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第27笑『笑いの消えた世界』3/3
しおりを挟む翌日、全校集会で教頭先生が口を開いた。
「昨日、本校でとても痛ましい事件がありました」
お決まりの台詞で始め。
「本校の男子生徒がいじめに遭い、腹を刺して自殺を図りました」
事実をロボットのように淡々と話し。
「意識不明の重態です」
教頭はそこで言葉を濁したが、私は忘れない。
あの日付き添った私が聞いた扉越しの「回復の見込みは薄いです」と先生に言われ、泣きすがっていたピエロ君の両親の声を!
それを教頭は何事も無かったかのように、「そして!」と前置きして。
「それを煽った人間が数人居たとの情報もあります」
あえて私達生徒のみを責めるような演説(というか一方的な説教)を続けていく。
重々しい話に集まった生徒達が気だるそうにしだしたのを視て、教頭先生は声を荒げた。
「いいですか! これはあなた方の問題なのですよ」
そして両手を広げ、自分は正しいことを言っていると信じきっている教祖のように私達に言葉を刷り込んでいく。
「クラスの関係は複雑です。親しい仲、そうでない仲、様々な対応が求められるとは思います。ですが、ここまでやったら駄目だなという『線引き』が必ずあるはずです」
やたらと線引きを強調する教頭先生。
「いいですか、イジりが悪いとわ言いません。ですが、イジりとイジメの『線引き』を守ってください」
さらに線引きを強調し。
「そうしないと笑いですまなくなりますよ」
念押しするように言って演説を終える。
ふざけるな!
怒りがとまらなかった。
何が線引きだ!
イジりがある時点で駄目なのに、それを認めるなんて。
イジりが、人をいじめることでしか笑いを創れない連中が、その構造自体が駄目なんだよっ!
誰も、何もわかっていない!
そう、誰も何も分かっていない……『笑い』の連鎖は止まらない。
その証拠にブー子は……ピエロ君の抜けた穴を埋めるために必死になっていた。
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