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しおりを挟む「……紡久のことは、今は嫌いじゃない」
言った直後に照れくさくなったのか、希輝の白い頬に、薄っすらと赤色が差した。
協力して貰えるだけでも万々歳だって言うのに、まさかこんなにも嬉しくなる言葉まで頂けるとは。
喜びで口元が波打ちそうになりながら、希輝の背中をパシパシと軽く叩く。
「そっか! それなら安心した」
希輝の泳ぐ視線を追いかけるように、目の前に立って、ニッと笑いかけた。
「紡久って……本当、変なヤツ」
戸惑いを含みつつも、ホッとしたような希輝の声が何だか心地よくて、心の中がポカポカと温かくなる。
「それで、どうしよっか」
冷えた机の上に腰をかけ、足をぶらぶらと揺らせば、希輝の瞳も俺の足元を追うようにして揺れた。
何故かその視線に居心地の悪さを感じて、意識を逸らそうとワザと少しだけ大きめの声をあげる。
「俺が一番最初に考えた案は、ハサミで切ってみる……なんだけど」
「は!?」
俺の足から顔へと驚愕の表情を向けた希輝が、勢いよく首を左右に振った。
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