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2章:初恋のおにぎり
15話:声
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天狐様と二人軒下に移動する。
軒下からは野牡丹の花畑がよく見える。
あまりにも綺麗な風景に僕は「ふぅ…」と息が漏れる。
「相変わらず綺麗じゃな」
「その…、僕はお花とかそういうのって詳しくないんですけど、何も手入れせずにこんなに綺麗に咲くんでしょうか?」
「手入れはされとるじゃろ」
「ろく郎さんが?」
「いや、あ奴は酒にしか興味がないんじゃ。 違うじゃろうな」
「じゃあどうして手入れされてるってわかるんですか?」
「前はもっと雑に生えとった。 それでも綺麗じゃったけど、今は人に見られるために綺麗にされとるな」
「人に見られるため?」
「ジジイのためかはわからなんが、誰かがお世話しとるのは確実じゃな。 ほれ、そこの花の下切られとるじゃろ?」
天狐様が指さすところを見ると確かに何かで切られた痕がそこにはあった。
よくみると所々に似たような切った後がある。
「いい花以外は間引いてるんじゃろ。 ちゃんと栄養がいくように」
「だから野牡丹の花が大きいんですね」
「そうじゃな」
そんな風に話しているとガサガサと音を立てながら野牡丹の花畑から人がでてきた。
でてきた人の姿が完全に見えた瞬間、僕は驚きから大きな声をあげる。
「森!?」
そうそこにいたのは紛れもなく森日向子だった。
僕の言葉に驚いているのか森は目を見開いて口をパクパクさせている。
「なんで…!」
思わず声がでたのか森は勢いよく口を両手で塞ぐ。
その瞬間手にあった草切りようのハサミが落ちる。
僕の森からでた声に驚く。
その声はいつもの可愛らしい声ではなかった。
いや可愛らしい声ではある。
でも種類が違うのだ。
森は透明感のある声。
でも今森からでてきた声はどちらかというと少女のような声だ。
「森、じゃない?」
「っ…!!」
「じゃあ今朝、僕に野牡丹をくれたのは森じゃなくて…」
軒下からは野牡丹の花畑がよく見える。
あまりにも綺麗な風景に僕は「ふぅ…」と息が漏れる。
「相変わらず綺麗じゃな」
「その…、僕はお花とかそういうのって詳しくないんですけど、何も手入れせずにこんなに綺麗に咲くんでしょうか?」
「手入れはされとるじゃろ」
「ろく郎さんが?」
「いや、あ奴は酒にしか興味がないんじゃ。 違うじゃろうな」
「じゃあどうして手入れされてるってわかるんですか?」
「前はもっと雑に生えとった。 それでも綺麗じゃったけど、今は人に見られるために綺麗にされとるな」
「人に見られるため?」
「ジジイのためかはわからなんが、誰かがお世話しとるのは確実じゃな。 ほれ、そこの花の下切られとるじゃろ?」
天狐様が指さすところを見ると確かに何かで切られた痕がそこにはあった。
よくみると所々に似たような切った後がある。
「いい花以外は間引いてるんじゃろ。 ちゃんと栄養がいくように」
「だから野牡丹の花が大きいんですね」
「そうじゃな」
そんな風に話しているとガサガサと音を立てながら野牡丹の花畑から人がでてきた。
でてきた人の姿が完全に見えた瞬間、僕は驚きから大きな声をあげる。
「森!?」
そうそこにいたのは紛れもなく森日向子だった。
僕の言葉に驚いているのか森は目を見開いて口をパクパクさせている。
「なんで…!」
思わず声がでたのか森は勢いよく口を両手で塞ぐ。
その瞬間手にあった草切りようのハサミが落ちる。
僕の森からでた声に驚く。
その声はいつもの可愛らしい声ではなかった。
いや可愛らしい声ではある。
でも種類が違うのだ。
森は透明感のある声。
でも今森からでてきた声はどちらかというと少女のような声だ。
「森、じゃない?」
「っ…!!」
「じゃあ今朝、僕に野牡丹をくれたのは森じゃなくて…」
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