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空波遥の章
掌の上
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(な、なんだ?今のドクンって・・・・・・)
なんだこれ。おかしい。目が、離せない。空波に引き付けられて、意識が釘付けになり、自分の意思を全く無視して胸が大きく高鳴る。
「そんな言い方することないじゃん、嫌われていいなんてっ、そんなこと・・・・・・。僕はただ、聡と仲良くなりたいだけ・・・・・・」
そう言って空波は悲しげに顔をしかめ、ぷいとそっぽを向いてしまった。
「お、おい空波・・・・・・」
オレがついそう構いたくなってしまったのも無理はない。それはもう、この稀代の美人を放置などできる人間はよほどの冷血者であろうと思わせる威力だった。何もしないで見ているなんて、こちらの良心が咎めるレベルだ。
そんなわけで不覚にもオレは、空波に身体を近づけていってしまったわけだが。
泣きべそをかいていた空波が、急にばっとこちらを見据えると、そのままオレの耳元に口を寄せた。
「・・・・・・っと見せかけてぇぇぇ~?っっふうう~~~!!」
何の心の準備もしていなかったオレの耳の中に、超至近距離から直接吹き込まれる空波の吐息。
「っっっ~~~!!????」
背筋に電流が走った。強烈な痺れが背骨を伝い、瞬く間に身体中を駆け巡る。
「わああっっ!?」
思わず身体をびくつかせるオレに、空波は満足げにほくそ笑む。視界の片隅で、美鳥が頭を抱えているのがちらりと見えた。
「おっ、おま、お前っ・・・・・・」
わなわなと耳を押さえて相手を睨み付けるが、空波は「くぅぅっ、可愛い~!」と一人悶えているだけだ。自分でも分かる。オレの顔は熱くなり、さらに目にはうっすらと涙まで浮かんでいる。今のオレがいくら凄んだって全く迫力がないであろう。
(・・・・・・ていうか、やばい。この調子をずっと続けられたら本当に。オレの心臓が持たな、・・・・・・っていやいやそうじゃなくて!)
オレはもう何度目かの気力をもう一度奮い立たせる。
(とても勉強に集中できる環境じゃない!)
「んん~?どうしたの聡~?」
「どうもこうもなっ、って、・・・・・・あ」
立ち上がって抗議をしようと思ったオレだったが、周りを見てかろうじての冷静さを取り戻した。
今の大声で、周囲の視線がこっちに集中しているのだ。この絶対的ヒロイン空波と、謎の転校生ことオレの派手なやり取りに、みんな注目していた。
「ぐう・・・・・・、ちょっとこっち来いっ!」
「およよ?」
オレはうめきながら立ち上がり空波の腕を引っ掴む。こうなりゃ強硬手段だ。
時計を確認する。一限目開始まであと10分。
(・・・・・・今度こそちゃんと迫力のある表情をしなきゃ)
深呼吸し、オレは頑張って可能な限り不機嫌そうな顔を作った。
「ちょっと来い!この近くで一番人気が少ない所に連れて行け」
なんだこれ。おかしい。目が、離せない。空波に引き付けられて、意識が釘付けになり、自分の意思を全く無視して胸が大きく高鳴る。
「そんな言い方することないじゃん、嫌われていいなんてっ、そんなこと・・・・・・。僕はただ、聡と仲良くなりたいだけ・・・・・・」
そう言って空波は悲しげに顔をしかめ、ぷいとそっぽを向いてしまった。
「お、おい空波・・・・・・」
オレがついそう構いたくなってしまったのも無理はない。それはもう、この稀代の美人を放置などできる人間はよほどの冷血者であろうと思わせる威力だった。何もしないで見ているなんて、こちらの良心が咎めるレベルだ。
そんなわけで不覚にもオレは、空波に身体を近づけていってしまったわけだが。
泣きべそをかいていた空波が、急にばっとこちらを見据えると、そのままオレの耳元に口を寄せた。
「・・・・・・っと見せかけてぇぇぇ~?っっふうう~~~!!」
何の心の準備もしていなかったオレの耳の中に、超至近距離から直接吹き込まれる空波の吐息。
「っっっ~~~!!????」
背筋に電流が走った。強烈な痺れが背骨を伝い、瞬く間に身体中を駆け巡る。
「わああっっ!?」
思わず身体をびくつかせるオレに、空波は満足げにほくそ笑む。視界の片隅で、美鳥が頭を抱えているのがちらりと見えた。
「おっ、おま、お前っ・・・・・・」
わなわなと耳を押さえて相手を睨み付けるが、空波は「くぅぅっ、可愛い~!」と一人悶えているだけだ。自分でも分かる。オレの顔は熱くなり、さらに目にはうっすらと涙まで浮かんでいる。今のオレがいくら凄んだって全く迫力がないであろう。
(・・・・・・ていうか、やばい。この調子をずっと続けられたら本当に。オレの心臓が持たな、・・・・・・っていやいやそうじゃなくて!)
オレはもう何度目かの気力をもう一度奮い立たせる。
(とても勉強に集中できる環境じゃない!)
「んん~?どうしたの聡~?」
「どうもこうもなっ、って、・・・・・・あ」
立ち上がって抗議をしようと思ったオレだったが、周りを見てかろうじての冷静さを取り戻した。
今の大声で、周囲の視線がこっちに集中しているのだ。この絶対的ヒロイン空波と、謎の転校生ことオレの派手なやり取りに、みんな注目していた。
「ぐう・・・・・・、ちょっとこっち来いっ!」
「およよ?」
オレはうめきながら立ち上がり空波の腕を引っ掴む。こうなりゃ強硬手段だ。
時計を確認する。一限目開始まであと10分。
(・・・・・・今度こそちゃんと迫力のある表情をしなきゃ)
深呼吸し、オレは頑張って可能な限り不機嫌そうな顔を作った。
「ちょっと来い!この近くで一番人気が少ない所に連れて行け」
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