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34話 弟子

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それからおれたちは街に入りそのお爺さんのお店を目指してひたすら歩いた。
どうやらそのお店は街のはずれにあるらしく道も複雑なようだ。

これはアイザックがいてよかった、俺一人で行くって言っても到底たどり着けそうにない。

そうして長い道のりを歩いていると無事目的の店が目に入ってきた。

「お前らお疲れさん。ここが爺さんの店だ。」

建物は少し古びていて見た感じ普通の雑貨屋さんという感じだった。
アイザックは先頭を切って店の中に入りその店の主に声をかけてくれる。

「おーい!爺さんいるか?」

そのアイザックの声に反応して誰かがひょこっと顔を出した。
その人物はは黄土色の耳とふさふさのしっぽを持った若い青年でどう見てもお爺さんには見えない。


「うわ、アイザックさんじゃないですか!今日はお休みですけどどうしたんですか?」

「あぁ、ベンさんに頼まれてきたんだ。ちょうど奥さんが発情期に入っちまったみたいでな。」

「そうだったんですね!てことは後ろにいる方が太一君ですね…って、どっちが太一君ですか?」


俺たちは二人の会話に茫然としていたがその青年の言葉に急いで挨拶をした。

「なるほど君が太一君で君が歩夢くんですね!まさかあの耳飾りを作った方がこんなに可愛らしい方だったとはびっくりです!それはさておき爺ちゃんを呼んできますね!」

そういって早足に店の裏の方へ行ったと思うと少ししてお爺さんらしき人物をつれて戻ってきた。

「おぉ来たか、待たせてしまってすまんの。それとアイザックの旦那おひさしぶりですな。」

「おう、相変わらず元気そうで安心したぜ。」

「まだぴんぴんしとりますわい。それはそうと君が太一君だね。わしはこの店の当主ヨーゼフじゃ。以後お見知りおきを。」

「俺は太一です。それとこっちが弟の歩夢。お休みの日に招いてくださってありがとうございます。今日はよろしくお願いします。」

「よ、よろしくお願いします。」

おれたちはお互いに挨拶を済ませて早速工房の方へと案内してもらった。

ちなみに初めに出てきた青年はお爺さんのお孫さんらしくお爺さんの店を手伝っているようだ。
そんでもって二人の種族は狐族らしくとても商売上手でやり手だってアイザックが言っていた。


「ここがわしの工房になります。普段店先に出さないものは全部ここにあります。」

そういって工房の中を見回すと指輪や耳飾りに加えいろいろな装飾品がおいてあり、見た感じどれもすごい効果が付与されているようだ。

「太一君は何か知りたいことがあってわしに会いたいと思ったのじゃろう。何が知りたかったのかね?」

「えーと、正直何か知りたいことがあったというよりは、自分と同じ錬金術師の方に会ってみたかったのと、俺の耳飾りに転移魔法なんて言う上級魔法を組み込んだ方の作品を見てみたかったんです。」

「なるほど。それなら存分にみてもらって構わんよ。その代わりわしの頼みも聞いてくれんかの?」

「はい、俺にできることならなんでもします。」

こんな凄腕の錬金術師が俺にお願いなんて一体何だろうと俺が思っているとその願いは簡単なものだった。

「君が練成しているところを一度見せてくれないかい?」

「え、そんなことでいいんですか?」

俺は少し拍子抜けしながらも了承してお爺さんのところから練成に必要な材料を借りた。

錬成するのはいつも作ってる指輪にすることにした。
早速準備が整い練成をしていくといつも通り練成陣が浮きあがり完成に近づくにつれ光が徐々に小さくなっていく。

「なるほど、あの緻密な練成陣をいとも簡単にやってのけるとは思ったよりも大物になりそうじゃな。」

「こりゃすげえな、人気が出るのも頷ける。」

お爺さんとアイザックの二人は驚いたようにおれが作ったやつを見てそう言う。
それからしばらくして一通り見たお爺さんが驚くことを言った。

「お前さんわしの弟子にならんか?」

俺はまさかそんなことを言われるとは思いもせず目を見開いて驚く。

「え!爺ちゃん今まで弟子は取らないとか言ってたのに太一君すごいね!」

お孫さんがそういう。
そうか俺が初めての弟子になるのか。
少し不安もあるけどそれより凄腕の錬金術師と仕事をできると思うとワクワクが止まらなかった。

「…俺お爺さんの弟子になりたいです。ぜひよろしくお願いします。」

俺は迷いなくおじいさんにそう言う。

「よし!決まりじゃな。わしも楽しみじゃわい。」


そう言って俺とお爺さんは意気投合してそのあとはずっと錬金術について語り合った
歩夢はと言うとお孫さんと仲良くなったみたいで隅っこで楽しそうに話している。











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