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第91話 上下関係
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思わぬ従魔愛好家の方との出会いはあったが、再度迷いの森のめざし、走り出す。
帝都を出て西へとかけるモコ。
指示はしていないが、ちゃんと冒険者ギルドでの会話を覚えていたようで、迷いの森に向けて一直線だ。
街道ではない草原をただひたすら走る。
テトシロもモコの横を並走しているが、スキップしたりステップふんだり、各々楽しそうに走っている。
一時間ほどモコの気が進むままに進んでいき、森が見えてきた。
正直森の木々を見ても、ここがダンジョンとは思えない。
そこらへんの森と変わらないし、死の森との違いもない。
まあ、森から感じる魔物の強さには雲泥の差があるが。
帝都から直線状にやってきて見えた迷いの森に入るのではなく、そのまま右方面へと進んでいく。
このまま外周を進んでいると岩場に行きつくはずだ。
そこから森へと入り、そのままキャンプ地を探そう。
暖かい日差しを受けながらモコに揺られていると少し睡魔が襲ってくる。
もうすぐ昼時だし、森を探索する前に食事にでもしようかな?
今までためてきた死の森産牛肉も大量にあるし、お昼はBBQだな。
「わふ」
「そうだね。ここら辺から森に入ろうか。ティナ起きて」
「んー。ごはん?」
「まだだよー。今からダンジョンに入るから一応起きててね」
一度、モコから降り、俺を背もたれにして寝ていたティナを起こす。
ティナは腕をぐっと天に伸ばし、眠っている体を起こす。
横では同じくティナの腕の中で寝ていたシロも体を伸ばしている。
太陽の明かりを浴び、気持ちよさそうに伸びをしている一人と一匹。
ほんと可愛い子ちゃんたちだ。
テトモコも休憩で体をぐでーと草原に投げている。
気持ちいいよなー。俺もそうしたいが、俺は寝そうなので、心地よい風を立ったまま堪能する。
木々の匂い、土の匂い。死の森とは違った香りがするがやはり自然は気持ちいい。
「わふ」
「じゃー行こうか。寝れそうな場所があったら教えてね」
「にゃー」
岩部が見え始めたところで森に入ったが。なんとも不思議な光景だ。
線を引いて右側が岩場、左側は森。普通ならありえない光景だが、ダンジョンだからなせる業か。
何かの力により綺麗に分けられた土地。それがこの森がダンジョンだと知らしめている。
「にゃにゃにゃっ。にゃんにゃん」
「きゅうきゅう」
テトモコシロティナはご機嫌に鼻歌を歌いながら迷いの森を進んでいく。
その傍らで、襲ってくるゴブリンなどに対処する。
まあ、大鎌で一撃なんだけどね。死体も放置しとけばダンジョンが飲み込んでくれるだろうし。放置だ。
「にゃー」
「水辺があるのか?」
「にゃにゃ」
ほう、川が流れているのか、ほんと普通の森となんら変わり様はないな。
ダンジョンの魔物の生態に詳しいわけではないが、一体だれが川を使っているのか。
少し開けたところに川が流れており、テントも十分広げられそうだ。
「じゃー、俺は肉焼いとくから、みんなは周りの探索してきてよ」
「ティナは?」
「うーーん。モコの上にいるなら見てきていいよ」
「やったぁー」
とりあえずテントを出し、大量の肉をコンロで焼いていく。
うちの子たちが満足する量になるとほんと大変だからね。
「わふ」
黙々と肉を焼いていると、周りの探索を終えたモコから声がかかる。
「おか……えり。モコ?後ろの方は誰かな?」
「わふわふわふ。わんわん」
モコの後ろには九匹のウルフ種の魔物。
ティナのこと可愛いって言ったから連れてきたって、どうゆうことかな?
「あのねー。お肉食べたいんだってー。おいしそうな匂いがするって」
ティナが代わりにウルフ種の言葉だろう物教えてくれるが。
そもそもダンジョン産の魔物にそこまでの知性があるのか?
不思議に思いつつも、モコの指示に従い、モコの後ろにお座りしている九頭。
「敵意はない?ティナを傷つけたら許さないよ?」
「わふわふ」
大丈夫って。モコさんよ。いつのまに上下関係を植え付けたのかな?
ひときわ大きなウルフのしっぽが元気なく、しおれているじゃないか。
それにウルフたちは首を揃えて横に振っている。
「わふわふ、わふわふわん」
なるほど、岩場とこの森を拠点にしているウルフで、いつもは迷いの森で狩りして生活していると。
それにテフテフの実の場所知っているから、その代わりに肉あげる契約にした。
まあ、肉をあげるのはいいんだけどさ、脅してはないよね?
ちゃんと話し合いで決めたんだよね?
モコ?こっち見て?
「わふ……」
九頭のウルフは綺麗に合わせて首をふる。
「わかった。じゃーお肉あげるから、テフテフの実の採取手伝ってね」
「わふわふわふ。わん」
「「「ぐるー」」」
九頭揃っての返事は威圧感があるが、グレーの毛色がモフモフそうで、早くも触りたい。
ティナは緊張しているウルフのことなんて気にせず、背中を撫でている。ウルフは撫でられることに戸惑っているが、次第に目を細めてきもちよさそうな顔になる。
せっかくだから、ブラッシングもしてやろうかね。
おそらく、うちのモコが脅したみたいだから、飼い主として、できることはしてやろう。
ただ、俺の焼く作業が三倍ぐらいになったけどね。
とりあえず焼いたものをみんなに配っていくが、ウルフたちは口にせず待っている。
どうしたんだろうか。
「わふ」
「「「ぐるー」」」
モコの一声で、一斉に食べ始めるウルフ。
犬は上下関係が決まると、その関係性を大切にするというが、ここまで綺麗に上下関係があるとわ。
焼肉だけでは足りないし、提供スピードが追い付かないので、もつ煮込みも出しておく。
魔物だけで一二匹。さすがにこれだけの数になると、一回の食事量も大変になるな。
帝都を出て西へとかけるモコ。
指示はしていないが、ちゃんと冒険者ギルドでの会話を覚えていたようで、迷いの森に向けて一直線だ。
街道ではない草原をただひたすら走る。
テトシロもモコの横を並走しているが、スキップしたりステップふんだり、各々楽しそうに走っている。
一時間ほどモコの気が進むままに進んでいき、森が見えてきた。
正直森の木々を見ても、ここがダンジョンとは思えない。
そこらへんの森と変わらないし、死の森との違いもない。
まあ、森から感じる魔物の強さには雲泥の差があるが。
帝都から直線状にやってきて見えた迷いの森に入るのではなく、そのまま右方面へと進んでいく。
このまま外周を進んでいると岩場に行きつくはずだ。
そこから森へと入り、そのままキャンプ地を探そう。
暖かい日差しを受けながらモコに揺られていると少し睡魔が襲ってくる。
もうすぐ昼時だし、森を探索する前に食事にでもしようかな?
今までためてきた死の森産牛肉も大量にあるし、お昼はBBQだな。
「わふ」
「そうだね。ここら辺から森に入ろうか。ティナ起きて」
「んー。ごはん?」
「まだだよー。今からダンジョンに入るから一応起きててね」
一度、モコから降り、俺を背もたれにして寝ていたティナを起こす。
ティナは腕をぐっと天に伸ばし、眠っている体を起こす。
横では同じくティナの腕の中で寝ていたシロも体を伸ばしている。
太陽の明かりを浴び、気持ちよさそうに伸びをしている一人と一匹。
ほんと可愛い子ちゃんたちだ。
テトモコも休憩で体をぐでーと草原に投げている。
気持ちいいよなー。俺もそうしたいが、俺は寝そうなので、心地よい風を立ったまま堪能する。
木々の匂い、土の匂い。死の森とは違った香りがするがやはり自然は気持ちいい。
「わふ」
「じゃー行こうか。寝れそうな場所があったら教えてね」
「にゃー」
岩部が見え始めたところで森に入ったが。なんとも不思議な光景だ。
線を引いて右側が岩場、左側は森。普通ならありえない光景だが、ダンジョンだからなせる業か。
何かの力により綺麗に分けられた土地。それがこの森がダンジョンだと知らしめている。
「にゃにゃにゃっ。にゃんにゃん」
「きゅうきゅう」
テトモコシロティナはご機嫌に鼻歌を歌いながら迷いの森を進んでいく。
その傍らで、襲ってくるゴブリンなどに対処する。
まあ、大鎌で一撃なんだけどね。死体も放置しとけばダンジョンが飲み込んでくれるだろうし。放置だ。
「にゃー」
「水辺があるのか?」
「にゃにゃ」
ほう、川が流れているのか、ほんと普通の森となんら変わり様はないな。
ダンジョンの魔物の生態に詳しいわけではないが、一体だれが川を使っているのか。
少し開けたところに川が流れており、テントも十分広げられそうだ。
「じゃー、俺は肉焼いとくから、みんなは周りの探索してきてよ」
「ティナは?」
「うーーん。モコの上にいるなら見てきていいよ」
「やったぁー」
とりあえずテントを出し、大量の肉をコンロで焼いていく。
うちの子たちが満足する量になるとほんと大変だからね。
「わふ」
黙々と肉を焼いていると、周りの探索を終えたモコから声がかかる。
「おか……えり。モコ?後ろの方は誰かな?」
「わふわふわふ。わんわん」
モコの後ろには九匹のウルフ種の魔物。
ティナのこと可愛いって言ったから連れてきたって、どうゆうことかな?
「あのねー。お肉食べたいんだってー。おいしそうな匂いがするって」
ティナが代わりにウルフ種の言葉だろう物教えてくれるが。
そもそもダンジョン産の魔物にそこまでの知性があるのか?
不思議に思いつつも、モコの指示に従い、モコの後ろにお座りしている九頭。
「敵意はない?ティナを傷つけたら許さないよ?」
「わふわふ」
大丈夫って。モコさんよ。いつのまに上下関係を植え付けたのかな?
ひときわ大きなウルフのしっぽが元気なく、しおれているじゃないか。
それにウルフたちは首を揃えて横に振っている。
「わふわふ、わふわふわん」
なるほど、岩場とこの森を拠点にしているウルフで、いつもは迷いの森で狩りして生活していると。
それにテフテフの実の場所知っているから、その代わりに肉あげる契約にした。
まあ、肉をあげるのはいいんだけどさ、脅してはないよね?
ちゃんと話し合いで決めたんだよね?
モコ?こっち見て?
「わふ……」
九頭のウルフは綺麗に合わせて首をふる。
「わかった。じゃーお肉あげるから、テフテフの実の採取手伝ってね」
「わふわふわふ。わん」
「「「ぐるー」」」
九頭揃っての返事は威圧感があるが、グレーの毛色がモフモフそうで、早くも触りたい。
ティナは緊張しているウルフのことなんて気にせず、背中を撫でている。ウルフは撫でられることに戸惑っているが、次第に目を細めてきもちよさそうな顔になる。
せっかくだから、ブラッシングもしてやろうかね。
おそらく、うちのモコが脅したみたいだから、飼い主として、できることはしてやろう。
ただ、俺の焼く作業が三倍ぐらいになったけどね。
とりあえず焼いたものをみんなに配っていくが、ウルフたちは口にせず待っている。
どうしたんだろうか。
「わふ」
「「「ぐるー」」」
モコの一声で、一斉に食べ始めるウルフ。
犬は上下関係が決まると、その関係性を大切にするというが、ここまで綺麗に上下関係があるとわ。
焼肉だけでは足りないし、提供スピードが追い付かないので、もつ煮込みも出しておく。
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