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空波遥の章
赤髪の長身メイド③
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(しっ、ししし心臓が破裂するっ!!)
なんだこの感覚は。裏庭で手を握られた時の比ではない。空波とこれ以上は不可能なレベルで接近し、密着し、圧倒的な熱の塊がオレに迫ってくる。さらに抱きすくめられたと同時に感じる、ふわりとした石鹸の香り。それら全てがオレの五感を揺さぶり、頭の中までも揺さぶり、一瞬天に昇ってしまったかのような錯覚に陥る。
しかしそれだけではない。オレは空波の腕の中で、とてつもない混乱に襲われていた。
おかしい。おかしい。オレの身体中に触れている空波の肉体の感覚がもう・・・・・・。
(女の子みたいに・・・・・・、柔らかくなんてないはずなのにっ)
オレの顔に押し付けられている胸板や、耳元に感じる腕は確かに男子のものだった。さすがに筋肉量は控えめだが、同世代の女子が持つ温かく丸いふわふわしたものは感じられない。だと言うのに、このシチュエーションと、空波が着ているセーラー服の質感、そして怒涛のように鼻腔に押し寄せるいい香りが、脳を誤作動させる。
“自分は今とてつもなく可愛い存在に抱き締められている”と・・・・・・。
まるで洗脳されたかのように、幸福物質がどばどば出てくるのを抑えられない。
「ぁ、あぁあ、やっ、やめろっっ!!」
それでもオレは、カラカラに乾いた理性を何とか奮い立たせて空波を押しのけた。
「ええーっ!?なんでなんで~?」
「オッ、オオオ、オレに構うなーっ!」
「・・・・・・空波」
わちゃわちゃしているオレたちに向かって、低い声が飛んだ。見ると、美鳥が苦虫を噛み潰したような顔をしている。彼は言い含めるような低い声を空波に向けた。
「人との温度差無視すんなって。空気読め。いつになったら学習するんだ、お前」
「むうぅ?」
頬を膨らませ、可愛らしく口を尖らせる空波。
「そもそも今日が初対面なんだろうが。ほら、何か邪魔してるみたいだし。みんながみんなお前みたいな愉快なノリで生きてるわけじゃないんだ、少しは自重しろ。嫌われるぞ」
教科書が広げられているオレの机を指差し、そう至極まっとうなツッコミを入れるのだった。
オレがその見た目に似合わない常識人っぷりに内心で感動しつつも、キャラの渋滞っぷりに困惑していると。
「なにさぁ~、美鳥のバカッ」
空波が両手を顔の下で握り締めてみせた。あまりにもあさとすぎる仕草である、にも関わらず。
ドクン。
オレの心臓が破裂するのではないかと思うほど大きく鼓動した。
なんだこの感覚は。裏庭で手を握られた時の比ではない。空波とこれ以上は不可能なレベルで接近し、密着し、圧倒的な熱の塊がオレに迫ってくる。さらに抱きすくめられたと同時に感じる、ふわりとした石鹸の香り。それら全てがオレの五感を揺さぶり、頭の中までも揺さぶり、一瞬天に昇ってしまったかのような錯覚に陥る。
しかしそれだけではない。オレは空波の腕の中で、とてつもない混乱に襲われていた。
おかしい。おかしい。オレの身体中に触れている空波の肉体の感覚がもう・・・・・・。
(女の子みたいに・・・・・・、柔らかくなんてないはずなのにっ)
オレの顔に押し付けられている胸板や、耳元に感じる腕は確かに男子のものだった。さすがに筋肉量は控えめだが、同世代の女子が持つ温かく丸いふわふわしたものは感じられない。だと言うのに、このシチュエーションと、空波が着ているセーラー服の質感、そして怒涛のように鼻腔に押し寄せるいい香りが、脳を誤作動させる。
“自分は今とてつもなく可愛い存在に抱き締められている”と・・・・・・。
まるで洗脳されたかのように、幸福物質がどばどば出てくるのを抑えられない。
「ぁ、あぁあ、やっ、やめろっっ!!」
それでもオレは、カラカラに乾いた理性を何とか奮い立たせて空波を押しのけた。
「ええーっ!?なんでなんで~?」
「オッ、オオオ、オレに構うなーっ!」
「・・・・・・空波」
わちゃわちゃしているオレたちに向かって、低い声が飛んだ。見ると、美鳥が苦虫を噛み潰したような顔をしている。彼は言い含めるような低い声を空波に向けた。
「人との温度差無視すんなって。空気読め。いつになったら学習するんだ、お前」
「むうぅ?」
頬を膨らませ、可愛らしく口を尖らせる空波。
「そもそも今日が初対面なんだろうが。ほら、何か邪魔してるみたいだし。みんながみんなお前みたいな愉快なノリで生きてるわけじゃないんだ、少しは自重しろ。嫌われるぞ」
教科書が広げられているオレの机を指差し、そう至極まっとうなツッコミを入れるのだった。
オレがその見た目に似合わない常識人っぷりに内心で感動しつつも、キャラの渋滞っぷりに困惑していると。
「なにさぁ~、美鳥のバカッ」
空波が両手を顔の下で握り締めてみせた。あまりにもあさとすぎる仕草である、にも関わらず。
ドクン。
オレの心臓が破裂するのではないかと思うほど大きく鼓動した。
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