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空波遥の章
衝撃の告白
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「大丈夫?」
いかにも労わるような声色だったが、コイツはクマだ。会話が通じるなどと思ってはいけない。
オレはきっぱりと手を挙げて、拒否の意思表示をする。
「も、もうオレに関わるな・・・・・・。オレは・・・・・・、距離感無視してぐいぐい来るやつは嫌いだ」
「えーそんなあ」
形の良い空波の眉が、困ったように下がる。
「んー。じゃあ引き下がるよ、・・・・・・ほらこれでいい?」
そう言って空波は、姿勢を低くして何歩か後ろに下がった。
「いや、まだお前のその前足の射程圏内じゃねえか。ふざけんな」
「前足て」
「い、いいか空波・・・・・・さん。そのままそこで動くなよ?俺が立ち去るまでそこでじっとしていろ」
ショートコント~銀行強盗~みたいな台詞を吐きながら、オレはよろよろと立ち上がる。今度こそ視線を反らさないまま逃げなければ。どうでもいいけどこんなヤツにも一応女子ということで“さん”を付けてしまうサガが悲しい。
「ねえ待ってよ!」
空波が大声を出す。
「そのままじっとしてろって言っただろ~!」
「姿勢はそのままなんだからいいでしょ。ねえ結城くんさあ、今好きな人いる?」
「はっ?」
突然の質問に頭がついていかず、とっさにオレは・・・・・・。
「いっ、いないけど?」
馬鹿正直に真実を口にしてしまった。
途端にヤツは顔を崩して笑う。
「えっへへへ~、そっかあ~、いないのかあ~」
えええええええええええ~~~~~~。
気持ち悪っ。
それ美人がしていい笑い方じゃないからな?と突っ込む気力ももはや霧散しているオレに、ヤツがこう追撃してくる。
「へへへ~、じゃあさあ~。・・・・・・僕が結城くんの恋人に立候補しちゃってもいいかな?かな?」
最後の“かな?”は、照れたのかちょっと裏返ったようなコミカルな感じの声色だった。ふ~~~~ん、照れるなんて可愛げがあるというか人間らしいところあるじゃ~~~~ん。へ~~~~~~~~~~。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?
へ?はっ?
・・・・・・・今、こいつ。
こここっ、告白、した?オレに。
・・・・・・いや。そうじゃなくて、いやそれもあるけど、・・・・・・それもだけど、それも大いにあるんだけど!
そのことよりもまず、・・・・・・えーーーーーと。
「えーーーーーー・・・・・・。空波、“さん”?」
「ん?なーに?結城くんっ」
なんか言葉の最後にハートマークがちらついたような気がしたが、今はとりあえず無視するぞ。
「え?何・・・・・・?今、ぼ、・・・・・・“僕”って」
確かに聞こえた一単語を、オレは噛み締めるようにして確認する。
「“僕”って、・・・・・・言ったよね?自分のこと。空波さん」
「ん?あっ、ああ~!」
一瞬ぽかんとした表情を浮かべた後、空波は合点がいったとばかりにポンと手を打つ。
「そうそう!男だよ、僕!」
まるで、靴下の左右を間違えて履いているのを指摘されたときのように、あーしくった~・・・・・・と。
「いや~うっかりうっかり!僕が女の子の格好してるの知らない人久しぶりだったから!伝えるの忘れちゃってたよ~」
いかにも労わるような声色だったが、コイツはクマだ。会話が通じるなどと思ってはいけない。
オレはきっぱりと手を挙げて、拒否の意思表示をする。
「も、もうオレに関わるな・・・・・・。オレは・・・・・・、距離感無視してぐいぐい来るやつは嫌いだ」
「えーそんなあ」
形の良い空波の眉が、困ったように下がる。
「んー。じゃあ引き下がるよ、・・・・・・ほらこれでいい?」
そう言って空波は、姿勢を低くして何歩か後ろに下がった。
「いや、まだお前のその前足の射程圏内じゃねえか。ふざけんな」
「前足て」
「い、いいか空波・・・・・・さん。そのままそこで動くなよ?俺が立ち去るまでそこでじっとしていろ」
ショートコント~銀行強盗~みたいな台詞を吐きながら、オレはよろよろと立ち上がる。今度こそ視線を反らさないまま逃げなければ。どうでもいいけどこんなヤツにも一応女子ということで“さん”を付けてしまうサガが悲しい。
「ねえ待ってよ!」
空波が大声を出す。
「そのままじっとしてろって言っただろ~!」
「姿勢はそのままなんだからいいでしょ。ねえ結城くんさあ、今好きな人いる?」
「はっ?」
突然の質問に頭がついていかず、とっさにオレは・・・・・・。
「いっ、いないけど?」
馬鹿正直に真実を口にしてしまった。
途端にヤツは顔を崩して笑う。
「えっへへへ~、そっかあ~、いないのかあ~」
えええええええええええ~~~~~~。
気持ち悪っ。
それ美人がしていい笑い方じゃないからな?と突っ込む気力ももはや霧散しているオレに、ヤツがこう追撃してくる。
「へへへ~、じゃあさあ~。・・・・・・僕が結城くんの恋人に立候補しちゃってもいいかな?かな?」
最後の“かな?”は、照れたのかちょっと裏返ったようなコミカルな感じの声色だった。ふ~~~~ん、照れるなんて可愛げがあるというか人間らしいところあるじゃ~~~~ん。へ~~~~~~~~~~。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?
へ?はっ?
・・・・・・・今、こいつ。
こここっ、告白、した?オレに。
・・・・・・いや。そうじゃなくて、いやそれもあるけど、・・・・・・それもだけど、それも大いにあるんだけど!
そのことよりもまず、・・・・・・えーーーーーと。
「えーーーーーー・・・・・・。空波、“さん”?」
「ん?なーに?結城くんっ」
なんか言葉の最後にハートマークがちらついたような気がしたが、今はとりあえず無視するぞ。
「え?何・・・・・・?今、ぼ、・・・・・・“僕”って」
確かに聞こえた一単語を、オレは噛み締めるようにして確認する。
「“僕”って、・・・・・・言ったよね?自分のこと。空波さん」
「ん?あっ、ああ~!」
一瞬ぽかんとした表情を浮かべた後、空波は合点がいったとばかりにポンと手を打つ。
「そうそう!男だよ、僕!」
まるで、靴下の左右を間違えて履いているのを指摘されたときのように、あーしくった~・・・・・・と。
「いや~うっかりうっかり!僕が女の子の格好してるの知らない人久しぶりだったから!伝えるの忘れちゃってたよ~」
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