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33話 錬金術師のお爺さん

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その後はアイザックも混ざって三人で街を回った。
久しぶりの街だった俺はアイザックもいて少し戸惑ったけど思ったよりも楽しめたことに驚く。
結構気が合うし話しやすかったのがよかったのかもしれない。
しかも1番驚いたのは自分の心境の変化だ。
話すまでは関わりたくないっていう思いが強かったけど今日一日話してみていいやつだし番じゃなくて友達ならいいかもしれないと思うようになった。

今まで故意的に避けてきたけど番だからって完全否定するのも良くないよなって少し反省をしつつ俺たちは無事家に帰りリサさんと歩夢に今日あったことを話しながらみんなで夕飯を食べた。


次の日にはまた作業に没頭する生活に戻ったけど以前に比べてしっかり休みを取りながら作業をするし、終わりの時間も早くするようにしている。
それも番にはならないけど友達ならいいかと割り切ることができたおかげかもしれない。

今日も作業に区切りがついたところで早めにあがり家に帰ったところでちょうど帰宅したベンさんからいい知らせをもらう。

「太一君、太一君が会いたいと言っていた錬金術師のお爺さんだが、お爺さんも太一君の耳飾りが気になっていたみたいでね。特別に明日のお休みにお店に来てもいいって言ってくれたよ。」

その知らせに俺はすごくうれしくなり、どんな人だろうとそわそわしながらその日を過ごした。
あっという間に次の日になり俺は速めに身支度を済ませてリビングに向かう、すると珍しくリサさんではなくベンさんがそこにいることに驚いた。

「おはようございます。リサさんより早く起きてくるなんて珍しいですね。」

「太一君申し訳ない、今日の約束だが私はいけなくなってしまった。ちょっとリサが発情期にはいってしまったんだ。」

「発情期?」

「獣人には発情期というものがあってね、簡単に言うとその期間は性欲が強まる。だから番がいる人は番と一緒に部屋に篭ることがほとんどなんだ。」

「そ、そうなんですね、それはしょうがないです。リサさんのそばにいてあげてください。」

俺は行きたいと思いながらもさすがに知らない場所に一人で行くのは少し不安な気持ちがあったけどまた今度があると思って今日さ工房に籠ろうかと考えていた。

「そんな落ち込まないでくれ。私はいけないが変わりにアイザックくんに付き添いをお願いしてある。アイザックくんもお爺さんと顔見知りだしよくお店にいっているから安心してお店にいけるはずだよ。」

俺は少し驚いたものの1日だけだしいいかと思った。
だけどベンさんがあることを言い出した。

「あとこれは太一くんたちが決めてくれて構わないんだが発情期ってそういう行為をするから親の発情期中に家にいたくないって子供がたくさんいるんだけど太一くんたちはどうしたい?一応防音結界をはるから何か聞こえたりはしないと思うが。」

発情期ってことはそういう行為もするわけで、たしかに親がそういうのをしてるってわかってる中で過ごすのは少し気まずさがある気がする。
でも俺からしたら気まずさよりも二人の時間を邪魔しちゃいけないという意識の方が強かった。

「うーん、俺はせっかくの二人の時間を邪魔したくないです。」

「気を使わせてしまってすまないね。ちょうどアイザックくんに発情期だって話したら彼の家に空き部屋があるみたいでそこを好きに使ってくれって言っていたからそれでも大丈夫かい?」

「…番の件もあって少し不安ですけど大丈夫です。」

友達ならいいとは言ったけど泊まりだと話は別で正直結構不安がある。
だけどつべこべ言ってられないし、あいつも歩夢がいたらさすがに何もしてこないって俺は自分に言い聞かせることにした。



話がまとまるとベンさんはリサさんと一緒に部屋に籠り俺は歩夢と一緒にあいつのことを待った。
しばらくしてドアをノックする音に続きアイザックの声が聞こえる。

「太一いるかー?」

「いる。準備できてるからすぐ出れるぞ。」

「おぉ、楽しそうだな。」

不安とは言ったもののお店に行くのは楽しみでワクワクが抑えきれない俺にアイザックは笑っていた。

「あーと、隣は太一の弟で合ってるか?」

「あ、挨拶してなかった。俺の弟の歩夢、ちょっと人見知りだけど仲良くなればだんだん話すようになるから少しずつ話してやってくれると嬉しい。あと可愛いからって手出したら許さないからな。」

「俺はアイザックだ、よろしくな?……それと俺は太一しか目にはいってないから安心しろ。」

「はい。」

アイザックは俺に見えるように挨拶をしながら見えないところでは歩夢にそう囁いていた。

そうして無事挨拶を済ませた俺たちはベンさんたちには聞こえないとは思うが家の前で行ってきますと声をかけて家を出た。




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