言わんが中二の時の俺、ナイス。
とりあえず、剣と杖はまぁ物理と魔法で分かるんだが、魔導書って何すんだ……?
ちょっと気になるな……。いや、でも剣のロマンも捨て難い……!
えー、どうしよ~!(歓喜)
◇◇◇
結論から言うと、結局剣にした。
男のロマンにはやっぱり勝てなかったよ。
そして『片手剣』の文字を押すと、あの真っ白い空間から、周囲を壁に囲まれた閉鎖的な地下室みたいなところに移動した。
地面は固めの土でできていて、実際に見たことはないけど、ザ・訓練場って感じがする。
……なんか、体の左側が重い気がする。
そう思って視線を左下に傾けてみると、腰に何かが下げられていた。
え、何これ……?
持って確認してみると、それには見覚えがあった。
十字架みたいな形状。でもって境目の部分を引っ張ってみると、光を反射して輝く金属が覗いた。
剣だ。いや、片手剣を選んだんだからそれしかないんだろうけど、剣だ。初めて見た。
綺麗に磨かれた鉄が、俺の視線を引き寄せ魅了する。
取り出して前に突き出してみると、ずっしりとした重みを感じる。
興奮故か、心臓がドクドクと脈打ち、頭がフワフワしてくる。
『──では、これよりチュートリアル〈片手剣〉を開始します』
初めて見る剣に見惚れていると、どうやらチュートリアルが始まったらしい。
先程の機械音声、とでも言うのかな?が、聞こえると同時に、頭上から分厚めの本が落ちてきた。
「うわっ、とと……」
思わず受け止めたが、思ったよりも重く、若干取り落としそうになる。
触った感じ、辞書より一回り大きくて、厚さはそこら辺の雑誌よりちょっと分厚いくらい。つまり、正面から見た時と横から見た時のギャップが凄い。
その場で立ったまま開こうとしたが、ちょっと取り扱いづらかったので、地面に置いて開くことにする。
地面に置いて、本をめくりやすいようにひっくり返してみると、こっち側が表紙だったのだろう。『剣術のすゝめ』と書かれていた。
そのまま表紙を開くと、『片手剣とは、……』と書かれていた。
とりあえず剣の種類に関する注意書きっぽいので、流石にその辺はちゃんとしてくれてるだろ、という事で読み飛ばす。
ページをめくると、なんかズラーっと書かれていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めに、初歩中の初歩について話そう。
剣術、というか、近接武器というものを使用するにあったって、必要な土台となる基礎を作り上げるための『素振り』という練習がある。
『素振り』と言われると、ただただ一心不乱に剣を振っている姿を想像するかもしれないが、実際は違う。
『素振り』とは、フォームの矯正もさることながら、剣を身体に馴染ませる、ということが最も重要だと言える。
ただ何も考えずに振れば良い訳じゃないし、剣に振り回されるなど論外だ。
これは私の持論なのだが、…………
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
なんか長くなりそうなので読むのを辞めた。こういう系の本で作者が自分の考えを差し込んでくるやつはあんまりよろしくない。講義とかもしかりだ。
これは俺の持論である。信用性は無い。
サッと見た感じ、素振りについてだけで1ページ丸々使ってそうなので、とっとと次のページへ行く。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〈片手剣の基本・構え〉
これから紹介する『剣の構え』には際立った規定は無い。
我々が習得すべきは魅せる剣ではなく、打ち勝つ剣であるからだ。
つまり、敵と相対した際に、最終的にどちらが立っているかの結果しか重視されない。戦うための剣に過程など要らないのだ。
そもそも、両手か片手かで握り方も違えば、力加減も違う。
なので、ここでは最序盤の基本となる構えひとつだけを紹介することにする。
正眼:正面を真っ直ぐ向き、腕を前方斜め下に伸ばして剣を携えた時の構え。剣の切っ先が、目線を真っ直ぐ伸ばした先に来るように意識する。
……………
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
説明書きの横に一枚のイメージ図?が貼られている。
そのイメージ図では、一体のマネキンが左足を若干後ろに引き、剣の柄を右手で握り、斜め下に突き出して剣を構えている。
どうやらこれが正眼というやつの構えらしい。
詳しく見たことはないが、どことなく剣道を彷彿とさせる構え方だった。
いや、正確に言えば両手と片手との違いとかはあるだろうが。
とりあえず剣を構えてるだけで格好良くなるって罪だなぁ……。
それほどまでに剣の魅力は強い。
幸い今の俺の手元にはその剣がある。
さぁ、実践だ。
眩しい。
ただひたすらに眩しかった。
あまりに眩しすぎて、目を開けることすら叶わず、必死に目を瞑って光から逃れようとする。
少しして、目が慣れたのか、光を攻撃的に感じなくなり、ゆっくりと目を開ける。
俺の見た光景は白かった。光で白く見えるとかじゃなくて、ただただ真っ白の空間。今までの暗闇とは真逆。
……いや、だからこそ反作用で白く見えているのかもしれない。
とりあえず、今はそんなことどうでもいい。
なんだこれ、俺の視覚障害って完治不能だったはずだが。
いや、そもそも完治というか、原因すら分からないはずじゃ……。
ま、いいか。
それで、ここはあのゲームの中……ってことで間違いないんだよな?
なんか妙に感覚がリアルだなぁ。肌に触れる空気の感覚とか、地面を踏みしめる感覚とか。
それで、こっからどうなるんだろう。
『──これより、チュートリアルを開始します。ICEが確認されませんでしたので、キャラメイクを省略します。では、お好きな武器をお選びください』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・片手剣
・魔法杖
・魔導書
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目の前の少し下、胸のあたりに半透明で青色の板が出てきた。
え、何これ……。
……そっか、俺今ゲームの中にいるのか。リアル過ぎるのも考えものだな。
で、片手剣と魔法杖と魔導書、か。詳しくは言わんが中二の時の俺、ナイス。
とりあえず、剣と杖はまぁ物理と魔法で分かるんだが、魔導書って何すんだ……?
ちょっと気になるな……。いや、でも剣のロマンも捨て難い……!
えー、どうしよ~!(歓喜)
◇◇◇
結論から言うと、結局剣にした。
男のロマンにはやっぱり勝てなかったよ。
そして『片手剣』の文字を押すと、あの真っ白い空間から、周囲を壁に囲まれた閉鎖的な地下室みたいなところに移動した。
地面は固めの土でできていて、実際に見たことはないけど、ザ・訓練場って感じがする。
……なんか、体の左側が重い気がする。
そう思って視線を左下に傾けてみると、腰に何かが下げられていた。
え、何これ……?
持って確認してみると、それには見覚えがあった。
十字架みたいな形状。でもって境目の部分を引っ張ってみると、光を反射して輝く金属が覗いた。
剣だ。いや、片手剣を選んだんだからそれしかないんだろうけど、剣だ。初めて見た。
綺麗に磨かれた鉄が、俺の視線を引き寄せ魅了する。
取り出して前に突き出してみると、ずっしりとした重みを感じる。
興奮故か、心臓がドクドクと脈打ち、頭がフワフワしてくる。
『──では、これよりチュートリアル〈片手剣〉を開始します』
初めて見る剣に見惚れていると、どうやらチュートリアルが始まったらしい。
先程の機械音声、とでも言うのかな?が、聞こえると同時に、頭上から分厚めの本が落ちてきた。
「うわっ、とと……」
思わず受け止めたが、思ったよりも重く、若干取り落としそうになる。
触った感じ、辞書より一回り大きくて、厚さはそこら辺の雑誌よりちょっと分厚いくらい。つまり、正面から見た時と横から見た時のギャップが凄い。
その場で立ったまま開こうとしたが、ちょっと取り扱いづらかったので、地面に置いて開くことにする。
地面に置いて、本をめくりやすいようにひっくり返してみると、こっち側が表紙だったのだろう。『剣術のすゝめ』と書かれていた。
そのまま表紙を開くと、『片手剣とは、……』と書かれていた。
とりあえず剣の種類に関する注意書きっぽいので、流石にその辺はちゃんとしてくれてるだろ、という事で読み飛ばす。
ページをめくると、なんかズラーっと書かれていた。
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初めに、初歩中の初歩について話そう。
剣術、というか、近接武器というものを使用するにあったって、必要な土台となる基礎を作り上げるための『素振り』という練習がある。
『素振り』と言われると、ただただ一心不乱に剣を振っている姿を想像するかもしれないが、実際は違う。
『素振り』とは、フォームの矯正もさることながら、剣を身体に馴染ませる、ということが最も重要だと言える。
ただ何も考えずに振れば良い訳じゃないし、剣に振り回されるなど論外だ。
これは私の持論なのだが、…………
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なんか長くなりそうなので読むのを辞めた。こういう系の本で作者が自分の考えを差し込んでくるやつはあんまりよろしくない。講義とかもしかりだ。
これは俺の持論である。信用性は無い。
サッと見た感じ、素振りについてだけで1ページ丸々使ってそうなので、とっとと次のページへ行く。
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〈片手剣の基本・構え〉
これから紹介する『剣の構え』には際立った規定は無い。
我々が習得すべきは魅せる剣ではなく、打ち勝つ剣であるからだ。
つまり、敵と相対した際に、最終的にどちらが立っているかの結果しか重視されない。戦うための剣に過程など要らないのだ。
そもそも、両手か片手かで握り方も違えば、力加減も違う。
なので、ここでは最序盤の基本となる構えひとつだけを紹介することにする。
正眼:正面を真っ直ぐ向き、腕を前方斜め下に伸ばして剣を携えた時の構え。剣の切っ先が、目線を真っ直ぐ伸ばした先に来るように意識する。
……………
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説明書きの横に一枚のイメージ図?が貼られている。
そのイメージ図では、一体のマネキンが左足を若干後ろに引き、剣の柄を右手で握り、斜め下に突き出して剣を構えている。
どうやらこれが正眼というやつの構えらしい。
詳しく見たことはないが、どことなく剣道を彷彿とさせる構え方だった。
いや、正確に言えば両手と片手との違いとかはあるだろうが。
とりあえず剣を構えてるだけで格好良くなるって罪だなぁ……。
それほどまでに剣の魅力は強い。
幸い今の俺の手元にはその剣がある。
さぁ、実践だ。
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