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第9話 別れと出会い
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「……ドーラ」
「ティナよ、いつでも呼べば会えるだろう」
「でも……さみしい」
ティナがドーラに抱き着き、駄々をこねている。
まあ、気持ちはわかるんだけどね。
命を救ってくれたドーラに離れてはほしくないだろう。
「ドーラやっぱり俺たちと一緒にこないか?」
「やめておこう。わしはひとりきままにこの世界を見守るのが楽しいんじゃ。知り合いとも会いたいしのう」
そうだよな。
ドーラから昔一度だけ人間と旅をしたことがあると聞いたときは、一緒に来てくれないかと誘ってみたが駄目だった。
人間の一生は短いぞ。
その時に言われた言葉だが、長命ならではの悩みなのだろう。
どうしても、ドラゴンより長く生きることは不可能だ。
楽しく旅をしていた仲間がいずれ旅をしなくなり、ベットの上でなくなっていく。
おそらくドーラは一度その経験をし、人とあまり関りを持とうとしていないのだろう。
詳しくは聞いていないが、ドーラがいて、戦死なんてあるわけがないだろうしな。
「ティナ」
「……わかった。ドーラ元気でね」
「わしはずっと元気じゃぞ」
泣きじゃくるティナをあやすように、大きな翼で包み込む。
「ではな、そろそろわしはいこう。この森を西に向かえばヴァロン帝国があるはずじゃ」
「あー、ありがとな。命の危険を感じたら呼ぶよ」
「わしを呼んでいいのはティナだけじゃ。ティナに頼むとよい」
「そうするよ」
「達者での」
「またね……」
大きな翼をはためかせて、白い巨体のドラゴンが飛び立っていく。
その姿が見えなくなるまでティナは手を振り見送っていた。
「行っちゃった……」
「一生の別れじゃないんだ。もっと成長したティナをドーラに見せてやろうな」
「うんっ」
涙をこぼしていたティナは両手を胸の前にあげ、がんばるぞと意気込んでいる。
「じゃー、俺たちもいこっか」
「うんっ」
「にゃー」
「わふ」
結界の外に出て、西に向かった俺たちは、一週間たってもまだ死の森の中にいた。
中心からはだいぶ離れたと思うが、風景はあまり変わらず、木々が生い茂っている。
「この森デカすぎだろ」
「大きいね」
「こんなことならドーラに連れて行ってもらえばよかった」
「にゃにゃー」
索敵を行いつつ、敵対した魔物と戦い、また進む。これの繰り返しだ。
そして死の森の魔物が多すぎるんだよ。
ティナはモコの上に乗り移動しているので、それなりのスピードで進めているが、体力の限界がくるのが早い。
そのため、数時間おきに休憩はとっている。
また日が暮れ始める前に、夜を過ごせる場所を探し、寝る場所を確保しないといけない。
今はようやく寝る場所が決まり、晩御飯を食べている最中だ。
「ねえねえ、ソラ」
「ん?どうした?」
「声がきこえない?」
ティナの言葉を聞き、瞬時に臨戦態勢にはいる。
テトモコも気づいていなかったのか、ティナの声で、周囲を見渡す。
「にゃ」
「わん」
魔物の気配はしないか。
俺も一応索敵するが魔物の気配は感じない。
臨戦態勢を解き、ティナへと近づく。
「周りに魔物はいないみたいだけど、どんな声なんだ?」
「あのね、聞こえずらいんだけど、泣いているみたいなの、助けてって」
テトモコを見るが、首をふっている。
テトモコが聞こえない声?
「それはどちらから聞こえてくるんだ?」
「えっとね……あっち」
ティナは声の出所を探るように、目をつむり、方向を示す。
「あの、大きな岩が見える方向か?」
「うん、たぶんだけど……」
どうするか。
夜の森は危険だ。移動なんてもっと危険である。
「ティナは、助けてあげたい……」
「何がおきるかわからないぞ?」
「……ティナはドーラがいたから助かったの。ティナは何もできなかった」
「……わかったよ。助けに行くか。でもティナはモコの上から降りないこと。約束できる?」
「うん。約束する」
声が聞こえていない俺には状況がわからない。
ティナは自分のことを思い出し、何もできなかったことを悔いているのか。
または、助けを呼んでいるものに対してドーラのように自分が助けたいのか。
どちらにせよ、ティナが助けたいというのなら、それを全力でこなすだけだ。
「警戒をしていくぞ、何がいるかわからん」
モコの出した火を頼りに、静かな暗闇を進んでいく。
「近づいてるよ。声が大きくなってきた」
「わふわふわん」
「にゃーにゃんにゃん」
岩の周りに数匹の魔物がいるか。
そして、テトモコにも声が聞こえたらしい。
「声の主はどこら辺にいそうだ?」
「にゃーにゃ」
「岩に一番近いところだって」
「近づいて、状況を確認しよう」
俺たちは音を立てず、暗闇を走る。
そして前方を走っていたテトが止まった。
それを合図に俺とテトは影入りし、影世界でテトと合流する。
ティナとモコは後方で待機だ。
俺たちは影世界を走っていき、大きな岩があるすこし開けた場所にでた。
「さて。岩の手前にウルフ三体と、くぼみに小さいのが一体いるな。ウルフの魔法がくぼみに向かっているがはじかれてるみたいだ」
「にゃー」
「声の主はくぼみの小さいのか。じゃーウルフをやっちまうか。テトは左と真ん中を、俺は右をやる」
「にゃにゃ」
「三、二、一、GO」
合図とともに、俺とテトは、表世界にでて、即座に魔法を放つ。
俺は風の刃を飛ばし、ウルフの体を横一線で断ち切る。
テトは水の刃を二本上空に発生させ、二匹の首へと落とし絶命させる。
ウルフにしてみれば何が起こったさえわからず死んだのだろう。
「終わったな。テト、声の主に話しかけてみてくれ」
「にゃー」
テトは了解すると、くぼみに近づき、声の主に話しかける。
会話をし始めたのか、中からきゅうきゅうと鳴き声が聞こえている。
「にゃおーーん」
心配するように聞き、話していたテトがいきなり大声をあげた。
すると、後方に待機していたモコとティナがやってきた。
「テトちゃんどうしたの?」
ティナは心配そうにテトに尋ねる。
テトの話を聞いているティナは、悲しそうな顔になったと思ったら、次は怒ったような顔になり、今では心配そうな顔をしてる。
会話しているところを見ているが俺にはさっぱりわからん。
とりあえず、声の主が敵対してないのはわかるが。
「あの、ティナ?説明してもらっていいか?」
「あ、あのね、キツネちゃんはね、親に捨てられてから、1人でさまよっていて、この森についたけど、怖くてくぼみからでてこれなくなっちゃったみたい」
「キツネ?」
「うん。テトちゃんがそう言ってる。まだくぼみの中にいるみたいだよ」
「敵対はしてないんだな?テト」
「にゃっ」
「じゃー、このご飯と水をキツネにあげてやろう。出てこれなくなったのがいつかはわからないが、お腹がすいてるかもしれん」
「にゃー」
テトはくぼみに近づき、ご飯や、水の入った皿を置いていく。
きゅうっと鳴く声がすると、くぼみから白い毛のキツネが恐る恐る出てきた。
茶色の瞳でちらちらとこちらの様子をうかがっていいる。
「わぁ、キツネちゃんだー」
目を輝かして、今にも飛び出しそうなティナをモコが咥える。
「こーら、ティナ。勝手にモコの上から降りたらダメだろ?」
「ううー、ごめんなさい」
俺たちはキツネから距離を取り、見える範囲で腰かけ、食べ損ねた食事を食べていく。
その間にもティナはずっとキツネを見ているが、キツネはお腹が減っていたのか、一心不乱にごはんに食いついている。
食べ終わったのか顔上げ、こちらをみる白キツネ。
「まだ食べ物はいっぱいあるぞ」
影収納から、焼いた肉を取り出し皿に盛り、地面に置く。
「きゅ?」
「食べていいよっ、こっちおいで」
ティナは優しく白キツネに応える。
白キツネは、警戒しながらトコトコ歩いてきて、肉を食べ始める。
「ソラ、……この子連れていっちゃだめ?」
んー、難しい質問だ。
子供が道端でひろった子犬をペットにしたいと言ってきた時の親の気持ちがわかるよ。
日本のペット事情で困ることは、食費やしつけ、その他もろもろの経費、住居問題なんだろうが、今回は違う。
白キツネ、魔物なんだよな。しかもTHE野生。
テトモコは神様が与えてくれたものだし、知性があり、問題が今まで起きたことがない。
でも、これから俺たちが行く場所は人間の街なんだよ。死の森の家とは勝手がちがう。
テトモコはおそらく問題を起こさないだろう。
だが、白キツネがどれくらい理解でき、約束を守れるかわからない。
「わふわふーわおん」
「モコちゃんも面倒みてあげるっていってくれてるよ?」
「テトモコには、前にも話したが、むやみやたらに人間に攻撃しないとか、店の物を壊さないとか、その白キツネは理解できそうか?」
「ティナが教えるよっ」
「にゃー」
ティナとテトが元気にまかせてと言っているが……
「モコできそうか?」
「わふ」
テトモコで、こういうときに頼りになるのはどちらかというとモコだ。ティナもまだ子供だし。
テシテシ攻撃がテトにより行われているが、ちょっと今はスルー。
「白キツネがついてきたいって言ったらだからな。無理やりはダメだ。」
「うんっ、わかった。お話してくる」
そういうと、ティナはテトモコを引き連れ、白キツネに近づき、会話し始めた。
白キツネは最初警戒していたが、話していくうちに、元気な鳴き声を上げるようになった。
にゃんわんきゅうとモフモフ会議は五分ほど続いた。
「シロちゃんついてきたいって」
「名前があったのか?またわかりやすい名前だな」
「ティナが決めたんだよ。かわいいでしょう。白い毛で四本のしっぽがあるからシロ」
「なるほど、ちゃんと考えたんだな」
てっきり、白いモフモフだからシロって安易につけたと思ったんだがな。
四のシも組み合わさっていると。
家で本を読んでいたとは聞いたが、5歳児ってこんなに賢かったかな?
「これからよろしくな。シロ」
「きゅーー」
夜も更けているので、その日は岩の近くで夜を過ごす。
「ティナよ、いつでも呼べば会えるだろう」
「でも……さみしい」
ティナがドーラに抱き着き、駄々をこねている。
まあ、気持ちはわかるんだけどね。
命を救ってくれたドーラに離れてはほしくないだろう。
「ドーラやっぱり俺たちと一緒にこないか?」
「やめておこう。わしはひとりきままにこの世界を見守るのが楽しいんじゃ。知り合いとも会いたいしのう」
そうだよな。
ドーラから昔一度だけ人間と旅をしたことがあると聞いたときは、一緒に来てくれないかと誘ってみたが駄目だった。
人間の一生は短いぞ。
その時に言われた言葉だが、長命ならではの悩みなのだろう。
どうしても、ドラゴンより長く生きることは不可能だ。
楽しく旅をしていた仲間がいずれ旅をしなくなり、ベットの上でなくなっていく。
おそらくドーラは一度その経験をし、人とあまり関りを持とうとしていないのだろう。
詳しくは聞いていないが、ドーラがいて、戦死なんてあるわけがないだろうしな。
「ティナ」
「……わかった。ドーラ元気でね」
「わしはずっと元気じゃぞ」
泣きじゃくるティナをあやすように、大きな翼で包み込む。
「ではな、そろそろわしはいこう。この森を西に向かえばヴァロン帝国があるはずじゃ」
「あー、ありがとな。命の危険を感じたら呼ぶよ」
「わしを呼んでいいのはティナだけじゃ。ティナに頼むとよい」
「そうするよ」
「達者での」
「またね……」
大きな翼をはためかせて、白い巨体のドラゴンが飛び立っていく。
その姿が見えなくなるまでティナは手を振り見送っていた。
「行っちゃった……」
「一生の別れじゃないんだ。もっと成長したティナをドーラに見せてやろうな」
「うんっ」
涙をこぼしていたティナは両手を胸の前にあげ、がんばるぞと意気込んでいる。
「じゃー、俺たちもいこっか」
「うんっ」
「にゃー」
「わふ」
結界の外に出て、西に向かった俺たちは、一週間たってもまだ死の森の中にいた。
中心からはだいぶ離れたと思うが、風景はあまり変わらず、木々が生い茂っている。
「この森デカすぎだろ」
「大きいね」
「こんなことならドーラに連れて行ってもらえばよかった」
「にゃにゃー」
索敵を行いつつ、敵対した魔物と戦い、また進む。これの繰り返しだ。
そして死の森の魔物が多すぎるんだよ。
ティナはモコの上に乗り移動しているので、それなりのスピードで進めているが、体力の限界がくるのが早い。
そのため、数時間おきに休憩はとっている。
また日が暮れ始める前に、夜を過ごせる場所を探し、寝る場所を確保しないといけない。
今はようやく寝る場所が決まり、晩御飯を食べている最中だ。
「ねえねえ、ソラ」
「ん?どうした?」
「声がきこえない?」
ティナの言葉を聞き、瞬時に臨戦態勢にはいる。
テトモコも気づいていなかったのか、ティナの声で、周囲を見渡す。
「にゃ」
「わん」
魔物の気配はしないか。
俺も一応索敵するが魔物の気配は感じない。
臨戦態勢を解き、ティナへと近づく。
「周りに魔物はいないみたいだけど、どんな声なんだ?」
「あのね、聞こえずらいんだけど、泣いているみたいなの、助けてって」
テトモコを見るが、首をふっている。
テトモコが聞こえない声?
「それはどちらから聞こえてくるんだ?」
「えっとね……あっち」
ティナは声の出所を探るように、目をつむり、方向を示す。
「あの、大きな岩が見える方向か?」
「うん、たぶんだけど……」
どうするか。
夜の森は危険だ。移動なんてもっと危険である。
「ティナは、助けてあげたい……」
「何がおきるかわからないぞ?」
「……ティナはドーラがいたから助かったの。ティナは何もできなかった」
「……わかったよ。助けに行くか。でもティナはモコの上から降りないこと。約束できる?」
「うん。約束する」
声が聞こえていない俺には状況がわからない。
ティナは自分のことを思い出し、何もできなかったことを悔いているのか。
または、助けを呼んでいるものに対してドーラのように自分が助けたいのか。
どちらにせよ、ティナが助けたいというのなら、それを全力でこなすだけだ。
「警戒をしていくぞ、何がいるかわからん」
モコの出した火を頼りに、静かな暗闇を進んでいく。
「近づいてるよ。声が大きくなってきた」
「わふわふわん」
「にゃーにゃんにゃん」
岩の周りに数匹の魔物がいるか。
そして、テトモコにも声が聞こえたらしい。
「声の主はどこら辺にいそうだ?」
「にゃーにゃ」
「岩に一番近いところだって」
「近づいて、状況を確認しよう」
俺たちは音を立てず、暗闇を走る。
そして前方を走っていたテトが止まった。
それを合図に俺とテトは影入りし、影世界でテトと合流する。
ティナとモコは後方で待機だ。
俺たちは影世界を走っていき、大きな岩があるすこし開けた場所にでた。
「さて。岩の手前にウルフ三体と、くぼみに小さいのが一体いるな。ウルフの魔法がくぼみに向かっているがはじかれてるみたいだ」
「にゃー」
「声の主はくぼみの小さいのか。じゃーウルフをやっちまうか。テトは左と真ん中を、俺は右をやる」
「にゃにゃ」
「三、二、一、GO」
合図とともに、俺とテトは、表世界にでて、即座に魔法を放つ。
俺は風の刃を飛ばし、ウルフの体を横一線で断ち切る。
テトは水の刃を二本上空に発生させ、二匹の首へと落とし絶命させる。
ウルフにしてみれば何が起こったさえわからず死んだのだろう。
「終わったな。テト、声の主に話しかけてみてくれ」
「にゃー」
テトは了解すると、くぼみに近づき、声の主に話しかける。
会話をし始めたのか、中からきゅうきゅうと鳴き声が聞こえている。
「にゃおーーん」
心配するように聞き、話していたテトがいきなり大声をあげた。
すると、後方に待機していたモコとティナがやってきた。
「テトちゃんどうしたの?」
ティナは心配そうにテトに尋ねる。
テトの話を聞いているティナは、悲しそうな顔になったと思ったら、次は怒ったような顔になり、今では心配そうな顔をしてる。
会話しているところを見ているが俺にはさっぱりわからん。
とりあえず、声の主が敵対してないのはわかるが。
「あの、ティナ?説明してもらっていいか?」
「あ、あのね、キツネちゃんはね、親に捨てられてから、1人でさまよっていて、この森についたけど、怖くてくぼみからでてこれなくなっちゃったみたい」
「キツネ?」
「うん。テトちゃんがそう言ってる。まだくぼみの中にいるみたいだよ」
「敵対はしてないんだな?テト」
「にゃっ」
「じゃー、このご飯と水をキツネにあげてやろう。出てこれなくなったのがいつかはわからないが、お腹がすいてるかもしれん」
「にゃー」
テトはくぼみに近づき、ご飯や、水の入った皿を置いていく。
きゅうっと鳴く声がすると、くぼみから白い毛のキツネが恐る恐る出てきた。
茶色の瞳でちらちらとこちらの様子をうかがっていいる。
「わぁ、キツネちゃんだー」
目を輝かして、今にも飛び出しそうなティナをモコが咥える。
「こーら、ティナ。勝手にモコの上から降りたらダメだろ?」
「ううー、ごめんなさい」
俺たちはキツネから距離を取り、見える範囲で腰かけ、食べ損ねた食事を食べていく。
その間にもティナはずっとキツネを見ているが、キツネはお腹が減っていたのか、一心不乱にごはんに食いついている。
食べ終わったのか顔上げ、こちらをみる白キツネ。
「まだ食べ物はいっぱいあるぞ」
影収納から、焼いた肉を取り出し皿に盛り、地面に置く。
「きゅ?」
「食べていいよっ、こっちおいで」
ティナは優しく白キツネに応える。
白キツネは、警戒しながらトコトコ歩いてきて、肉を食べ始める。
「ソラ、……この子連れていっちゃだめ?」
んー、難しい質問だ。
子供が道端でひろった子犬をペットにしたいと言ってきた時の親の気持ちがわかるよ。
日本のペット事情で困ることは、食費やしつけ、その他もろもろの経費、住居問題なんだろうが、今回は違う。
白キツネ、魔物なんだよな。しかもTHE野生。
テトモコは神様が与えてくれたものだし、知性があり、問題が今まで起きたことがない。
でも、これから俺たちが行く場所は人間の街なんだよ。死の森の家とは勝手がちがう。
テトモコはおそらく問題を起こさないだろう。
だが、白キツネがどれくらい理解でき、約束を守れるかわからない。
「わふわふーわおん」
「モコちゃんも面倒みてあげるっていってくれてるよ?」
「テトモコには、前にも話したが、むやみやたらに人間に攻撃しないとか、店の物を壊さないとか、その白キツネは理解できそうか?」
「ティナが教えるよっ」
「にゃー」
ティナとテトが元気にまかせてと言っているが……
「モコできそうか?」
「わふ」
テトモコで、こういうときに頼りになるのはどちらかというとモコだ。ティナもまだ子供だし。
テシテシ攻撃がテトにより行われているが、ちょっと今はスルー。
「白キツネがついてきたいって言ったらだからな。無理やりはダメだ。」
「うんっ、わかった。お話してくる」
そういうと、ティナはテトモコを引き連れ、白キツネに近づき、会話し始めた。
白キツネは最初警戒していたが、話していくうちに、元気な鳴き声を上げるようになった。
にゃんわんきゅうとモフモフ会議は五分ほど続いた。
「シロちゃんついてきたいって」
「名前があったのか?またわかりやすい名前だな」
「ティナが決めたんだよ。かわいいでしょう。白い毛で四本のしっぽがあるからシロ」
「なるほど、ちゃんと考えたんだな」
てっきり、白いモフモフだからシロって安易につけたと思ったんだがな。
四のシも組み合わさっていると。
家で本を読んでいたとは聞いたが、5歳児ってこんなに賢かったかな?
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「きゅーー」
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