赤い糸のさきに

アtorica@基本ツイッターにいます

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「言っておくけど! これは俺のためだから」
「どう考えても、お前のためになっているとは思えない」
「ぐ……」

 俺の今後の青春に影を差したわけだから、それは当然そうなんだろうけど。

「いいか? 俺は未来ある一人の人間を救ったんだ。何も後悔してないし、逆に誇りに思ってる。だから、文句を言われる筋合いはないよ」

 軽く握り拳を作り、希輝の胸元にトンッとあてる。
 大きく目を見開いた希輝に、両口端を上げてニカッと笑いかけた。

「まあ、正直俺が考えなしに希輝に近づいたせいでこうなったわけだし。お前は気に留めなくていいんだ」
「紡久……」

 下唇をぐっと噛んだ希輝の瞳が、不思議な感情でユラユラと揺れる。
 何を考えているのか聞きたかったけど、廊下から聞こえた足音に心臓が跳ねて、そんな場合じゃないことを思い出した。

「とにかく! 俺のことは気にしなくていいからな。折角希輝の噂は消えたんだから、今日みたいに俺に会いに来ないように!」

 人差し指を希輝の目の前に突き付けてから、背中を向けた。
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