27 / 45
第26笑『笑いの消えた世界』2/3
しおりを挟むどの位経っただろう……謎の声も聞こえなくなり、私はこの笑いのない世界をループしていた。
幾度目かの家族三人での食事中。
私は呟いた。
「つまらないなあ……」
そうしたら突然お父さんが立ち上がり怒鳴った。
「そうだろ! つまらないだろっ!」
あの謎の声と同じ、聞き覚えのある声もしかして……?
「……ッ!」
私が何か言い終わる前にお父さんは急に立ち上がったと思ったら私の手を掴み軽く持ち上げた。
足が地面から離れ宙に浮く私、安定感が無い。
「でもそう思ったら、お前は戻るしかない。もとの世界へ。あそこがどんなにつらく、苦しくともなっ!」
いつの間にか周りは真っ黒な空間になっており、お父さんはその台詞を最後に私の手を離した。
「ああああああああああああーーーーー!」
奈落に落ちるように暗い空間を落ちていく私。
「戻ったら『アイツ』が来るかも知れない。気を付けろ!」
お父さんの忠告? がこだまし、足元に光が見えた。それはどんどん大きくなって……。
「っ!!」
私は目を覚ました。
戻ってきたんだ。
この教室に。
教室は悲惨だった。
さっきの裏ピエロ君が引きずり込んだ空間と同じ。
みんな狂ったように笑いながら暴れている。
何人かが誰かを殴っている。
殴られたほうも笑っている。
ひどい光景だ。
だが、私は無視する。
その中心で彼は……ピエロ君は命の灯火を消そうとしていた……。
「ピエロ君ッ!」
私は泣きながら駆け寄り、ピエロ君を抱えて、教室を出た。
笑いという正に『狂気』が支配するこのクラスを。
その後はあまり覚えていない。
とりあえずピエロ君を外に連れ出した。
誰が呼んだのだろう?
救急車がもう来ていた。
病院に向かう救急車の中で私は泣き腫らした。
病院に着くとピエロ君の両親が来ていた。
彼の両親に問い詰められても何も言えず。
泣きながら手術室に運ばれたピエロ君の無事を祈るしかなかった。
……どれくらい経っただろうか?
手術は終了し、ピエロ君は一命を取り留めた。
だが重症だ。
しばらく面会謝絶となった。
そして……ピエロ君のいない毎日が、始まる。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
鈴ノ宮恋愛奇譚
麻竹
ホラー
霊感少年と平凡な少女との涙と感動のホラーラブコメディー・・・・かも。
第一章【きっかけ】
容姿端麗、冷静沈着、学校内では人気NO.1の鈴宮 兇。彼がひょんな場所で出会ったのはクラスメートの那々瀬 北斗だった。しかし北斗は・・・・。
--------------------------------------------------------------------------------
恋愛要素多め、ホラー要素ありますが、作者がチキンなため大して怖くないです(汗)
他サイト様にも投稿されています。
毎週金曜、丑三つ時に更新予定。
オーデション〜リリース前
のーまじん
ホラー
50代の池上は、殺虫剤の会社の研究員だった。
早期退職した彼は、昆虫の資料の整理をしながら、日雇いバイトで生計を立てていた。
ある日、派遣先で知り合った元同僚の秋吉に飲みに誘われる。
オーデション
2章 パラサイト
オーデションの主人公 池上は声優秋吉と共に収録のために信州の屋敷に向かう。
そこで、池上はイシスのスカラベを探せと言われるが思案する中、突然やってきた秋吉が100年前の不気味な詩について話し始める
死にたがりオーディション
本音云海
ホラー
アイドルやら女優、俳優、歌手、はたまた声優など
世の中には多種多様なオーディションがある。
一度は誰もが夢をみて受けたいと思うのが、オーディション。
だか、世の中には夢も希望もない人種もいる。
そんな人が受けるオーディションがあるのをご存知だろうか?
その名も、死にたがりオーディション。
この話は、とある冴えない少年達の何気ない会話から始まる。
岬ノ村の因習
めにははを
ホラー
某県某所。
山々に囲われた陸の孤島『岬ノ村』では、五年に一度の豊穣の儀が行われようとしていた。
村人達は全国各地から生贄を集めて『みさかえ様』に捧げる。
それは終わらない惨劇の始まりとなった。
クリア─或る日、或る人─
駄犬
ホラー
全ての事象に愛と後悔と僅かばかりの祝福を。
▼Twitterとなります。更新情報など諸々呟いております。
https://twitter.com/@pZhmAcmachODbbO
白蛇の化女【完全版】
香竹薬孝
ホラー
舞台は大正~昭和初期の山村。
名家の長男に生まれた勝太郎は、家の者達からまるでいないもののように扱われる姉、刀子の存在を不思議に思いつつも友人達と共に穏やかな幼少期を過ごしていた。
しかし、とある出来事をきっかけに姉の姿を憑りつかれたように追うようになり、遂に忌まわしい一線を越えてしまいそうになる。以来姉を恐怖するようになった勝太郎は、やがて目に見えぬおぞましい妄執の怪物に責め苛まれることに――
というようなつもりで書いた話です。
(モチーフ : 宮城県・化女沼伝説)
※カクヨム様にて掲載させて頂いたものと同じ内容です
令和百物語
みるみる
ホラー
夏になるので、少し怖い?話を書いてみました。
一話ずつ完結してますが、百物語の為、百話まで続きます。
※心霊系の話は少なめです。
※ホラーというほど怖くない話が多いかも知れません。
※小説家になろうにも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる