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空波遥の章
妄想劇場
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(とんでもないことになった・・・・・・)
2-Cの教室。廊下側の最後列。オレはうな垂れながら椅子に腰掛けていた。永沢先生は他のクラスで授業があるらしく、HRが終わると「じゃ、何か困ったことあったら言ってね~」と言い残し、恨みがましい目つきを送るオレを置いて去っていってしまった。
獣が行きかうサバンナで、生身で放り出されたような気分だ。
そして鬱々とするオレの真ん前で、後ろ向きに椅子に座ってこちらに輝く笑顔を振りまいている空波遥。
「えへへっ。さーとーしっ」
「・・・・・・」
「本当に同じクラスになれるなんて。嬉しいなあ、これからよろしくねっ」
「・・・・・・」
(何て返せばいいのか分かんねえ)
もはや目すら合わせられない。しかし空波はそんなのおかまいなしである。ガンガン自分のペースであほなことを話し続けている。
「それにしても席まで一緒だなんて・・・・・・。ハッ!これはもしかしてあの、“教科書まだ持ってないから一緒に見せてよ!“からの、互いに寄せ合う肩・・・・・・、ページをめくろうとして触れ合う指と指・・・・・・、あっと小さく出る声、そのまま見つめあう二人、高鳴る胸・・・・・・、の重大な伏線!?」
「教科書もう全部持っとるわアホ」
「ノオオウウウウッッッ!!?」
「ここでずっと広げてるの見えてなかったの?」
しかし、教科書の内容は全然頭に入ってこなかった。授業が始まるまでに、こっちの学校で進んでいた範囲を予習しておこうと思ったのに。
(はあ・・・・・・。こんなんで勉強に集中できるんだろうか)
内心深くため息をついて心配を募らせているところへ、聞き馴染みのない声がした。
「ね、ねえ空波くん」
「ボクらも結城くんと話したいんだけど・・・・・・」
「えっ?」
思わず間抜けな声を出して顔を上げる。そこには、数名のクラスメイトがおずおずとした様子で立っていた。声から察するに、最初に話かけて来たのが女子で後から話かけて来たのは男子だ。このクラスは見た目だけでは生徒の性別が判別できないのである。
2-Cの教室。廊下側の最後列。オレはうな垂れながら椅子に腰掛けていた。永沢先生は他のクラスで授業があるらしく、HRが終わると「じゃ、何か困ったことあったら言ってね~」と言い残し、恨みがましい目つきを送るオレを置いて去っていってしまった。
獣が行きかうサバンナで、生身で放り出されたような気分だ。
そして鬱々とするオレの真ん前で、後ろ向きに椅子に座ってこちらに輝く笑顔を振りまいている空波遥。
「えへへっ。さーとーしっ」
「・・・・・・」
「本当に同じクラスになれるなんて。嬉しいなあ、これからよろしくねっ」
「・・・・・・」
(何て返せばいいのか分かんねえ)
もはや目すら合わせられない。しかし空波はそんなのおかまいなしである。ガンガン自分のペースであほなことを話し続けている。
「それにしても席まで一緒だなんて・・・・・・。ハッ!これはもしかしてあの、“教科書まだ持ってないから一緒に見せてよ!“からの、互いに寄せ合う肩・・・・・・、ページをめくろうとして触れ合う指と指・・・・・・、あっと小さく出る声、そのまま見つめあう二人、高鳴る胸・・・・・・、の重大な伏線!?」
「教科書もう全部持っとるわアホ」
「ノオオウウウウッッッ!!?」
「ここでずっと広げてるの見えてなかったの?」
しかし、教科書の内容は全然頭に入ってこなかった。授業が始まるまでに、こっちの学校で進んでいた範囲を予習しておこうと思ったのに。
(はあ・・・・・・。こんなんで勉強に集中できるんだろうか)
内心深くため息をついて心配を募らせているところへ、聞き馴染みのない声がした。
「ね、ねえ空波くん」
「ボクらも結城くんと話したいんだけど・・・・・・」
「えっ?」
思わず間抜けな声を出して顔を上げる。そこには、数名のクラスメイトがおずおずとした様子で立っていた。声から察するに、最初に話かけて来たのが女子で後から話かけて来たのは男子だ。このクラスは見た目だけでは生徒の性別が判別できないのである。
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