俺のことを好きすぎるショタたちに集団で襲われてハーレム絶頂

松任 来(まっとう らい)

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ハーレム第2章 可愛ければ何をしてもよい

ハーレム構成員共の好物はミートソースと玉子サンド

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 「・・・・・・りっ!・・・・・・ひかりっ!」
 「えっ?う、うわっ赤火っ!」

 回想の中にいた俺は、俺を呼ぶ赤火の声で、はっと我に返った。いつの間にかクラブの終了時刻になっていたようだ。俺を見つけて走ってきたのだろうか。はあはあと息を切らした赤火がはにかんでいる。
 「お、おう。練習お疲れ」
 平静を装って、俺を見つめるやんちゃそうな顔を見下ろす。私服に着替えた赤火は少し汗ばんでいる。俺と目が合うと、へへへーと破顔した。数十メートル後方のグラウンドの出入り口から、梨黄と紫音、真白、そしてやや遅れ気味に青太と緑葉が駆けて来るのも見えた。
 赤火が俺の顔を覗くように、少し背伸びをする。正午すぎの太陽が、彼の瞳の中に自分の姿を反射させきらきらと輝いている。
 「どうしたんだひかり?ぼーっとして」
 「あ、ああいや。な、なんでもないよ・・・・・・大丈夫」
 厳しい練習後だというのに全く疲れを感じさせないようなスピードで駆けて来た梨黄が、そのままの勢いで俺の胸に飛び込んでくる。
 「ひかりにーちゃーん!!」
 「うおうっ」
 慌てて抱きとめる。梨黄は俺にごりごりっと頭部をこすり付けると、あとは重力に従って俺の胴体に手を回したままずるずると下降していった。
 「ひかりにいちゃんっ!俺も俺もっ!」
 「だっこしてー!お兄ちゃーん!」
 「あ、ああー・・・・・・。ちょ、ちょっと待て・・・・・・うう・・・・・・」
 彼らと顔を合わせる心の準備のために早々とここに待機していたというのに、まるで効果がなかった。一昨日の卑猥さ極まりない彼らと、今目の前にいる爽やかなスポーツ少年たちの姿が脳内で上手く噛み合わず、うろうろと視線が泳ぐ。

 後発組も追いついてきた。青太はもう体力が残っておらず、ぐるぐると目を回している。俺の顔を見て何か言おうとするが、ぜえぜえ荒い呼吸しかできていない。緑葉もよろよろとした足取りで、息を切らしてへとへとだ。それでも俺がお疲れ様、と彼らの頭上に声をかけてやると、二人とも少し表情が和らいだ。いつもの光景。
 「・・・・・・なあなあひかり、今日さあ、さっきからずーっとここで立って見てたよな?普段はそんなに早くないのに」
 「えっ?」
 まずい。見られてた。ちゃんと木の陰になっているのを確認したのに。俺の背中を冷や汗が伝う。い、いかん。これでは、まるで・・・・・・。
 「・・・・・・へへー。ひょっとして、俺たちに早く会いたくて早く来て待ってたのかー?」
ぐあああっ!ほらー、そうなるじゃーん!そうなるに決まってるじゃーん!

 「ちちっ、違うっ!たまたま!たまたま大学が休講になったから!特に行くとこもなかったからちょっと早めに来てやろうと思っただけだよ!」
 「ほんとかー?」
 「ほんとだよっ!たまにはお前らの練習風景でも見てやるかと思って!お前がゴールする寸前に横から真白にボール持ってかれてすげえビビッてたところだってちゃんと見てたぞ!」
 「げっ!そ、そんなとこ見てんなよ!もう!」
 「ふふっ、赤火、俺にボール取られるといつも超びっくりした顔するよね」
 「お前いつも見えないところからぬっと現れるからだよ!どこから出てくるんだよ!忍者か!」
 赤火はクラブ中は真白のことが苦手らしい。まあ直情型の赤火と予測不能型の真白ではそうもなるだろう。
 「真白すごいよな。あの相手の死角突いてボール奪うやつで、上級生から点取ったりしてるもんな」
いつも感じていたことをそう口に出して褒めてやると、真白の顔がふにゃ~っと綻んだ。

 「ひかりにいちゃーん、お腹空いた~!」
 紫音が構ってほしそうな声を出す。
 「あー分かった。・・・・・・紫音、お前パーカーの紐、中に入り込んでるぞ。ほら、ちょっと顔上に向けなさい・・・・・・。っしょ、よしっ。・・・・・・そんじゃ行くぞみんな、ミートソース作ってあるから」
 まだ俺の腰に纏わりついている梨黄の頭をわしわし撫でながらそう言うと、子供たちからやったー!という歓声が上がる。

 「忘れ物ないな?トイレ大丈夫だな?・・・・・・あー、そうだ緑葉、お前水飲まなくて大丈夫か?」
そういえばと思い俺は後ろの方でやっと息を整えた緑葉に声をかける。
 「・・・・・・えっ?お水?」
 「おう。お前、さっきみんなが水飲み場行った時、入っていけてなかっただろ」
 水休憩の時は40人全員が水道に殺到するため、この子はよく勢いに負けて後ろでおろおろしていることがあるのだ。
 「・・・・・・うん、大丈夫。さっきロッカールームで飲んだよ」
 緑葉はこくんと小さく頷く。なんか顔が赤い気がするけど、本当に大丈夫かなあ?帰ったらもう一度ちゃんと飲ませるか。
 「そっか、ならいいけど。青太も。お前ランニングで死にそうな顔してたけど、水分補給したか?」
 「しっ、死にそうな顔なんてしてないしっ。・・・・・・てかひーくん、本当よく見てんなあ」
 「そりゃ見てるよ。お前らのことなら全部見てる」
 「うっ、ううう・・・・・・」
 青太までもがみるみる顔を赤くする。
 「な、なんだお前ら。どうした?大丈夫か?熱中症じゃないよな?」
 慌てて青太と緑葉の顔と同じ位置までしゃがみ、二人と目線を合わせる。
 「だ、だだ大丈夫!ううっ、ひーちゃあん・・・・・・」
 緑葉がびくんと震えたかと思うと、急に目を潤ませて甘えたような声で見つめてくる。青太も同じように目を潤ませて、視線を地面に向けてうろうろとさまよわせている。そしておぼつかない口調で呟いた。
 「うう、ひーくん・・・・・・。かっこいい・・・・・・可愛い・・・・・・」
 「えっ?」
 首をかしげる俺の後ろで、真白の声がした。
 「ふふ、ああいうの、“人たらし”って言うんだよね~」
 赤火たちにそう話しかけている。

 「はあ?な、何言って・・・・・・」
 そう言って振り向く俺の服の肩のところを、ちょいちょいと紫音が引っ張る。
 「ねえひかりにいちゃーん、帰ろうよー。お腹空いたってばー」
 「紫音拗ねてる~、構ってもらえないからって~」
 「なっ、・・・・・・すっ拗ねてない!」
 「はいはい分かった分かった。真白、あまり友達をからかうな」
 そして、七人でぞろぞろと俺の家まで向かう。普段通りの会話をしたことで、いつの間にか俺の心は落ち着いていた。帰ったらすぐにスパゲッティ茹でるお湯を沸かして、その間に全員に手洗いとうがいをさせて・・・・・・と忙しくこの後の流れを頭の中で組み立てる。

 つまり、色々と記憶の隅に追いやられていたということだ。一昨日こいつらが俺に対してしたことも。これからも俺の身体に触っていいと、彼らにほぼ同意させられてしまったことも。

 いや全くアホである。とんだ平和ボケ野郎である。
 俺は数時間後に、このときの自分の頭の足りなさを痛感することになるのだった。
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