上 下
49 / 50

47話 side 幼馴染の密会

しおりを挟む
side 番達

今日も街一番の酒屋は人で溢れかえっていた。
その中でも一際目立つ集団がいた。

「「「乾杯。」」」

そこには誰もが知るであろうこの国の騎士団長のノアとS級冒険者であるアイザック、そして竜人であるディランの三人が集まっていた。

彼らは職業は違えど古くからの友人で、彼らのスペックだけでなく容姿から周りの目が集まるのも無理はない。

「やっぱりこの三人で集まると目立っちまうな。」

「気にする必要はない。」

「そうだよ。こうやって集まれたのも久しぶりだし気にせず楽しもう。」

「それもそうだな。」

騎士団長であるノアと冒険者のアイザックはもともと幼馴染で幼少期より仲がよく、いつしかディランもそこに混ざるようになっていた。

「そういえばディラン、お前この間歩夢と出かけたんだってな?たしかに歩夢は可愛いやつだがまさか運命のつがい一筋のお前が誰かを誘うなんて思わなかったぞ。」

「たしかにそれは意外だな。」

「はー、正直私が一番驚いてるよ。何故だかわからないけど彼のことが気になるんだ。」

「おー、まじか…。お前それって「恋ってやつだな。」」

「おい、被せんなよノア!」
「すまない。」

「恋だって?」

「あぁ、相手のことが気になるにも色々あるだろうがお前の場合つがい一筋で、誘ってきたやつらなんて見向きもしなかっただろ?そんなやつがまだ出会って間もないやつのこと気になるってもうそれは恋しかないだろ。まぁ一目ぼれってやつか。」

「俺もそう思う。」

「そうか、恋か……、ありがとう二人とも、自分の中でうまく整理がつけられそうな気がする。」

「おぉ、それならよかったな。」

「うん、それはそうとアイザックはどうなの?太一くんといい感じかい?」

「あー、いい感じだとは思うがあいつも素直じゃないからな。まぁ今までの境遇を考えるとしょうがないがまだ時間はかかりそうだ。」


「…お前たち、俺が知らない間に乙女になったな。」

「ノア、お前にも番にしたい奴が現れたらわかるさ。」

「そうだね、でもノアって質実剛健というか堅物というか恋愛自体あまり興味がなさそうに見えるなぁ。」

「たしかに狼族にしては草食な感じだよな。でも運命の番が現れたら流石のこいつでも変わるんじゃないか?」

「正直恋愛など自分にはわからん。」

「ノアにもきっといい人が現れるよ。」
「まぁこいつは堅物なだけでいい奴だからな、俺もそう思ってるぜ。」

「なぜ俺が励まされてるんだ。」

三人は久しぶりの会話で思ったよりも自分たちの近況報告に花が咲いていた。


「それはそうと例の件について何か分かったか?」

「あぁ、いくつか情報をつかんだ。」

「なんだ?」

「人身売買をしている貴族たちだが、裏にブローカーがいることが分かった。それも五大貴族が絡んでいる可能性がある。」

「それは少し分が悪いですね、ちなみに五大貴族で誰が関与しているかはわかっているのかい?」

「いや、そこをうまくもみ消していてなかなか特定ができないんだ。」

「厄介だな。」

「だが被害が増えているのも事実。速く捕まえないと大変なことになる。」

「何とか手を打たないとだな…。」


三人は酒を酌み交わしながら事件について語り合った。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小学生のゲーム攻略相談にのっていたつもりだったのに、小学生じゃなく異世界の王子さま(イケメン)でした(涙)

九重
BL
大学院修了の年になったが就職できない今どきの学生 坂上 由(ゆう) 男 24歳。 半引きこもり状態となりネットに逃げた彼が見つけたのは【よろず相談サイト】という相談サイトだった。 そこで出会ったアディという小学生? の相談に乗っている間に、由はとんでもない状態に引きずり込まれていく。 これは、知らない間に異世界の国家育成にかかわり、あげく異世界に召喚され、そこで様々な国家の問題に突っ込みたくない足を突っ込み、思いもよらぬ『好意』を得てしまった男の奮闘記である。 注:主人公は女の子が大好きです。それが苦手な方はバックしてください。 *ずいぶん前に、他サイトで公開していた作品の再掲載です。(当時のタイトル「よろず相談サイト」)

【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜

N2O
BL
気弱でちょっと不憫な第三王子が、寵愛を受けるはなし。 ※独自設定、ご都合主義です。 ※ハーレム要素を予定しています。 イラストを『しき』様(https://twitter.com/a20wa2fu12ji)に描いていただき、表紙にさせていただきました。

狼くんは耳と尻尾に視線を感じる

犬派だんぜん
BL
俺は狼の獣人で、幼馴染と街で冒険者に登録したばかりの15歳だ。この街にアイテムボックス持ちが来るという噂は俺たちには関係ないことだと思っていたのに、初心者講習で一緒になってしまった。気が弱そうなそいつをほっとけなくて声をかけたけど、俺の耳と尻尾を見られてる気がする。 『世界を越えてもその手は』外伝。「アルとの出会い」「アルとの転機」のキリシュの話です。

名前のない脇役で異世界召喚~頼む、脇役の僕を巻き込まないでくれ~

沖田さくら
BL
仕事帰り、ラノベでよく見る異世界召喚に遭遇。 巻き込まれない様、召喚される予定?らしき青年とそんな青年の救出を試みる高校生を傍観していた八乙女昌斗だが。 予想だにしない事態が起きてしまう 巻き込まれ召喚に巻き込まれ、ラノベでも登場しないポジションで異世界転移。 ”召喚された美青年リーマン”  ”人助けをしようとして召喚に巻き込まれた高校生”  じゃあ、何もせず巻き込まれた僕は”なに”? 名前のない脇役にも居場所はあるのか。 捻くれ主人公が異世界転移をきっかけに様々な”経験”と”感情”を知っていく物語。 「頼むから脇役の僕を巻き込まないでくれ!」 ーーーーーー・ーーーーーー 小説家になろう!でも更新中! 早めにお話を読みたい方は、是非其方に見に来て下さい!

嫌われ悪役令息に転生したけど手遅れでした。

ゆゆり
BL
俺、成海 流唯 (なるみ るい)は今流行りの異世界転生をするも転生先の悪役令息はもう断罪された後。せめて断罪中とかじゃない⁉︎  騎士団長×悪役令息 処女作で作者が学生なこともあり、投稿頻度が乏しいです。誤字脱字など等がたくさんあると思いますが、あたたかいめで見てくださればなと思います!物語はそんなに長くする予定ではないです。

くろちゃん!

美国
BL
人型獣耳たちのお話 俺は生まれつき黒ミミ黒しっぽで生まれてきた。俺は拾われた子供らしく、母も父も兄弟も血の繋がったものはいなかった。物心ついた時にはこの虎の群れの中で生活していた。 主人公はいろいろな獣に愛されまくります。

【完結】トルーマン男爵家の四兄弟

谷絵 ちぐり
BL
コラソン王国屈指の貧乏男爵家四兄弟のお話。 全四話+後日談 登場人物全てハッピーエンド保証。

過食症の僕なんかが異世界に行ったって……

おがこは
BL
過食症の受け「春」は自身の醜さに苦しんでいた。そこに強い光が差し込み異世界に…?! ではなく、神様の私欲の巻き添えをくらい、雑に異世界に飛ばされてしまった。まあそこでなんやかんやあって攻め「ギル」に出会う。ギルは街1番の鍛冶屋、真面目で筋肉ムキムキ。 凸凹な2人がお互いを意識し、尊敬し、愛し合う物語。

処理中です...