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3章:魔王選抜トーナメント
40話:生存本能
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「「うわあああああああああああああああああ」」
シトリンと私が叫びながら高い所から落ちていく。
バンジーすらやったことない私にとって落ちていく風圧だけでも恐怖を感じる。
というかこんな風圧、ジェットコースター以上なんだけど!!
恐怖から自然と涙がでる。怖い。やだ、死んじゃう!
また死んじゃうの?
あんな死に方をして、まだ10歳という若さで死んじゃうの?そんなの…。
絶対に嫌だ!!
そう思った瞬間体がポカポカ熱くなる。
空上で寒かったはずなのに…。
「…クロ」
いつも私の傍にいてくれたクロ。
そんなクロに教えてもらって初めてできた魔法。
─「私になおせる魔法とか使えたらいいのに…」
─《何言ってるんですか?ご主人は仕えますぞ?》
─《魔力はあるので出来ると思いますぞ!頭の中でイメージしてくだされ!》
そうだ。
イメージだ。イメージするんだ。
この体を覆う熱さをもっと広げるイメージ。もっと、こう、空間を作るような!
「…出来た!!」
私は安心から隣にいるシトリンを見る。
「サクラ様」
「なんで…!」
シトリンを見て驚く。
なぜなら、彼の周りに魔力なんてまったくなかったからだ。
どんなことでも私より早く出来たシトリン。なのにどうして出来ないの?
なんでという疑問が私の中でぐるぐる回る。このままじゃシトリンが死んじゃう…!そんなのヤダ!!
だけで時間は止まってはくれない。
私たちが地面にぶつかるまであと少し、私は目を瞑りながら衝撃に備える。
─ドォン
地面が鳴るような音が聞こえたと同時に私は目をあける。
地面を見ると、私の真下は小さなクレーターができていた。
「うん。サクラはクリアだな。ちょっと魔力の防衛の範囲が広すぎるけど初めてにしては上出来だな。問題はシトリンだな」
私の頭を撫でるお父様を見ると反対の腕の中にシトリンの姿があった。怪我のない姿に安心するが、お父様もお母様も真剣な顔をしている。
「シトリン」
「っ!…はい」
お父様が静かにシトリンを呼ぶが、シトリンは少しビクっとしたのち返事をした。
少し怯えてる様子に私は自分の手をさする。
「どうして魔力の防衛が発動しなかったと思う?」
「…分かりません」
「本当は自分で分からないとコレは意味がない。けど今回は時間がないから答えをいうぞ」
「はい」
「シトリン。お前には、生存本能がないんだ」
「え?」
「いや生存本能が少ないと言ったほうが正確だな」
「生存本能…」
「シトリン。魔力の防衛が危機的状況で獲得しやすいのはね。生存本能のおかげなの。まだ死にたくないという強い感情が魔力を動かし、魔法を作り出す。きっとサクラは強く思ったはずよ。ね?サクラ」
お母様の問いかけに「…うん。死にたくないって思ったら体がポカポカ熱くなって…。その後はクロが言ってたことを思い出してイメージしたよ」と答える。
「その生存本能の少なさはきっと育った環境のよるものだと思うわ。だからね、シトリンには別のやり方で魔力の防衛を覚えてもらうと思うの」
「長い時間をかける方法ですか…?」
「えぇ。でも人によってはすぐにコツを掴むものもいるわ。だけどシトリンにはこっちの方法のが合っていると思うの。勿論、別で剣術も学んでもらうわ。ねぇパパ」
「あぁ。なに焦ることはない。魔力の防衛が使えなくても剣術を磨けばいいだけど話だからな!」
そう答えるお父様にどこかしょげているシトリンは小さな声で返事をした。
シトリンと私が叫びながら高い所から落ちていく。
バンジーすらやったことない私にとって落ちていく風圧だけでも恐怖を感じる。
というかこんな風圧、ジェットコースター以上なんだけど!!
恐怖から自然と涙がでる。怖い。やだ、死んじゃう!
また死んじゃうの?
あんな死に方をして、まだ10歳という若さで死んじゃうの?そんなの…。
絶対に嫌だ!!
そう思った瞬間体がポカポカ熱くなる。
空上で寒かったはずなのに…。
「…クロ」
いつも私の傍にいてくれたクロ。
そんなクロに教えてもらって初めてできた魔法。
─「私になおせる魔法とか使えたらいいのに…」
─《何言ってるんですか?ご主人は仕えますぞ?》
─《魔力はあるので出来ると思いますぞ!頭の中でイメージしてくだされ!》
そうだ。
イメージだ。イメージするんだ。
この体を覆う熱さをもっと広げるイメージ。もっと、こう、空間を作るような!
「…出来た!!」
私は安心から隣にいるシトリンを見る。
「サクラ様」
「なんで…!」
シトリンを見て驚く。
なぜなら、彼の周りに魔力なんてまったくなかったからだ。
どんなことでも私より早く出来たシトリン。なのにどうして出来ないの?
なんでという疑問が私の中でぐるぐる回る。このままじゃシトリンが死んじゃう…!そんなのヤダ!!
だけで時間は止まってはくれない。
私たちが地面にぶつかるまであと少し、私は目を瞑りながら衝撃に備える。
─ドォン
地面が鳴るような音が聞こえたと同時に私は目をあける。
地面を見ると、私の真下は小さなクレーターができていた。
「うん。サクラはクリアだな。ちょっと魔力の防衛の範囲が広すぎるけど初めてにしては上出来だな。問題はシトリンだな」
私の頭を撫でるお父様を見ると反対の腕の中にシトリンの姿があった。怪我のない姿に安心するが、お父様もお母様も真剣な顔をしている。
「シトリン」
「っ!…はい」
お父様が静かにシトリンを呼ぶが、シトリンは少しビクっとしたのち返事をした。
少し怯えてる様子に私は自分の手をさする。
「どうして魔力の防衛が発動しなかったと思う?」
「…分かりません」
「本当は自分で分からないとコレは意味がない。けど今回は時間がないから答えをいうぞ」
「はい」
「シトリン。お前には、生存本能がないんだ」
「え?」
「いや生存本能が少ないと言ったほうが正確だな」
「生存本能…」
「シトリン。魔力の防衛が危機的状況で獲得しやすいのはね。生存本能のおかげなの。まだ死にたくないという強い感情が魔力を動かし、魔法を作り出す。きっとサクラは強く思ったはずよ。ね?サクラ」
お母様の問いかけに「…うん。死にたくないって思ったら体がポカポカ熱くなって…。その後はクロが言ってたことを思い出してイメージしたよ」と答える。
「その生存本能の少なさはきっと育った環境のよるものだと思うわ。だからね、シトリンには別のやり方で魔力の防衛を覚えてもらうと思うの」
「長い時間をかける方法ですか…?」
「えぇ。でも人によってはすぐにコツを掴むものもいるわ。だけどシトリンにはこっちの方法のが合っていると思うの。勿論、別で剣術も学んでもらうわ。ねぇパパ」
「あぁ。なに焦ることはない。魔力の防衛が使えなくても剣術を磨けばいいだけど話だからな!」
そう答えるお父様にどこかしょげているシトリンは小さな声で返事をした。
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