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空波遥の章
笑いのツボが浅いやつに悪いやつはいない といいなあ
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「う、うう・・・・・・。やめろ、オ、オレは・・・・・・」
子鼠のように縮こまるオレに、空波は微笑を浮かべるだけだ。
「結城くん。さ、僕と・・・・・・」
その先の言葉を聞いたら、オレはもう、戻っては来られないところに連れて行かれる。
「やめるんだ、オレはっ・・・・・・」
空波を遮断しようと、オレはぎゅっと目をつぶる。
喉が言うことを聞かない。締め付けられたような声しか出ない。
「オレはっ・・・・・・!オレは恋なんて・・・・・・」
人は切羽詰ると、自分でも理解できない言動を取るものだ。それはもうオレもここまでで嫌と言うほどよく理解している。
でも、だからってこんな台詞吐くことないと思う。
こんな、まるでB級恋愛ドラマの脚本みたいな恥ずかしい台詞を。
「恋なんてしたくないんだああああっっっ!!!」
「ひゃううぅっ!?」
まあ吐いちゃったんですけどね。
その声がそこいらにこだまし、またもバッテン目玉になった空波が仰け反ったところで・・・・・・。
キーンコーンカーンコーン・・・・・・。
嘘みたいなタイミングでチャイムが鳴った。
お馴染みのあのメロディを聴いているうちに、なぜか不思議とオレの頭がすうっと冷えていく。
同時に世界が戻ってきた。自分が今、校舎裏の職員用駐車場にいることを思い出す。いつの間にか周囲には人影がちらほらと行きかうようになっており、オレたちのことを怪訝な目で見つめていた。
ぜえぜえと肩を上下させながらオレは、「なんか大声出したのって久しぶりだな」とか考えてヒリつく腹筋を押さえていた。
「・・・・・・恋、したくないの?」
ぽっかーんと口を開け、空波がつぶやいた。
「変わってるね」
「うるせえ」
歯ぎしりしながら応酬する。
「お前みたいな恋愛脳とは違うんだ。見た目も綺麗で、明るく元気でどんどん周りを巻き込んで。悪いけどオレはそういうのは馴染めないんだ。他を当たってくれ」
よし、今度ははっきりと言えた。もうオレに関わるなって。実際オレたち二人みたいなのが絡んだところで相性がいいとはとても思えない。お互いにとって不幸な結果になるだろう。ならば最初から壁を築いていたほうがいいのだ。
「恋愛脳・・・・・・」
空波が虚を突かれたような顔で呟いた。あ、ちょっと言葉のチョイスがキツかったかな?まあいい。これで上手いことやつがオレのことを苦手に感じてくれればしめたものだ。晴れて清く正しく、勉学に邁進する高校生活が待っている。
そうオレが胸を撫で下ろしていると。
「恋愛脳っ!あははっ、なにそれー!面白い言葉使うなあ結城くんは!」
突如、空波は身体をくの字に曲げて笑い出した。
(えっ?えっ?)
今日一の笑顔じゃん。
「やだー!もう超ウケるー!!ぎゃはははは!」
超ウケるそうです。
「結城くんったら可愛い上に言うことも面白いなんてー!」
ゲラゲラ笑い転げる空波を見て、オレは心の中で「嗚呼・・・・・・」と呟いた。多分、こいつは真のリア充だからネット用語なんて知らないんだ。真のリア充はネット用語なんて知らないってあれだ。恐らくこのリア充って言葉も知らないに違いない。
「てか・・・・・・。まさかの好感度さらにアップ?」
どうすんだこれ。
望まぬ方向へ転がる事態に途方に暮れていると、ひとしきり笑い終わった空波が涙を拭いながらこう切り出した。
「・・・・・・はー面白かった。まあ、確かに結城くんの言うとおりちょっとグイグイ行き過ぎたかも。予鈴も鳴っちゃったし、続きはまた今度にするよ」
「いや、その続きはできたら無しにしてほしいんだが・・・・・・」
てか涙出るほど笑う?笑いのツボ浅すぎない?
子鼠のように縮こまるオレに、空波は微笑を浮かべるだけだ。
「結城くん。さ、僕と・・・・・・」
その先の言葉を聞いたら、オレはもう、戻っては来られないところに連れて行かれる。
「やめるんだ、オレはっ・・・・・・」
空波を遮断しようと、オレはぎゅっと目をつぶる。
喉が言うことを聞かない。締め付けられたような声しか出ない。
「オレはっ・・・・・・!オレは恋なんて・・・・・・」
人は切羽詰ると、自分でも理解できない言動を取るものだ。それはもうオレもここまでで嫌と言うほどよく理解している。
でも、だからってこんな台詞吐くことないと思う。
こんな、まるでB級恋愛ドラマの脚本みたいな恥ずかしい台詞を。
「恋なんてしたくないんだああああっっっ!!!」
「ひゃううぅっ!?」
まあ吐いちゃったんですけどね。
その声がそこいらにこだまし、またもバッテン目玉になった空波が仰け反ったところで・・・・・・。
キーンコーンカーンコーン・・・・・・。
嘘みたいなタイミングでチャイムが鳴った。
お馴染みのあのメロディを聴いているうちに、なぜか不思議とオレの頭がすうっと冷えていく。
同時に世界が戻ってきた。自分が今、校舎裏の職員用駐車場にいることを思い出す。いつの間にか周囲には人影がちらほらと行きかうようになっており、オレたちのことを怪訝な目で見つめていた。
ぜえぜえと肩を上下させながらオレは、「なんか大声出したのって久しぶりだな」とか考えてヒリつく腹筋を押さえていた。
「・・・・・・恋、したくないの?」
ぽっかーんと口を開け、空波がつぶやいた。
「変わってるね」
「うるせえ」
歯ぎしりしながら応酬する。
「お前みたいな恋愛脳とは違うんだ。見た目も綺麗で、明るく元気でどんどん周りを巻き込んで。悪いけどオレはそういうのは馴染めないんだ。他を当たってくれ」
よし、今度ははっきりと言えた。もうオレに関わるなって。実際オレたち二人みたいなのが絡んだところで相性がいいとはとても思えない。お互いにとって不幸な結果になるだろう。ならば最初から壁を築いていたほうがいいのだ。
「恋愛脳・・・・・・」
空波が虚を突かれたような顔で呟いた。あ、ちょっと言葉のチョイスがキツかったかな?まあいい。これで上手いことやつがオレのことを苦手に感じてくれればしめたものだ。晴れて清く正しく、勉学に邁進する高校生活が待っている。
そうオレが胸を撫で下ろしていると。
「恋愛脳っ!あははっ、なにそれー!面白い言葉使うなあ結城くんは!」
突如、空波は身体をくの字に曲げて笑い出した。
(えっ?えっ?)
今日一の笑顔じゃん。
「やだー!もう超ウケるー!!ぎゃはははは!」
超ウケるそうです。
「結城くんったら可愛い上に言うことも面白いなんてー!」
ゲラゲラ笑い転げる空波を見て、オレは心の中で「嗚呼・・・・・・」と呟いた。多分、こいつは真のリア充だからネット用語なんて知らないんだ。真のリア充はネット用語なんて知らないってあれだ。恐らくこのリア充って言葉も知らないに違いない。
「てか・・・・・・。まさかの好感度さらにアップ?」
どうすんだこれ。
望まぬ方向へ転がる事態に途方に暮れていると、ひとしきり笑い終わった空波が涙を拭いながらこう切り出した。
「・・・・・・はー面白かった。まあ、確かに結城くんの言うとおりちょっとグイグイ行き過ぎたかも。予鈴も鳴っちゃったし、続きはまた今度にするよ」
「いや、その続きはできたら無しにしてほしいんだが・・・・・・」
てか涙出るほど笑う?笑いのツボ浅すぎない?
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