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空波遥の章
赤髪の長身メイド②
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「HRサボり?悪いんだー」
茶かすような口調の空波に対してフンと鼻を鳴らすと、メイド服の“彼”は、燃えるように赤いポニーテールを揺らしつつ、すたすたと二列向こう・・・・・・、オレから見てちょうど左手の、横の横の座席まで歩いて行った。ちなみにオレの真左の席の主はトイレかどこかに行ったのか不在だった。
「ちゃんと許可は取ってるよ。来週地区予選でさ!小林のシゴキがすげーことになってんだよ。今日も正義と気合の百烈拳、バッチリ決めてきたわ!」
そのままドサリと机に荷物を置いた。あの小さく丸められた白い物体、見覚えがある。空手だったか柔道だったかで着用する胴着だ。
「あー、化粧直し時間かかったー!」
どっかりと椅子に腰掛けて伸びをしている。その姿に、空波がくすくす笑った。
「確かに花粉の時期は化粧ノリ悪くなるよねー」
その言葉に、メイド服の彼はギロリとこちらが縮み上がりそうな目をする。
「・・・・・・喧嘩売ってる?いついかなる時もぴかぴかお肌しやがって。今日だってファンデしてないよな?」
こんな剣呑な視線を投げかけられているのに、空波は動じる様子もない。本当メンタルどうなってんだこいつ。
「どーせ俺は常時脂と汗でテカテカ!少しでもケア手ぇ抜けばガサガサに早変わりのワガママスキンだよー!」
ただでさえ大きな体躯で手足をじたばたする。白黒の服の色味も相まって、なんかパンダがタイヤにじゃれてるみたいだな・・・・・・。
「・・・・・・で、そこの人は誰なワケ?」
急にこちらに視線を向けられ、思わずビクッと身じろぎしてしまった。
「てっ、転校生の結城聡です・・・・・・」
冷や汗をかきながらそう答えると、美鳥は切り揃えられたまっすぐな前髪の下から、品定めするような目つきでオレを見てきた。
「へー。この五月に」
(い、一体何を言われるんだ?)
そうオレは身構えていたが。
「俺は美鳥。美鳥 伊織(みとり いおり)」
それだけ言って彼は下を向き、さっさと授業の準備をし始めた。軽く落とされた瞼をふち取る睫毛が、目を引くほど長い。
「え・・・・・・」
肩透かしを食らってしまい硬直したままでいるオレだったが、・・・・・・その直後に天地がひっくり返るくらいの衝撃が全身に走った。
「ちょっと美鳥~!僕の聡が怖がってんじゃ~ん!」
身体がすごい力でぐいっと横に引き寄せられる。空波が机越しに身を乗り出し、ゴールデンレトリーバーのようなテンションで抱きついてきたのだ。
「ぎょわっっ!!?」
思わず喉が捻れたような声を出すオレに、空波は構わず手を背中に回してさすさすと動かしぎゅうぎゅうにしがみついてくる。
「おー、よちよ~ち。聡、僕が守ってあげるからねぇ~」
「あっ!?あわわわ、うおわあああっっ!!!???」
茶かすような口調の空波に対してフンと鼻を鳴らすと、メイド服の“彼”は、燃えるように赤いポニーテールを揺らしつつ、すたすたと二列向こう・・・・・・、オレから見てちょうど左手の、横の横の座席まで歩いて行った。ちなみにオレの真左の席の主はトイレかどこかに行ったのか不在だった。
「ちゃんと許可は取ってるよ。来週地区予選でさ!小林のシゴキがすげーことになってんだよ。今日も正義と気合の百烈拳、バッチリ決めてきたわ!」
そのままドサリと机に荷物を置いた。あの小さく丸められた白い物体、見覚えがある。空手だったか柔道だったかで着用する胴着だ。
「あー、化粧直し時間かかったー!」
どっかりと椅子に腰掛けて伸びをしている。その姿に、空波がくすくす笑った。
「確かに花粉の時期は化粧ノリ悪くなるよねー」
その言葉に、メイド服の彼はギロリとこちらが縮み上がりそうな目をする。
「・・・・・・喧嘩売ってる?いついかなる時もぴかぴかお肌しやがって。今日だってファンデしてないよな?」
こんな剣呑な視線を投げかけられているのに、空波は動じる様子もない。本当メンタルどうなってんだこいつ。
「どーせ俺は常時脂と汗でテカテカ!少しでもケア手ぇ抜けばガサガサに早変わりのワガママスキンだよー!」
ただでさえ大きな体躯で手足をじたばたする。白黒の服の色味も相まって、なんかパンダがタイヤにじゃれてるみたいだな・・・・・・。
「・・・・・・で、そこの人は誰なワケ?」
急にこちらに視線を向けられ、思わずビクッと身じろぎしてしまった。
「てっ、転校生の結城聡です・・・・・・」
冷や汗をかきながらそう答えると、美鳥は切り揃えられたまっすぐな前髪の下から、品定めするような目つきでオレを見てきた。
「へー。この五月に」
(い、一体何を言われるんだ?)
そうオレは身構えていたが。
「俺は美鳥。美鳥 伊織(みとり いおり)」
それだけ言って彼は下を向き、さっさと授業の準備をし始めた。軽く落とされた瞼をふち取る睫毛が、目を引くほど長い。
「え・・・・・・」
肩透かしを食らってしまい硬直したままでいるオレだったが、・・・・・・その直後に天地がひっくり返るくらいの衝撃が全身に走った。
「ちょっと美鳥~!僕の聡が怖がってんじゃ~ん!」
身体がすごい力でぐいっと横に引き寄せられる。空波が机越しに身を乗り出し、ゴールデンレトリーバーのようなテンションで抱きついてきたのだ。
「ぎょわっっ!!?」
思わず喉が捻れたような声を出すオレに、空波は構わず手を背中に回してさすさすと動かしぎゅうぎゅうにしがみついてくる。
「おー、よちよ~ち。聡、僕が守ってあげるからねぇ~」
「あっ!?あわわわ、うおわあああっっ!!!???」
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