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1章:思い出の筑前煮
6話:れっつくっきんぐじゃー!
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あまりの近さに体温が急上昇した。
天狐様からは金木犀のいい香りがした。
「ほれ!できたぞ!」
その言葉と共に背中をバシっと叩かれ思わず「おわっ!」と声がでてしまう。
「なら厨に案内せい!」
「く、くりや?」
「おおっと今は厨とは言わんのじゃったな!確か、だいどころいうばしょじゃ」
「あ、あぁ。台所ですね。こっちです」
僕が天狐様のいうままに台所に案内した。
なんでこんなことになってるんだ?
「ふむ。一通り材料と調味料があるの」
それは作るつもりだったので。
そう思っていると天狐様がニヤリと笑い高々と叫んだ。
「れっつくっきんぐじゃー!」
「ちょ、声大きいですよ!」
「まずは野菜を水で洗うんじゃ!」
「天狐様!?」
「ほれほれ、喚いとる暇はないぞー?早くするんじゃ!」
「は、はいぃい!」
天狐様のいうとおり野菜を水洗いする。
その間に天狐様は台所の棚をあちこち開けながらまな板とピーラー、包丁をだしていた。
動きが機敏だ。
僕が洗った野菜たちをチェックするように凝視してくる。先生に見られているようで緊張しながら椎茸を手にとって洗おうとすると「ちょっと待たんか!」と言われた。
「え?」
「なんで椎茸を洗うんじゃ!」
「え?だって洗えって…」
「椎茸はきっちんぺーぱーを少し湿らせて拭くだけで十分なんじゃ。水で洗ってしまえばうまみ成分は消えてしまうぞ!」
「そ、そうなんだ」
いつも水で洗ってた。
でも野菜を洗ったってことは次は切ればいいんだよね?
「包丁はまだじゃ」
「え?」
「料理は効率よくやるのがぽいんとじゃ!じゃないと未来の嫁さんに”料理はできても効率が悪くて怒られる旦那さん”になっちゃうぞ」
なんだその具体的な例は!?
まさか父さん…!
いや、父さんは昔から料理美味かったし。天狐様にも料理を教えていたし!
「鍋に水を入れて火にかける。その間に野菜からではなくこんにゃくから切るんじゃ」
「こんにゃくから?」
「切るといっても包丁は使わん」
「へ?」
「使うのはこれじゃ」
そういいながら天狐様が取り出したのは何の変哲もないスプーン。
スプーンで切るってどういうこと…?
天狐様からは金木犀のいい香りがした。
「ほれ!できたぞ!」
その言葉と共に背中をバシっと叩かれ思わず「おわっ!」と声がでてしまう。
「なら厨に案内せい!」
「く、くりや?」
「おおっと今は厨とは言わんのじゃったな!確か、だいどころいうばしょじゃ」
「あ、あぁ。台所ですね。こっちです」
僕が天狐様のいうままに台所に案内した。
なんでこんなことになってるんだ?
「ふむ。一通り材料と調味料があるの」
それは作るつもりだったので。
そう思っていると天狐様がニヤリと笑い高々と叫んだ。
「れっつくっきんぐじゃー!」
「ちょ、声大きいですよ!」
「まずは野菜を水で洗うんじゃ!」
「天狐様!?」
「ほれほれ、喚いとる暇はないぞー?早くするんじゃ!」
「は、はいぃい!」
天狐様のいうとおり野菜を水洗いする。
その間に天狐様は台所の棚をあちこち開けながらまな板とピーラー、包丁をだしていた。
動きが機敏だ。
僕が洗った野菜たちをチェックするように凝視してくる。先生に見られているようで緊張しながら椎茸を手にとって洗おうとすると「ちょっと待たんか!」と言われた。
「え?」
「なんで椎茸を洗うんじゃ!」
「え?だって洗えって…」
「椎茸はきっちんぺーぱーを少し湿らせて拭くだけで十分なんじゃ。水で洗ってしまえばうまみ成分は消えてしまうぞ!」
「そ、そうなんだ」
いつも水で洗ってた。
でも野菜を洗ったってことは次は切ればいいんだよね?
「包丁はまだじゃ」
「え?」
「料理は効率よくやるのがぽいんとじゃ!じゃないと未来の嫁さんに”料理はできても効率が悪くて怒られる旦那さん”になっちゃうぞ」
なんだその具体的な例は!?
まさか父さん…!
いや、父さんは昔から料理美味かったし。天狐様にも料理を教えていたし!
「鍋に水を入れて火にかける。その間に野菜からではなくこんにゃくから切るんじゃ」
「こんにゃくから?」
「切るといっても包丁は使わん」
「へ?」
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そういいながら天狐様が取り出したのは何の変哲もないスプーン。
スプーンで切るってどういうこと…?
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