6 / 48
6 何かがある
しおりを挟む
「キアラ……」
ダミアーノは婚約者の腰に腕を回して強く抱きしめる。
「ダミアーノ様……」
キアラも婚約者の背中に腕を回して強く抱きしめた。
ずっと忘れていた感情。なぜ私はこの優しい気持ちを無理に心の奥に押し込んでいたのかしら。
こんなに素晴らしい気分なのに!
「ダミアーノ様、あの日は私のほうこそ申し訳ありませんでした。子爵令嬢にちょっとだけ嫉妬していたのです」
「いや、あれはオレのほうこそ誤解を招くような言動をして悪かった。これからは気を付けよう」
「では、仲直り……ですね?」と、キアラは心から微笑む。
「あぁ。仲直りだ」と、ダミアーノは偽りの笑みを浮かべる。
(落ちたな)
彼の中に愛なんてない。一刻も早く、この場から去りたかった。
いくら計画のためとはいえ、好きでもない女と愛なんて語りたくない。まぁ、身体だけなら味わってもいいが。
ダミアーノはすっと立ち上がって、
「喉が乾いたろう? なにか飲み物を持ってこよう」
「あ、でしたら私が――」
「キアラはまだ体調が良くないだろう? 少し休んでいてくれ」
「ありがとうございます……!」
私の婚約者はなんて優しいのかしら。
――と、一人になったキアラは些細な幸福を噛みしめる。次期公爵で、かっこよくて優しくて。自分にはもったいないくらいの方だわ。
(もったいない……?)
そのとき、キアラの頭の中にふと疑念が浮かぶ。
もったいない。私には。ダミアーノ様は、もったいない。
……では、誰が彼にもったいなくないの?
(マルティーナ・ミア子爵令嬢?)
婚約者と同じくらい憎い相手の名前を思い出した途端、頭が殴られたように痛くなった。苦痛に耐えられずに、ずるりと床に崩れ落ちる。
頭の中がどんどん混沌としていくのを感じる。いろんな考えが浮かんできては消えて、ぐちゃぐちゃと脳内を掻き回すようだった。
なんだか、心の奥から誰かに呼ばれるような……。
頭の奥の痛みが、激しくなる。
(子爵令嬢ならダミアーノ様と釣り合う? いえ、身分からしてあり得ない。それに、二人は恋人同士で……あれ?)
小さな疑念はますます膨れ上がって、彼女の幸福だった感情はガラガラと無惨に砕けていく。痛くて痛くて苦しくて、高級な絨毯の上でのた打ち回る。
そして、キアラは思い出した。
(私は二人に嵌められて……。私は……ダミアーノ様を……憎んでいる!!)
あっという間に忘却の彼方へ飛んでいったはずの感情が、再び戻ってきた。柔らかい絨毯の上で愕然と頭を垂れる。心臓がぎゅっと縮こまって、喉元が締め付けられる感じがした。
頭の奥からの唸るような衝動は、まだ続いている。
(私は……また…………)
もう彼を愛することはないと、逆行したばかりに誓った気持ち。
あんなに固く決意したのに、もうひっくり返ってしまったなんて。
(なんで……なんで……)
彼女は少しのあいだ己に詰問をするが、今は考えている場合ではなかった。
一刻も早くここから逃げ出さないと。
でなければ、再びダミアーノと目を合わせたら、またもや彼を愛してしまうかもしれない。彼女はもう自分の感情など信頼していなかった。
割れそうな頭を持ち上げて、よろよろと部屋を出た。酷い苦痛でまともな思考ができそうにない。
でも、まだ理性は残っている。
だから、まだ間に合うはずだ。
(ええと……ジュリアは……馬車に…………)
廊下の壁に身体を支えながら、ゆっくりと前へ進む。朦朧とした意識のなか、一歩一歩着実に――、
「きゃっ」
ついに足がもつれて転んでしまった。起き上がろうとしても、鉛のように脚が重たくてずるずると廊下に沈んでしまう。
「おい、大丈夫か?」
そのとき、背後から男の声が聞こえた。
彼女はビクリと肩を揺らす。声の主が分からないので振り向いて顔を確認したかったが、とてもできるような状態ではなかった。
「っ……」
キアラはその場でうずくまる。頭が割れるように痛くて、ダミアーノのことを愛していて憎んでいて、気がどうにかなりそうだった。
「おい!」
背後の男がこちらに向かって駆け寄るのを背中で感じる。
(いや……。来ないで……)
もし、ダミアーノだったら。
――私はまた彼を愛してしまう。
いえ、私は今でも彼を愛しているの…………?
「リグリーア伯爵令嬢!」
刹那、男の両手がキアラ背中に触れた。
その瞬間、大地が揺れるくらいのドンと大きな衝撃。
バチリと何かが弾ける。閃光。闇の奥底から光り輝く地上へ、ぐいと勢いよく引き上げられるような。
ビリビリと電撃のような感覚が、キアラと、背後の男――レオナルド・ジノーヴァーに襲いかかった。
◇
少しの静寂が訪れて、キアラはおそるおそる目を開ける。
「あら……?」
違和感はすぐに気付いた。
(頭痛が消えた……!)
頭をかち割りそうな激しい痛みは、今では綺麗さっぱりなくなっている。それどころか頭がすっきりして、とても清々しい気分だった。
(今のは……。何か巨大な魔法……?)
レオナルドは呆然と目の前の令嬢を眺める。とても不思議な感覚だった。
リグリーア伯爵令嬢に触れた途端に、全身が焼け付くような激しい痛みが襲ってきた。
生まれて初めての感覚。戦場で多くの魔法を浴びてきた彼でも、その正体が何かは分からなかった。
「あ……」
「っ……!?」
二人の目が合う。
キアラは立ち上がりカーテシをして、
「先程は失礼いたしました。お気遣いありがとう存じます」
「あ、あぁ……。なにもなければ良いのだが……」
そのとき、彼はすぐに違和感に気付いた。
キアラの赤茶色の目は、真っ赤に変色していたのだ。
前世で見かけたときは、光の加減によって赤く見えることはあったが、ここまで美しいルビーみたいな見事な赤は初めてだった。
「お前、その瞳は――」
「キアラ!」
両手に炭酸水を持ったダミアーノが、慌てた様子で駆け寄って来た。
その様子をキアラは冷ややかな目で見る。彼女の奥底には憎しみだけが、嵐のように渦巻いていた。
「どうしたんだ? 部屋にいないと思ったら、大きな音がして――」
「ダミアーノ様、もうすっかり治ったようですわ。ありがとうございました」と、彼女は冷めた低音で婚約者の言葉を打ち切った。
「えっ……」
部屋の中とは正反対の態度に彼は面食らう。
(おかしい……。さっきまでは上手くいっていたのに……)
ダミアーノは婚約者の顔を覗き込んで、
「本当に大丈夫なのか?」
まっすぐに瞳を見つめた。
「……」
キアラも彼の瞳をまっすぐに見つめ返して、
「えぇ、大丈夫ですわ」
とびきりの笑顔で返事をした。
彼女は嬉しかったのだ。
だって、さっきみたいにダミアーノを愛する気持ちなんて、少しの欠片も持っていなかったから。
不思議な感覚だった。あんなに激しく愛する気持ちが、今では完全に凪いでいる。
それどころか逆行直後の憎悪する感情も復活して、ダミアーノを殺してやりたい衝動でいっぱいだ。
「ですが……」キアラは涼しい顔で言う。「大事を取って本日は失礼いたしますわ」
「そ、そうか。ならオレが屋敷まで――」
「皇太子殿下も」
キアラは婚約者を無視して、レオナルドに身体を向ける。
「本当にありがとうござました。では、ご機嫌よう」
「あ、あぁ……」
レオナルドは不可解さと一抹の不安を覚えたが、彼女はさっきまでは本当に体調が優れないようだったので、もう何も言わずに見送ることにした。
キアラは踵を返す。
ダミアーノは追いかける。
(なんだったんだ……)
一人取り残されたレオナルドはしばし思案した。
反応としては魔力の共鳴に近いと思った。それは、魔力の低い人間が高い者と体内のマナを通わせた際に起こる現象で、一瞬だが低い魔力を高みまで呼び起こすことができる。
彼も、戦場で危機が迫ったときに部下に使用することがあった。あれは、そのときの感触と似ていた。
だが、キアラ・リグリーア伯爵令嬢にはそもそも魔力を持っていない。ゼロにいくら巨大な数値を掛けても、無から動くことはない。
それに、あの婚約者。
(あれはダミアーノ・ヴィッツィオ公爵令息か。……皇后派閥の、な)
あの者からも、微弱だが妙な魔力を感じた。
これまで感じたことのない、不穏な波長のマナだった。
この二人には、何かがある。
ダミアーノは婚約者の腰に腕を回して強く抱きしめる。
「ダミアーノ様……」
キアラも婚約者の背中に腕を回して強く抱きしめた。
ずっと忘れていた感情。なぜ私はこの優しい気持ちを無理に心の奥に押し込んでいたのかしら。
こんなに素晴らしい気分なのに!
「ダミアーノ様、あの日は私のほうこそ申し訳ありませんでした。子爵令嬢にちょっとだけ嫉妬していたのです」
「いや、あれはオレのほうこそ誤解を招くような言動をして悪かった。これからは気を付けよう」
「では、仲直り……ですね?」と、キアラは心から微笑む。
「あぁ。仲直りだ」と、ダミアーノは偽りの笑みを浮かべる。
(落ちたな)
彼の中に愛なんてない。一刻も早く、この場から去りたかった。
いくら計画のためとはいえ、好きでもない女と愛なんて語りたくない。まぁ、身体だけなら味わってもいいが。
ダミアーノはすっと立ち上がって、
「喉が乾いたろう? なにか飲み物を持ってこよう」
「あ、でしたら私が――」
「キアラはまだ体調が良くないだろう? 少し休んでいてくれ」
「ありがとうございます……!」
私の婚約者はなんて優しいのかしら。
――と、一人になったキアラは些細な幸福を噛みしめる。次期公爵で、かっこよくて優しくて。自分にはもったいないくらいの方だわ。
(もったいない……?)
そのとき、キアラの頭の中にふと疑念が浮かぶ。
もったいない。私には。ダミアーノ様は、もったいない。
……では、誰が彼にもったいなくないの?
(マルティーナ・ミア子爵令嬢?)
婚約者と同じくらい憎い相手の名前を思い出した途端、頭が殴られたように痛くなった。苦痛に耐えられずに、ずるりと床に崩れ落ちる。
頭の中がどんどん混沌としていくのを感じる。いろんな考えが浮かんできては消えて、ぐちゃぐちゃと脳内を掻き回すようだった。
なんだか、心の奥から誰かに呼ばれるような……。
頭の奥の痛みが、激しくなる。
(子爵令嬢ならダミアーノ様と釣り合う? いえ、身分からしてあり得ない。それに、二人は恋人同士で……あれ?)
小さな疑念はますます膨れ上がって、彼女の幸福だった感情はガラガラと無惨に砕けていく。痛くて痛くて苦しくて、高級な絨毯の上でのた打ち回る。
そして、キアラは思い出した。
(私は二人に嵌められて……。私は……ダミアーノ様を……憎んでいる!!)
あっという間に忘却の彼方へ飛んでいったはずの感情が、再び戻ってきた。柔らかい絨毯の上で愕然と頭を垂れる。心臓がぎゅっと縮こまって、喉元が締め付けられる感じがした。
頭の奥からの唸るような衝動は、まだ続いている。
(私は……また…………)
もう彼を愛することはないと、逆行したばかりに誓った気持ち。
あんなに固く決意したのに、もうひっくり返ってしまったなんて。
(なんで……なんで……)
彼女は少しのあいだ己に詰問をするが、今は考えている場合ではなかった。
一刻も早くここから逃げ出さないと。
でなければ、再びダミアーノと目を合わせたら、またもや彼を愛してしまうかもしれない。彼女はもう自分の感情など信頼していなかった。
割れそうな頭を持ち上げて、よろよろと部屋を出た。酷い苦痛でまともな思考ができそうにない。
でも、まだ理性は残っている。
だから、まだ間に合うはずだ。
(ええと……ジュリアは……馬車に…………)
廊下の壁に身体を支えながら、ゆっくりと前へ進む。朦朧とした意識のなか、一歩一歩着実に――、
「きゃっ」
ついに足がもつれて転んでしまった。起き上がろうとしても、鉛のように脚が重たくてずるずると廊下に沈んでしまう。
「おい、大丈夫か?」
そのとき、背後から男の声が聞こえた。
彼女はビクリと肩を揺らす。声の主が分からないので振り向いて顔を確認したかったが、とてもできるような状態ではなかった。
「っ……」
キアラはその場でうずくまる。頭が割れるように痛くて、ダミアーノのことを愛していて憎んでいて、気がどうにかなりそうだった。
「おい!」
背後の男がこちらに向かって駆け寄るのを背中で感じる。
(いや……。来ないで……)
もし、ダミアーノだったら。
――私はまた彼を愛してしまう。
いえ、私は今でも彼を愛しているの…………?
「リグリーア伯爵令嬢!」
刹那、男の両手がキアラ背中に触れた。
その瞬間、大地が揺れるくらいのドンと大きな衝撃。
バチリと何かが弾ける。閃光。闇の奥底から光り輝く地上へ、ぐいと勢いよく引き上げられるような。
ビリビリと電撃のような感覚が、キアラと、背後の男――レオナルド・ジノーヴァーに襲いかかった。
◇
少しの静寂が訪れて、キアラはおそるおそる目を開ける。
「あら……?」
違和感はすぐに気付いた。
(頭痛が消えた……!)
頭をかち割りそうな激しい痛みは、今では綺麗さっぱりなくなっている。それどころか頭がすっきりして、とても清々しい気分だった。
(今のは……。何か巨大な魔法……?)
レオナルドは呆然と目の前の令嬢を眺める。とても不思議な感覚だった。
リグリーア伯爵令嬢に触れた途端に、全身が焼け付くような激しい痛みが襲ってきた。
生まれて初めての感覚。戦場で多くの魔法を浴びてきた彼でも、その正体が何かは分からなかった。
「あ……」
「っ……!?」
二人の目が合う。
キアラは立ち上がりカーテシをして、
「先程は失礼いたしました。お気遣いありがとう存じます」
「あ、あぁ……。なにもなければ良いのだが……」
そのとき、彼はすぐに違和感に気付いた。
キアラの赤茶色の目は、真っ赤に変色していたのだ。
前世で見かけたときは、光の加減によって赤く見えることはあったが、ここまで美しいルビーみたいな見事な赤は初めてだった。
「お前、その瞳は――」
「キアラ!」
両手に炭酸水を持ったダミアーノが、慌てた様子で駆け寄って来た。
その様子をキアラは冷ややかな目で見る。彼女の奥底には憎しみだけが、嵐のように渦巻いていた。
「どうしたんだ? 部屋にいないと思ったら、大きな音がして――」
「ダミアーノ様、もうすっかり治ったようですわ。ありがとうございました」と、彼女は冷めた低音で婚約者の言葉を打ち切った。
「えっ……」
部屋の中とは正反対の態度に彼は面食らう。
(おかしい……。さっきまでは上手くいっていたのに……)
ダミアーノは婚約者の顔を覗き込んで、
「本当に大丈夫なのか?」
まっすぐに瞳を見つめた。
「……」
キアラも彼の瞳をまっすぐに見つめ返して、
「えぇ、大丈夫ですわ」
とびきりの笑顔で返事をした。
彼女は嬉しかったのだ。
だって、さっきみたいにダミアーノを愛する気持ちなんて、少しの欠片も持っていなかったから。
不思議な感覚だった。あんなに激しく愛する気持ちが、今では完全に凪いでいる。
それどころか逆行直後の憎悪する感情も復活して、ダミアーノを殺してやりたい衝動でいっぱいだ。
「ですが……」キアラは涼しい顔で言う。「大事を取って本日は失礼いたしますわ」
「そ、そうか。ならオレが屋敷まで――」
「皇太子殿下も」
キアラは婚約者を無視して、レオナルドに身体を向ける。
「本当にありがとうござました。では、ご機嫌よう」
「あ、あぁ……」
レオナルドは不可解さと一抹の不安を覚えたが、彼女はさっきまでは本当に体調が優れないようだったので、もう何も言わずに見送ることにした。
キアラは踵を返す。
ダミアーノは追いかける。
(なんだったんだ……)
一人取り残されたレオナルドはしばし思案した。
反応としては魔力の共鳴に近いと思った。それは、魔力の低い人間が高い者と体内のマナを通わせた際に起こる現象で、一瞬だが低い魔力を高みまで呼び起こすことができる。
彼も、戦場で危機が迫ったときに部下に使用することがあった。あれは、そのときの感触と似ていた。
だが、キアラ・リグリーア伯爵令嬢にはそもそも魔力を持っていない。ゼロにいくら巨大な数値を掛けても、無から動くことはない。
それに、あの婚約者。
(あれはダミアーノ・ヴィッツィオ公爵令息か。……皇后派閥の、な)
あの者からも、微弱だが妙な魔力を感じた。
これまで感じたことのない、不穏な波長のマナだった。
この二人には、何かがある。
30
お気に入りに追加
87
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

公爵夫人アリアの華麗なるダブルワーク〜秘密の隠し部屋からお届けいたします〜
白猫
恋愛
主人公アリアとディカルト公爵家の当主であるルドルフは、政略結婚により結ばれた典型的な貴族の夫婦だった。 がしかし、5年ぶりに戦地から戻ったルドルフは敗戦国である隣国の平民イザベラを連れ帰る。城に戻ったルドルフからは目すら合わせてもらえないまま、本邸と別邸にわかれた別居生活が始まる。愛人なのかすら教えてもらえない女性の存在、そのイザベラから無駄に意識されるうちに、アリアは面倒臭さに頭を抱えるようになる。ある日、侍女から語られたイザベラに関する「推測」をきっかけに物語は大きく動き出す。 暗闇しかないトンネルのような現状から抜け出すには、ルドルフと離婚し公爵令嬢に戻るしかないと思っていたアリアだが、その「推測」にひと握りの可能性を見出したのだ。そして公爵邸にいながら自分を磨き、リスキリングに挑戦する。とにかく今あるものを使って、できるだけ抵抗しよう!そんなアリアを待っていたのは、思わぬ新しい人生と想像を上回る幸福であった。公爵夫人の反撃と挑戦の狼煙、いまここに高く打ち上げます!
➡️登場人物、国、背景など全て架空の100%フィクションです。

【完結】二度目の恋はもう諦めたくない。
たろ
恋愛
セレンは15歳の時に16歳のスティーブ・ロセスと結婚した。いわゆる政略的な結婚で、幼馴染でいつも喧嘩ばかりの二人は歩み寄りもなく一年で離縁した。
その一年間をなかったものにするため、お互い全く別のところへ移り住んだ。
スティーブはアルク国に留学してしまった。
セレンは国の文官の試験を受けて働くことになった。配属は何故か騎士団の事務員。
本人は全く気がついていないが騎士団員の間では
『可愛い子兎』と呼ばれ、何かと理由をつけては事務室にみんな足を運ぶこととなる。
そんな騎士団に入隊してきたのが、スティーブ。
お互い結婚していたことはなかったことにしようと、話すこともなく目も合わせないで過ごした。
本当はお互い好き合っているのに素直になれない二人。
そして、少しずつお互いの誤解が解けてもう一度……
始めの数話は幼い頃の出会い。
そして結婚1年間の話。
再会と続きます。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
愛を語れない関係【完結】
迷い人
恋愛
婚約者の魔導師ウィル・グランビルは愛すべき義妹メアリーのために、私ソフィラの全てを奪おうとした。 家族が私のために作ってくれた魔道具まで……。
そして、時が戻った。
だから、もう、何も渡すものか……そう決意した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる