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空波遥の章
記憶の中だけでしか会えない
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にっこりと笑い、空波はすっと伸ばした人差し指で、オレの唇にちょんと触れた。
「~~~~~~~~~~っっっ!!!!」
脳が爆発したかと思った。今日ここで、オレの中で起きた爆発により宇宙と新しい生命が誕生したのだ。誕生しちゃったわ。
稀代の美人からこんなことをされたら、普通の人ならきっと一生心に残る素敵な思い出か、ことあるごとに自慢したくなってしまうような、そんななんかになるのかもしれない。だが残念なことにこいつは男だ。しかし、ただの変態女装野郎ではない。達人だ。ここまでのレベルのなるためにやつはきっとすさまじい執念を燃やしている。
そんな怖すぎるやつにオレがロックオンされた理由は分からないが、このままオレは平穏に高校生活を送れるのか。
この強引さ、理不尽さ・・・・・・、同性である男すらも落としてしまうであろう、この色気。
オレは確信した。このままこいつの好きにさせたら、とんでもないことになると。
だって、正直、可愛いのだ。空波遥は。オレのような童貞が接したら、どうなってしまうか分からない。
文字通りオレの目と鼻の先にある、丸くて大きな深緑色のかかった双眸。それはきらきらとうるうると、まるでそれ自体が光を放っているようで、オレを飲み込んでしまいそうだ。
「結城くん・・・・・・」
甘い甘い声色で、彼はそっとオレを誘う。ぐらり、と。オレの視界が回った。
(やばい。引き込まれるっ・・・・・・!)
空波の美しさに・・・・・・、いや、彼が存在しているというそのこと自体に。
だめだだめだだめだ。
しっかりしろ、オレ。なんのためにこの学園に転校してきたのか思い出せ。
こんなやつなんかに腑抜けてる場合じゃないぞ。
(オレは・・・・・・)
オレは身体の横でぎゅっと両の拳を握る。
オレはここでめちゃくちゃ勉強して、大学受験成功させるんだ。一流の天文学者になるって夢を叶えるために、人との関わりなんて持たずに、一心不乱にやるって決めたんだ。あんな想いをして傷ついて、勉強に支障が出るくらいなら一人ぼっちでも構わないって、そう覚悟した。そうだろ、オレ。
友達なんて作ってる余裕ない。ましてや恋人なんて。
空波が言葉で言い表せないほど可愛いのは認める。でも、だからってオレの描いた高校生ライフを邪魔されるわけには絶対いかないのだ。
(そうだろ?)
・・・・・・兄ちゃん。
胸の中に蘇る笑顔。まるで、昨日まで普通に笑い合って話していたかのように、その笑顔はくっきりと鮮明に思い出せた。
あの日忽然と、オレの前から姿を消してしまった貴方。
(貴方に見つけてもらうために・・・・・・。いや、貴方を見つけるために、オレは命をかけてでも堀澤大学に行くんだ)
堀澤大学では、数年前に複数の系外惑星の発見により世界的な名声を浴びたとある天文学者が教鞭を取っている。そこへの進学を果たし、彼の元で学ぶ。一流の天文学者になるには、その道が確実だろうと感じていた。
今のちっぽけで無力な自分にできるのはそれだけなのだ。
オレは拳をぎゅっと握り締める。
諦めない。絶対に諦めたくない。
・・・・・・オレが諦めたら、「お前は自慢の弟だ」って言ってくれた貴方を、裏切ってしまう気がするから。
(こんなところでうつつを抜かしてる場合じゃないぞ、なんとか振り切らないと・・・・・・)
だけど。けど。
ぶっちゃけもう頭が回らない。パニックだ。だって人生でこんな美少・・・・・・年に迫られたことなどないから。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
「~~~~~~~~~~っっっ!!!!」
脳が爆発したかと思った。今日ここで、オレの中で起きた爆発により宇宙と新しい生命が誕生したのだ。誕生しちゃったわ。
稀代の美人からこんなことをされたら、普通の人ならきっと一生心に残る素敵な思い出か、ことあるごとに自慢したくなってしまうような、そんななんかになるのかもしれない。だが残念なことにこいつは男だ。しかし、ただの変態女装野郎ではない。達人だ。ここまでのレベルのなるためにやつはきっとすさまじい執念を燃やしている。
そんな怖すぎるやつにオレがロックオンされた理由は分からないが、このままオレは平穏に高校生活を送れるのか。
この強引さ、理不尽さ・・・・・・、同性である男すらも落としてしまうであろう、この色気。
オレは確信した。このままこいつの好きにさせたら、とんでもないことになると。
だって、正直、可愛いのだ。空波遥は。オレのような童貞が接したら、どうなってしまうか分からない。
文字通りオレの目と鼻の先にある、丸くて大きな深緑色のかかった双眸。それはきらきらとうるうると、まるでそれ自体が光を放っているようで、オレを飲み込んでしまいそうだ。
「結城くん・・・・・・」
甘い甘い声色で、彼はそっとオレを誘う。ぐらり、と。オレの視界が回った。
(やばい。引き込まれるっ・・・・・・!)
空波の美しさに・・・・・・、いや、彼が存在しているというそのこと自体に。
だめだだめだだめだ。
しっかりしろ、オレ。なんのためにこの学園に転校してきたのか思い出せ。
こんなやつなんかに腑抜けてる場合じゃないぞ。
(オレは・・・・・・)
オレは身体の横でぎゅっと両の拳を握る。
オレはここでめちゃくちゃ勉強して、大学受験成功させるんだ。一流の天文学者になるって夢を叶えるために、人との関わりなんて持たずに、一心不乱にやるって決めたんだ。あんな想いをして傷ついて、勉強に支障が出るくらいなら一人ぼっちでも構わないって、そう覚悟した。そうだろ、オレ。
友達なんて作ってる余裕ない。ましてや恋人なんて。
空波が言葉で言い表せないほど可愛いのは認める。でも、だからってオレの描いた高校生ライフを邪魔されるわけには絶対いかないのだ。
(そうだろ?)
・・・・・・兄ちゃん。
胸の中に蘇る笑顔。まるで、昨日まで普通に笑い合って話していたかのように、その笑顔はくっきりと鮮明に思い出せた。
あの日忽然と、オレの前から姿を消してしまった貴方。
(貴方に見つけてもらうために・・・・・・。いや、貴方を見つけるために、オレは命をかけてでも堀澤大学に行くんだ)
堀澤大学では、数年前に複数の系外惑星の発見により世界的な名声を浴びたとある天文学者が教鞭を取っている。そこへの進学を果たし、彼の元で学ぶ。一流の天文学者になるには、その道が確実だろうと感じていた。
今のちっぽけで無力な自分にできるのはそれだけなのだ。
オレは拳をぎゅっと握り締める。
諦めない。絶対に諦めたくない。
・・・・・・オレが諦めたら、「お前は自慢の弟だ」って言ってくれた貴方を、裏切ってしまう気がするから。
(こんなところでうつつを抜かしてる場合じゃないぞ、なんとか振り切らないと・・・・・・)
だけど。けど。
ぶっちゃけもう頭が回らない。パニックだ。だって人生でこんな美少・・・・・・年に迫られたことなどないから。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
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