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第60話 絵を描いてもらうぞ
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「おはよっ。今日はなにするっ?」
朝、目が覚めると、目の前には天使のほほえみがあった。
プラチナブランドの髪がさらさらと風に揺れ、朝の光によりその光沢が宝石のように輝いている。
もしかしたら、もふもふのパジャマを着た天使が俺を天国にいざなっているのかもしれない。
地球での人生をあっけなく終え。
異世界に転移して2年が過ぎた今日、この世界でも俺はあっけなく死を迎えるのかもしれない。
さらさらの黒猫のテト。もふもふの黒犬のモコ。ふわふわの白キツネのシロ。
この子達に会えて幸せだった。
ありきたりな言葉しかでてこないが、充実した癒しの時間を過ごせて俺は恵まれていた。
また異世界で生をうけるのなら、一緒に旅がしたいものだ。
「もう、ソーラー。起きて―」
ほら。天使のささやきが聞こえるだろ?
俺は一足さきに天使の楽園へと向かわせてもらうよ。
「いてっ」
ドスっという音をたて、ベットの上であお向けている俺の腹に三つの衝撃が走る。
衝撃の出所を見ると、黒きもふもふが二つ、白きもふもふが一つ。
「もう。テトモコシロ。朝からお腹にダイブするのはダメって言っただろ?」
「にゃにゃにゃにゃん」
「わふわーーんわんわん」
「きゅきゅきゅーん」
テトモコシロから非難の鳴き声が聞こえる。
「目覚めでティナの顔を見たら、ここが天国だと思ってしまったんだよ」
こら君たち、やれやれみたいな表情をするのはやめてくれないかな。
君たちほんと顔の表情の変化がすごいよね。
俺もなんでこんなに伝わるのかわからないぐらいに気持ちを理解できているよ。
テトモコシロ。君たちは今俺のことをバカだと思っているね?
うんうん。頷いているけど、声に出して聞いてないからね?
「にゃにゃ」
顔に出てる?
そうか、俺も顔の表情の変化がわかりやすいのか。
「もー。ティナの質問は??ティナを無視して遊ぶのはだめー」
俺とテトモコシロのやり取りを遊びととらえているティナが、勢いよく俺に飛び込んできた。
仰向けで寝ている俺の胸へとティナの体が落ちてくる。
「くっ」
大丈夫だ。ご褒美だ。
羽毛のように軽いティナを胸で受け止め、痛みのありがたさを体全体で感じる。
「わふ」
はいはい。起きますよっと。
「今日は絵を書いてもらいます」
「絵?」
「そうだよ。これは思い出作りなんだぞ。可愛いテトモコシロを絵で見たくないか?」
「みたーーい」
ティナをその気にさせることができた。
あとは絵描きさんに頼むだけ。
「フィリア様。俺たちの絵を描いてくれる人はどこにいらっしゃるのでしょうか」
「……ソラ。朝から気持ち悪いのだけど。変な物でも食べた?」
「いえいえ、フィリア様にはいつもお世話になっていますからね。それでどうなのでしょうか」
「口調を治さないなら教えないわよ」
ちっ。ノリが悪い女だ。
俺がこうしてへりくだっているのに、文句しか言ってこない。
朝は低血圧なのか?機嫌がわるいのか?
「わかったよ。で、結局どうなのよ」
「この前も言ってたから、うちの絵を描いてくれた人に頼んでいたわよ。日程とかは予定がなければその日でもいいって返事がきたからいつでもいいと思うわ」
「おおー。仕事が早い。ありがと。今日描いてもらいたい」
「私じゃなくてサバスが手配していたわ。サバスに聞いてみて。じゃー私はもういくわ」
フィリアはカバン持ち、チロを連れて学校へと向かった。
俺たちもサバスさんを探し、絵描きさんのことを聞いてみよう。
「サバスさん。絵を描いて欲しいんだけど絵描きさんに連絡とってもらってもいいですか?」
「わかりました。メイドに行かせましょう。おそらく昼には屋敷に来てもらえると思うので、こちらでゆっくりしていてください」
「ありがとう」
「ありがとぅ」
うちの子たちも絵が楽しみなのか、しっぽをふりふり
もふもふタイムでもいて時間をつぶしていきますか。
ティナは手に魔力をこめているので、回復魔法の練習も兼ねるようだ。
「ソラ君。ティナちゃん。絵描きの人が来られました」
「はーい」
自室でまったりとしていると、サバスさんから声がかかる。
時間は昼食を食べ終わり、ちょうどうちの子たちの眠気が来る時間だ。
「お待たせしました。絵描きをしています。ミラン・バレーです」
「ソラです。よろしくお願いします」
「ティナですっ」
細身の眼鏡の男性は人当たりのいい笑顔で自己紹介をする。
手には大きなバックを持っており、そこに仕事道具が入っているのだろう。
サバスさんの手には紙をセットするであろう木で作られた板が持たれている。
「どんな構図で取りたいですか?」
「んー。どんなのがありますか?」
家族写真のイメージだと椅子に座るか、立ったままの写真のイメージしかない。
記念の写真だとそんなもんだけど、この世界ではどんな構図で絵を描くいているのだろう。
「家族の絵ですとソファーなどに腰掛けて描かれるのが一般的ですね。一人の肖像画ならその人の個性が出るように、読書している姿やお茶している姿、乗馬している姿などを描くこともあります」
「んー。うちの子たちの可愛さが絵として保存できればいいからおまかせします」
こういうものはプロの方にお任せするのが一番なんだよ。
経験談だが、自分で考えた写真の構図で撮ってみても、やはりプロと比べると見劣りする。
同じものを撮っているはずなのに、光の加減、影の出方、その物の見た目がまったく違った印象をうける。
プロはそれぞれ独自な視点で撮っているのだろうが、やはりそれで飯を食っている人たちだ。
素人の俺が考えるよりも深い絵になるはずだ。
「わかりました。こちらで考えさえていだたきます。ではまず、ソファーに座っていただけますか?」
俺たちはミランさんの指示に従い、ソファーに座る。
うちの子たちも楽しみなのかさっと座るが、しっぽがふりふりと反応している。
「テトモコシロしっぽが動いているぞ」
「にゃっ」
そう指摘すると、ぴたっとテトモコのしっぽが止まる。
シロは少し揺れているが、まあ、大丈夫だろ。
思い思いの座り方で絵を描いてもらう。
「そんなにピシッとしなくてもいいですよ。私のイメージも加えて脚色するつもりですので」
どうやら、じっとしている必要はないようだ。
これはありがたい。俺やテトモコなら数時間ほどは行けるが、ティナシロはおそらく無理だ。
もって5分ってところかな?日本だと写真なんか一瞬だろうけどやはり絵となるとどれくらいかかるのだろうか。
友達に絵を描いてもらったことはあるけど、時間を聞いたことがなかったな。
一日二日で書けるのかな?
「もういいですよ。部屋で自由に過ごしていてください。その間に私の方で軽く書かせてもらいます」
ソファーにいたのは10分ぐらいだろうか。
ささっと描きあげ、下書き?というものを書き終わったらしい。
俺たちはそれぞれモフモフタイムへと移る。ミランさんのことを気にせずただの休日を過ごしているだけだ。ティアはブラシを持ち、モコの毛をといている。
俺も暇だし、読書でもしよう。
視界の隅で感じる光の弱まりに気づき、あたりを見渡すと、もう夕暮れのようだ。
窓から入る光は弱くなり、夜の訪れを感じる。
それにしても時間を忘れるほど面白い本だった。
内容は地球ではありきたりな貴族令嬢の婚約破棄からのやり返しだった。
おっとりとした性格の女性が謂れのない罪で婚約破棄をされ、挙句の果てに国家転覆を狙ったと容疑をかけられた。女性は逃げることに成功したが、両親はその罪をかぶせられ処刑される。女性は悲しみにくれるが、処刑をした国を壊していくという物語だ
「下書きはある程度描き終えましたので、持ち帰り描かせてもらいます。数日かかりますができたらラキシエール伯爵家に届けるのでよかったでしょうか?」
あ、ミランさんまだいたんだった。
「ありがとうございます。それでお願いします。料金はどれぐらいですか?」
「そうですね。大銀貨三十枚でどうでしょうか」
おおー。三十万円。結構いい値がするな。
でも、日本でもプロの方に頼んだら絵ってそんぐらいするのだろうか?
それにこの世界では絵でしか姿を保存できないしな。
「はい」
大銀貨三十枚を渡し、ミランさんに礼を言う。
どんな絵になるんだろうな。
下書きも見ていないのでどんな内容かわからないが楽しみだ。
朝、目が覚めると、目の前には天使のほほえみがあった。
プラチナブランドの髪がさらさらと風に揺れ、朝の光によりその光沢が宝石のように輝いている。
もしかしたら、もふもふのパジャマを着た天使が俺を天国にいざなっているのかもしれない。
地球での人生をあっけなく終え。
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さらさらの黒猫のテト。もふもふの黒犬のモコ。ふわふわの白キツネのシロ。
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また異世界で生をうけるのなら、一緒に旅がしたいものだ。
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ほら。天使のささやきが聞こえるだろ?
俺は一足さきに天使の楽園へと向かわせてもらうよ。
「いてっ」
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衝撃の出所を見ると、黒きもふもふが二つ、白きもふもふが一つ。
「もう。テトモコシロ。朝からお腹にダイブするのはダメって言っただろ?」
「にゃにゃにゃにゃん」
「わふわーーんわんわん」
「きゅきゅきゅーん」
テトモコシロから非難の鳴き声が聞こえる。
「目覚めでティナの顔を見たら、ここが天国だと思ってしまったんだよ」
こら君たち、やれやれみたいな表情をするのはやめてくれないかな。
君たちほんと顔の表情の変化がすごいよね。
俺もなんでこんなに伝わるのかわからないぐらいに気持ちを理解できているよ。
テトモコシロ。君たちは今俺のことをバカだと思っているね?
うんうん。頷いているけど、声に出して聞いてないからね?
「にゃにゃ」
顔に出てる?
そうか、俺も顔の表情の変化がわかりやすいのか。
「もー。ティナの質問は??ティナを無視して遊ぶのはだめー」
俺とテトモコシロのやり取りを遊びととらえているティナが、勢いよく俺に飛び込んできた。
仰向けで寝ている俺の胸へとティナの体が落ちてくる。
「くっ」
大丈夫だ。ご褒美だ。
羽毛のように軽いティナを胸で受け止め、痛みのありがたさを体全体で感じる。
「わふ」
はいはい。起きますよっと。
「今日は絵を書いてもらいます」
「絵?」
「そうだよ。これは思い出作りなんだぞ。可愛いテトモコシロを絵で見たくないか?」
「みたーーい」
ティナをその気にさせることができた。
あとは絵描きさんに頼むだけ。
「フィリア様。俺たちの絵を描いてくれる人はどこにいらっしゃるのでしょうか」
「……ソラ。朝から気持ち悪いのだけど。変な物でも食べた?」
「いえいえ、フィリア様にはいつもお世話になっていますからね。それでどうなのでしょうか」
「口調を治さないなら教えないわよ」
ちっ。ノリが悪い女だ。
俺がこうしてへりくだっているのに、文句しか言ってこない。
朝は低血圧なのか?機嫌がわるいのか?
「わかったよ。で、結局どうなのよ」
「この前も言ってたから、うちの絵を描いてくれた人に頼んでいたわよ。日程とかは予定がなければその日でもいいって返事がきたからいつでもいいと思うわ」
「おおー。仕事が早い。ありがと。今日描いてもらいたい」
「私じゃなくてサバスが手配していたわ。サバスに聞いてみて。じゃー私はもういくわ」
フィリアはカバン持ち、チロを連れて学校へと向かった。
俺たちもサバスさんを探し、絵描きさんのことを聞いてみよう。
「サバスさん。絵を描いて欲しいんだけど絵描きさんに連絡とってもらってもいいですか?」
「わかりました。メイドに行かせましょう。おそらく昼には屋敷に来てもらえると思うので、こちらでゆっくりしていてください」
「ありがとう」
「ありがとぅ」
うちの子たちも絵が楽しみなのか、しっぽをふりふり
もふもふタイムでもいて時間をつぶしていきますか。
ティナは手に魔力をこめているので、回復魔法の練習も兼ねるようだ。
「ソラ君。ティナちゃん。絵描きの人が来られました」
「はーい」
自室でまったりとしていると、サバスさんから声がかかる。
時間は昼食を食べ終わり、ちょうどうちの子たちの眠気が来る時間だ。
「お待たせしました。絵描きをしています。ミラン・バレーです」
「ソラです。よろしくお願いします」
「ティナですっ」
細身の眼鏡の男性は人当たりのいい笑顔で自己紹介をする。
手には大きなバックを持っており、そこに仕事道具が入っているのだろう。
サバスさんの手には紙をセットするであろう木で作られた板が持たれている。
「どんな構図で取りたいですか?」
「んー。どんなのがありますか?」
家族写真のイメージだと椅子に座るか、立ったままの写真のイメージしかない。
記念の写真だとそんなもんだけど、この世界ではどんな構図で絵を描くいているのだろう。
「家族の絵ですとソファーなどに腰掛けて描かれるのが一般的ですね。一人の肖像画ならその人の個性が出るように、読書している姿やお茶している姿、乗馬している姿などを描くこともあります」
「んー。うちの子たちの可愛さが絵として保存できればいいからおまかせします」
こういうものはプロの方にお任せするのが一番なんだよ。
経験談だが、自分で考えた写真の構図で撮ってみても、やはりプロと比べると見劣りする。
同じものを撮っているはずなのに、光の加減、影の出方、その物の見た目がまったく違った印象をうける。
プロはそれぞれ独自な視点で撮っているのだろうが、やはりそれで飯を食っている人たちだ。
素人の俺が考えるよりも深い絵になるはずだ。
「わかりました。こちらで考えさえていだたきます。ではまず、ソファーに座っていただけますか?」
俺たちはミランさんの指示に従い、ソファーに座る。
うちの子たちも楽しみなのかさっと座るが、しっぽがふりふりと反応している。
「テトモコシロしっぽが動いているぞ」
「にゃっ」
そう指摘すると、ぴたっとテトモコのしっぽが止まる。
シロは少し揺れているが、まあ、大丈夫だろ。
思い思いの座り方で絵を描いてもらう。
「そんなにピシッとしなくてもいいですよ。私のイメージも加えて脚色するつもりですので」
どうやら、じっとしている必要はないようだ。
これはありがたい。俺やテトモコなら数時間ほどは行けるが、ティナシロはおそらく無理だ。
もって5分ってところかな?日本だと写真なんか一瞬だろうけどやはり絵となるとどれくらいかかるのだろうか。
友達に絵を描いてもらったことはあるけど、時間を聞いたことがなかったな。
一日二日で書けるのかな?
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ソファーにいたのは10分ぐらいだろうか。
ささっと描きあげ、下書き?というものを書き終わったらしい。
俺たちはそれぞれモフモフタイムへと移る。ミランさんのことを気にせずただの休日を過ごしているだけだ。ティアはブラシを持ち、モコの毛をといている。
俺も暇だし、読書でもしよう。
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窓から入る光は弱くなり、夜の訪れを感じる。
それにしても時間を忘れるほど面白い本だった。
内容は地球ではありきたりな貴族令嬢の婚約破棄からのやり返しだった。
おっとりとした性格の女性が謂れのない罪で婚約破棄をされ、挙句の果てに国家転覆を狙ったと容疑をかけられた。女性は逃げることに成功したが、両親はその罪をかぶせられ処刑される。女性は悲しみにくれるが、処刑をした国を壊していくという物語だ
「下書きはある程度描き終えましたので、持ち帰り描かせてもらいます。数日かかりますができたらラキシエール伯爵家に届けるのでよかったでしょうか?」
あ、ミランさんまだいたんだった。
「ありがとうございます。それでお願いします。料金はどれぐらいですか?」
「そうですね。大銀貨三十枚でどうでしょうか」
おおー。三十万円。結構いい値がするな。
でも、日本でもプロの方に頼んだら絵ってそんぐらいするのだろうか?
それにこの世界では絵でしか姿を保存できないしな。
「はい」
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