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第17笑『ピエロ君のおしおき部屋』
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「あああああああああ」
ピエロ君が居なくなった後、教室の隅で頭を抱える私。
あの様々なビジョンを通して見る度、私はピエロ君がわからなくなってきた。
最初はなんか気になる存在としてある種の好意を抱いていたのかもしれないが、好意、同情、疑念……告白されてから様々な感情が私の中で渦巻いている。
なんか病んできた……。
そんな時、私は一つのビジョンを見た。
といっても視覚的ビジョンでは無く、ラジオ番組のような音声だけの曖昧なもの……ピエロ君と大将が一緒に会話しているような感じの。
「あれ……誰か来たな……マスターの意識に溶け込んできたのか?」
ピエロ君の声が聞こえる。
「あれっ……ここは教会の懺悔室か」
大将の声が聞こえ、ピエロ君が小声で「そう思ってるならまあいいか」呟いた後。
「そうです。真っ暗ですがここは懺悔室、そして僕が牧師です。なんなりと」
ピエロ君が促し、大将はすぐさま懺悔を始める。
クラスでのことなんだけど……と話し始め。
「オレだって場を盛り上げるのに苦労しているんだっ!」
いきなり大声でまくし立てるように話し始める。
「自分でも下手だとは理解している……でも、それでもやるしかないんだよお……」
大将は恐怖に怯えているみたいに。
「でも、マスターが……ピエロマスターが見てんだよお……」
震えるような声で話す。
「あの目を見ると、何もいえなくなる。全身の力を抜かれるというか、蛇に睨まれた蛙になるっつーか……場に笑いをもたらし続けるロボットにされてしまう」
「それは大変ですね」
いたって冷静なピエロ君の声。
まるでそのことをあらかじめ理解していたかのように淡々と話す。
「そして今日もオレは……ヒトをいじめて笑いを取っていく……」
「でも、これしかないんだ……こうするしかないんだよ。そうしないとオレも、クラスのみんなもアイツに、ピエロマスターに殺されちまう。わかるんだ! ヤツの目を見ていると、そう言ってるようにしかみえないんだよおおおーーー!」
とうとう大将は泣き崩れ、悲痛な声を上げて叫び続けた。
ピエロ君はそっと。
「ここでのことは、目が覚めたら忘れてしまいます。そうです、この空間で今は泣いておきなさい。目が覚めたら地獄が待っているんですから……」
その言葉に反応したのか大将は号泣し続けた。
そして大将の声が消え(この空間から去った、目が覚めたんだろう)、何も無い空間にピエロ君の独り言が響く。
「大変だと思う。責任感の強いあなたのことだ。このクラスを背負っているかのように思うんだろう」
でも「ただし」と付け加えて。
「でもあなたを許すつもりは無いよ」
殺意さえこもった粘着質な呪言を放った。
そして、本当におかしくなったのだろうか……さも愉快そうに大声で笑い出し。
「まだ気付かないのか……」
せせら笑いさえ響かせながら大将にうちあける。
「僕だよ………」と。
「あ……」瞬間、呆気にとられたのか間の抜けた小さな声が響いたが、すぐにそれは怒気をはらんだものへと変質する。
「てめえ、なにやってんだよっ!」
だが、ピエロ君は動じない。それどころかさっきのせせら笑いを引きずってなお有り余る笑い声を必死に抑えながら自信たっぷりの演説を展開。
「いいよ……いつやめてもいいんだよ。あなた一人であの『場』を治め続けられるならね」
得意気に言ってのける。
「くそう……」
大将はたいそう悔しそうに歯噛み(正にそんな情景が見えるかのように)するも、どうしようもない問題に直面した政治家のように潔くピエロ君に謝罪する。
「すまなかった……これからもよろしく頼む」
「だよねえー」
ヒャーッハッハッハッーと闇の中一面にピエロ君の感極まったような壊れた笑い声が響く中、急に視界が開ける。
そこはまぶしい光に包まれた天国ともいえる場所で、天空に浮いた巨大な十字架を地面にして大将とピエロ君二人が立っている。
さらにそんな二人をさも愉快な面持ちでさらに上空から神の如く見つめるピエロマスターがいる。
その中で大将はピエロマスターの姿を認識したのか、立ったままひざをガクガクとゆらし、恐怖を体現していた。
「ふう」
ビジョンを見終えて、私はため息をつく。
本当にひどい『夢』だと思う。
思わず笑っちゃうくらいに。
それに、このピエロ君は本当にピエロ君なのだろうか?
私にはそれが信じられない。
「もしかして別のもう一人の人格とかなのかな……」
呟くように口にした疑問に答える者はいなかった。
ピエロ君が居なくなった後、教室の隅で頭を抱える私。
あの様々なビジョンを通して見る度、私はピエロ君がわからなくなってきた。
最初はなんか気になる存在としてある種の好意を抱いていたのかもしれないが、好意、同情、疑念……告白されてから様々な感情が私の中で渦巻いている。
なんか病んできた……。
そんな時、私は一つのビジョンを見た。
といっても視覚的ビジョンでは無く、ラジオ番組のような音声だけの曖昧なもの……ピエロ君と大将が一緒に会話しているような感じの。
「あれ……誰か来たな……マスターの意識に溶け込んできたのか?」
ピエロ君の声が聞こえる。
「あれっ……ここは教会の懺悔室か」
大将の声が聞こえ、ピエロ君が小声で「そう思ってるならまあいいか」呟いた後。
「そうです。真っ暗ですがここは懺悔室、そして僕が牧師です。なんなりと」
ピエロ君が促し、大将はすぐさま懺悔を始める。
クラスでのことなんだけど……と話し始め。
「オレだって場を盛り上げるのに苦労しているんだっ!」
いきなり大声でまくし立てるように話し始める。
「自分でも下手だとは理解している……でも、それでもやるしかないんだよお……」
大将は恐怖に怯えているみたいに。
「でも、マスターが……ピエロマスターが見てんだよお……」
震えるような声で話す。
「あの目を見ると、何もいえなくなる。全身の力を抜かれるというか、蛇に睨まれた蛙になるっつーか……場に笑いをもたらし続けるロボットにされてしまう」
「それは大変ですね」
いたって冷静なピエロ君の声。
まるでそのことをあらかじめ理解していたかのように淡々と話す。
「そして今日もオレは……ヒトをいじめて笑いを取っていく……」
「でも、これしかないんだ……こうするしかないんだよ。そうしないとオレも、クラスのみんなもアイツに、ピエロマスターに殺されちまう。わかるんだ! ヤツの目を見ていると、そう言ってるようにしかみえないんだよおおおーーー!」
とうとう大将は泣き崩れ、悲痛な声を上げて叫び続けた。
ピエロ君はそっと。
「ここでのことは、目が覚めたら忘れてしまいます。そうです、この空間で今は泣いておきなさい。目が覚めたら地獄が待っているんですから……」
その言葉に反応したのか大将は号泣し続けた。
そして大将の声が消え(この空間から去った、目が覚めたんだろう)、何も無い空間にピエロ君の独り言が響く。
「大変だと思う。責任感の強いあなたのことだ。このクラスを背負っているかのように思うんだろう」
でも「ただし」と付け加えて。
「でもあなたを許すつもりは無いよ」
殺意さえこもった粘着質な呪言を放った。
そして、本当におかしくなったのだろうか……さも愉快そうに大声で笑い出し。
「まだ気付かないのか……」
せせら笑いさえ響かせながら大将にうちあける。
「僕だよ………」と。
「あ……」瞬間、呆気にとられたのか間の抜けた小さな声が響いたが、すぐにそれは怒気をはらんだものへと変質する。
「てめえ、なにやってんだよっ!」
だが、ピエロ君は動じない。それどころかさっきのせせら笑いを引きずってなお有り余る笑い声を必死に抑えながら自信たっぷりの演説を展開。
「いいよ……いつやめてもいいんだよ。あなた一人であの『場』を治め続けられるならね」
得意気に言ってのける。
「くそう……」
大将はたいそう悔しそうに歯噛み(正にそんな情景が見えるかのように)するも、どうしようもない問題に直面した政治家のように潔くピエロ君に謝罪する。
「すまなかった……これからもよろしく頼む」
「だよねえー」
ヒャーッハッハッハッーと闇の中一面にピエロ君の感極まったような壊れた笑い声が響く中、急に視界が開ける。
そこはまぶしい光に包まれた天国ともいえる場所で、天空に浮いた巨大な十字架を地面にして大将とピエロ君二人が立っている。
さらにそんな二人をさも愉快な面持ちでさらに上空から神の如く見つめるピエロマスターがいる。
その中で大将はピエロマスターの姿を認識したのか、立ったままひざをガクガクとゆらし、恐怖を体現していた。
「ふう」
ビジョンを見終えて、私はため息をつく。
本当にひどい『夢』だと思う。
思わず笑っちゃうくらいに。
それに、このピエロ君は本当にピエロ君なのだろうか?
私にはそれが信じられない。
「もしかして別のもう一人の人格とかなのかな……」
呟くように口にした疑問に答える者はいなかった。
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