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第29笑『【芸人】登場』1/3
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ピエロ君がいなくなってしばらくはブー子が大将の要求に応える感じで笑いを維持していた。
だがそれも限界だ。
ブー子の目の光は最初は意志を持った光を称え、彗星の如く煌いていたのに……いまや火星の如く、荒涼とした情景を見せ付ける。
もはやブー子は限界だ。
このクラスの笑いは崩壊する。
私は覚悟を決めた。
そんなタイミングでまるで狙ったかのようにこのクラスに転校生が転入してきた。
そして転校早々、この転校生(男)はとんでもない弁舌を展開した。
「目をさませっ!」
それが転校生紹介を始めてくださいと言われ、自己紹介も何も無いままこの男が発した第一声だった。
「「「「「……………」」」」」
ポカンとするクラス一同。
呆気に取られるというレベルではない。
完全に置いて行かれている。
当然だ、私だって訳が分からない。
だがかまわずコイツは続ける。
「みんな聞いて欲しい。みんなは自分が『飼われている』と思ったことはないか?」
反応できない私達を無視し、振り返ったヤツは黒板にキレイな筆致で画を描き始めた。
画は形を成し、黒板にあるモノを浮かび上がらせる。
おそらくこの教室にいる幾人かは見ているだろう恐怖の対象。
ピエロマスターだ。
「……っ!」
ソレをみた何人かは俯き、ある者は爪を噛み、震え、泣き叫び、宙をボーっと見て現実から目をそらしている。
教室中が焦燥感に満たされるのを待つようにこの男は悠然と私達を見渡した。
そしておもむろに机を全力で叩き、怒りの声を響かせた。
「どう思う、怒りは出てこないのかっ! この教室は笑いに毒されているっ!」
黒板に描いたソレを指差し。
「アイツの支配から抜け出すんだっ!」
大声で言い放つ。
最初はみんな戸惑っていたが、次の一言で流れが変わった。
「俺は、君たちを救う為に派遣されてきた芸人」
この男があっさりと自分の正体をばらし。
「みんな今から、自ら笑いを取る技術を身に付けよう! そうすればヤツの『支配』から逃れることが出来る」
救いの方法を提示したからだ。
「みんな一丸となって、この場から……この支配から抜け出そう!」
最後にコイツがそう言った瞬間、歓喜に包まれる教室。
中には拝んでいる者さえもいる。
どう見てもおかしい。
だがそんな疑問を抱くのは私だけだろう。
そして私は気付くべきだったんだ。
これが更なる狂喜への始まりだったということに。
だがそれも限界だ。
ブー子の目の光は最初は意志を持った光を称え、彗星の如く煌いていたのに……いまや火星の如く、荒涼とした情景を見せ付ける。
もはやブー子は限界だ。
このクラスの笑いは崩壊する。
私は覚悟を決めた。
そんなタイミングでまるで狙ったかのようにこのクラスに転校生が転入してきた。
そして転校早々、この転校生(男)はとんでもない弁舌を展開した。
「目をさませっ!」
それが転校生紹介を始めてくださいと言われ、自己紹介も何も無いままこの男が発した第一声だった。
「「「「「……………」」」」」
ポカンとするクラス一同。
呆気に取られるというレベルではない。
完全に置いて行かれている。
当然だ、私だって訳が分からない。
だがかまわずコイツは続ける。
「みんな聞いて欲しい。みんなは自分が『飼われている』と思ったことはないか?」
反応できない私達を無視し、振り返ったヤツは黒板にキレイな筆致で画を描き始めた。
画は形を成し、黒板にあるモノを浮かび上がらせる。
おそらくこの教室にいる幾人かは見ているだろう恐怖の対象。
ピエロマスターだ。
「……っ!」
ソレをみた何人かは俯き、ある者は爪を噛み、震え、泣き叫び、宙をボーっと見て現実から目をそらしている。
教室中が焦燥感に満たされるのを待つようにこの男は悠然と私達を見渡した。
そしておもむろに机を全力で叩き、怒りの声を響かせた。
「どう思う、怒りは出てこないのかっ! この教室は笑いに毒されているっ!」
黒板に描いたソレを指差し。
「アイツの支配から抜け出すんだっ!」
大声で言い放つ。
最初はみんな戸惑っていたが、次の一言で流れが変わった。
「俺は、君たちを救う為に派遣されてきた芸人」
この男があっさりと自分の正体をばらし。
「みんな今から、自ら笑いを取る技術を身に付けよう! そうすればヤツの『支配』から逃れることが出来る」
救いの方法を提示したからだ。
「みんな一丸となって、この場から……この支配から抜け出そう!」
最後にコイツがそう言った瞬間、歓喜に包まれる教室。
中には拝んでいる者さえもいる。
どう見てもおかしい。
だがそんな疑問を抱くのは私だけだろう。
そして私は気付くべきだったんだ。
これが更なる狂喜への始まりだったということに。
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