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2 国外追放!?
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◇◇◇
親愛なるフレデリック様
ついに帝国にも春がやってきました。
私たちアレクサンドル人は一年のうちのこの僅かな時間を宝物のように大切に過ごしています。
春は大好きです。窓に映された白い景色が緑色に変わると、私の心も若芽が萌え出たような瑞々しさで溢れ返るのです。
……と、その前に雪解けで泥だらけになったお庭を整備しなければならないのですけど。
本当に庭師たちには頭が下がりますわ。あっという間に春のお庭に変身するように魔法を掛けてくれるんですもの。
今日は庭師から貰ったスミレを砂糖漬けにしました。出来上がった頃のお茶の時間が今から待ち遠しいです。
いつかフレデリック様と一緒にお茶を飲むことを楽しみにしています。そのときは私の作ったスミレの砂糖漬けを是非召し上がってくださいね。自画自賛ですが、とっても美味しいのですよ。バニラが隠し味なのです。……あっ、このことは秘密なのでしたわ。
とにかく、いつの日か来るフレデリック様とのお茶会を私は心待ちにしております。
そう言えば――……
◇◇◇
「リナ、料理の腕が上がったね」
私が作ったじゃがいものスープを味見してターニャさんがニカッと笑った。
「本当に?」と、私も思わず顔が綻ぶ。
「もちろん! 一年前はスミレの砂糖漬けしか作られなかった娘とは思えないよ」
「そっ、そのことはもう言わないでよ!」
恥ずかしい過去を思い出して私は顔を赤らめた。
一年前にアレクセイさんに保護されて、彼の奥様のターニャさんに家事を教わることになったのだけど、料理はできるのかと問われたときに自信満々に「スミレの砂糖漬けを作ることができるわ!」と答えたのだ。でも、あれはいわゆる「料理」とは言わないのよね。あのときの自分を叱ってあげたいわ……。
「あはは。ま、一年でこれだけ成長したら大したもんだ」
「ありがとう。ね、もう私も立派な平民になったわよね?」
「う~ん、それはどうかなぁ~?」
「えぇーっ!」
「さ、もうすぐアレクセイが帰って来るから急ごう」
「はぁ~い!」
ターニャさんは料理の最終調整をして、私は食卓の準備を始める。もう慣れた手付きでテーブルクロスに食器と磨き上げられたカトラリーを並べる。
夕食の時間は一番の楽しみだ。
温かい料理を皆で囲んで他愛もないお喋りをしながら食べるのは楽しい。自分の作った料理を美味しいって食べて貰えるのは嬉しい。こんなに幸せを感じることって中々ない。
食事は宮廷生活の頃よりは粗末なものだけど、全然さもしい気持ちにはならなかった。つまるところ、料理の豪華さよりも、その料理を誰が作って誰と一緒に食べるかのほうが重要なのかもしれない。
「国外追放……ですか?」
突然の話に私は驚きのあまり口からじゃがいもを落としそうになって、慌てて吸い込んだ。令嬢としてはしたない行為だけど、もう平民だから気楽なものだ。
「いや、追放なんて物騒な話じゃないんだ」
アレクセイさんは困った表情で顔を掻いた。彼は革命軍の幹部で、帝国から連邦の新政府に移行してからは国の副大統領として活躍している。地下牢から死にかけの私を救い出してくれた命の恩人だ。
「だって国から出ろってことでしょう?」
「そうだけど、しばらく国外で身を隠してくれってことさ。革命の傷が癒えたら連邦国の市民としてまた戻って来て欲しい。お願いできないかな?」
アレクセイさんの話によると、私の存在がどこからか漏れてしまったらしい。私のことは新政府でもごく一部の要人にしか知られていなかったので、今は裏切り者探しで大変だそうだ。
大陸の半分の領土を持つ帝国の元皇女が生きているとなると、皇族や貴族までを皆殺しにしようとしていた過激派や、皇女を女帝に立てて帝国を復活させようとする貴族たちに利用されかねない。そこで、ほとぼりが冷めるまで国外で過ごして欲しい……ということだった。
「……分かったわ」と、私は頷く。
このままここにいれば、きっと殺される可能性だってあるだろう。そうなればアレクセイさんやターニャさんを巻き込む可能性が高い。もともと処刑される予定だった自分なんかのために二人を危険に晒すわけにはいかないわ。
「済まないね、急な話で」
「ううん。いつまでも二人にお世話になっているわけにもいかないし、それにもう一年間も外出していないでしょう? さすがに飽きちゃったわ」と、私は努めて明るくケラケラと笑ってみせた。
「そうか……」アレクセイさんもふっと微笑んだ。「それで、君が向かう国なのだが、僕の遠い親戚が隣国にいるのでそちらに頼もうと――」
「ま、待って!」
ガタリと大きな音を立てて私は勢いよく立ち上がった。身体中にビリビリと電撃が走る。
私は今、重大な事実に気が付いたのだ。この国を出るということは、他国へ向かうということだ。
リーズ王国に行ける……!
にわかに顔が火照った。
夢だったリーズ王国。フレデリック様から手紙で何度も話を聞いて、憧れだった私の未来の嫁ぎ先。叶わなかった王太子妃としての新しい生活の場。
もう彼と結婚することはできないけれど、せめて一度この目でリーズ王国を見てみたい。彼が綴った自慢の国をこの脚で歩いてみたい。彼と同じ空気を感じてみたい。
「駄目だよ、リナ」
アレクセイさんが険しい顔で私を見た。
「えっ……?」
「君はリーズ王国へ行きたいと思っているんだろう? それは駄目だ」
「なんで――」
「危険だからだ。僕をはじめ新政府には遠方のリーズ王国には伝手がないので君は単身で乗り込むことになる。貴族には頼めないしね。誤解や憶測を招きかねないので政府関係者の護衛もなしだ。生活能力のない君がどうやって一人で生きていく? それに……君が辛いと思うよ」
「私は一人でもやっていけるわ! だってターニャさんから平民の生き方をたくさん教わったもの! 辛くなんかないっ!」
「リーズ王国は君の元婚約者の国だ。きっと惨めな思いをすることがある」
「私は平気よ!」
「フレデリック王太子に新しい婚約者ができたとしても? 王太子が結婚したとしても? 世継ぎが生まれたと――」
「そのへんにしときな、アレクセイ」と、ターニャさんがアレクセイさんを睨み付けた。
「ターニャ、僕は――」
「あたしはリナに賛成だ。っていうか、あんたの親戚にこの子を預けるほうがよっぽど危険だと思うけどねぇ。あたしが暗殺者だったらリナの居場所を突き止めるにまずは政府関係者から洗うけど?」
「そ、それは……」
「それに、けじめをつけるためにも一度リーズ王国へ行っておいたほうがいいと思う。それがリナを傷付けることになっても、この子が前へ進むために通らないといけない道なんだよ」
「だが……」
「アレクセイさん、お願い! 私は傷付いたって構わないわ! 一度でいいからリーズ王国を見てみたいの! だから、お願いしますっ!」
私は地面に付くくらい深々と頭を下げた。
「あたしからも頼むよ」と、ターニャさんも一緒に頭を下げてくれた。
しばらく水を打ったように静まり返って、ややあってアレクセイさんの長いため息だけが部屋に響いた。
「……分かった。確かにターニャの言う通り、遠いぶん隣国よりか安全かもしれない」
「本当っ!? ありがとう、アレクセイさんっ!」
「ただし!」アレクセイさんは人差し指を立てた。「条件がある」
「条件?」
「そう。僕との約束だ。まずはリナが皇女だと絶対に明かしてはならない。トラブルや最悪は新たな戦争の火種になるかもしれないからね」
「もちろんよ!」
「次に……もし奇跡のようなことが起こって君とフレデリック王太子が出会うことになっても、最初から最後まで平民のリナとして王太子と接すること。決して身分を打ち明けてはならない。絶対にだ」
私はごくりと唾を飲み込んで、ゆっくりと頷いた。
「分かってるわ。約束は必ず守ります」
こうして、私はリーズ王国へ赴くことになったのだった。
こんなことになるなんて、一年前の自分の状況からは考えられなかったので本当に夢みたいだ。
フレデリック様から手紙で教えて貰った王都の人気のお店や観光名所の幽霊が出る古城や小さな湖が点在する広々とした王立公園……行ってみたい場所はたくさんある。それらを考えるだけで胸が踊った。
でも、忘れてはいけない。
私は平民のリナ。
奇跡なんて起こるはずがない。
親愛なるフレデリック様
ついに帝国にも春がやってきました。
私たちアレクサンドル人は一年のうちのこの僅かな時間を宝物のように大切に過ごしています。
春は大好きです。窓に映された白い景色が緑色に変わると、私の心も若芽が萌え出たような瑞々しさで溢れ返るのです。
……と、その前に雪解けで泥だらけになったお庭を整備しなければならないのですけど。
本当に庭師たちには頭が下がりますわ。あっという間に春のお庭に変身するように魔法を掛けてくれるんですもの。
今日は庭師から貰ったスミレを砂糖漬けにしました。出来上がった頃のお茶の時間が今から待ち遠しいです。
いつかフレデリック様と一緒にお茶を飲むことを楽しみにしています。そのときは私の作ったスミレの砂糖漬けを是非召し上がってくださいね。自画自賛ですが、とっても美味しいのですよ。バニラが隠し味なのです。……あっ、このことは秘密なのでしたわ。
とにかく、いつの日か来るフレデリック様とのお茶会を私は心待ちにしております。
そう言えば――……
◇◇◇
「リナ、料理の腕が上がったね」
私が作ったじゃがいものスープを味見してターニャさんがニカッと笑った。
「本当に?」と、私も思わず顔が綻ぶ。
「もちろん! 一年前はスミレの砂糖漬けしか作られなかった娘とは思えないよ」
「そっ、そのことはもう言わないでよ!」
恥ずかしい過去を思い出して私は顔を赤らめた。
一年前にアレクセイさんに保護されて、彼の奥様のターニャさんに家事を教わることになったのだけど、料理はできるのかと問われたときに自信満々に「スミレの砂糖漬けを作ることができるわ!」と答えたのだ。でも、あれはいわゆる「料理」とは言わないのよね。あのときの自分を叱ってあげたいわ……。
「あはは。ま、一年でこれだけ成長したら大したもんだ」
「ありがとう。ね、もう私も立派な平民になったわよね?」
「う~ん、それはどうかなぁ~?」
「えぇーっ!」
「さ、もうすぐアレクセイが帰って来るから急ごう」
「はぁ~い!」
ターニャさんは料理の最終調整をして、私は食卓の準備を始める。もう慣れた手付きでテーブルクロスに食器と磨き上げられたカトラリーを並べる。
夕食の時間は一番の楽しみだ。
温かい料理を皆で囲んで他愛もないお喋りをしながら食べるのは楽しい。自分の作った料理を美味しいって食べて貰えるのは嬉しい。こんなに幸せを感じることって中々ない。
食事は宮廷生活の頃よりは粗末なものだけど、全然さもしい気持ちにはならなかった。つまるところ、料理の豪華さよりも、その料理を誰が作って誰と一緒に食べるかのほうが重要なのかもしれない。
「国外追放……ですか?」
突然の話に私は驚きのあまり口からじゃがいもを落としそうになって、慌てて吸い込んだ。令嬢としてはしたない行為だけど、もう平民だから気楽なものだ。
「いや、追放なんて物騒な話じゃないんだ」
アレクセイさんは困った表情で顔を掻いた。彼は革命軍の幹部で、帝国から連邦の新政府に移行してからは国の副大統領として活躍している。地下牢から死にかけの私を救い出してくれた命の恩人だ。
「だって国から出ろってことでしょう?」
「そうだけど、しばらく国外で身を隠してくれってことさ。革命の傷が癒えたら連邦国の市民としてまた戻って来て欲しい。お願いできないかな?」
アレクセイさんの話によると、私の存在がどこからか漏れてしまったらしい。私のことは新政府でもごく一部の要人にしか知られていなかったので、今は裏切り者探しで大変だそうだ。
大陸の半分の領土を持つ帝国の元皇女が生きているとなると、皇族や貴族までを皆殺しにしようとしていた過激派や、皇女を女帝に立てて帝国を復活させようとする貴族たちに利用されかねない。そこで、ほとぼりが冷めるまで国外で過ごして欲しい……ということだった。
「……分かったわ」と、私は頷く。
このままここにいれば、きっと殺される可能性だってあるだろう。そうなればアレクセイさんやターニャさんを巻き込む可能性が高い。もともと処刑される予定だった自分なんかのために二人を危険に晒すわけにはいかないわ。
「済まないね、急な話で」
「ううん。いつまでも二人にお世話になっているわけにもいかないし、それにもう一年間も外出していないでしょう? さすがに飽きちゃったわ」と、私は努めて明るくケラケラと笑ってみせた。
「そうか……」アレクセイさんもふっと微笑んだ。「それで、君が向かう国なのだが、僕の遠い親戚が隣国にいるのでそちらに頼もうと――」
「ま、待って!」
ガタリと大きな音を立てて私は勢いよく立ち上がった。身体中にビリビリと電撃が走る。
私は今、重大な事実に気が付いたのだ。この国を出るということは、他国へ向かうということだ。
リーズ王国に行ける……!
にわかに顔が火照った。
夢だったリーズ王国。フレデリック様から手紙で何度も話を聞いて、憧れだった私の未来の嫁ぎ先。叶わなかった王太子妃としての新しい生活の場。
もう彼と結婚することはできないけれど、せめて一度この目でリーズ王国を見てみたい。彼が綴った自慢の国をこの脚で歩いてみたい。彼と同じ空気を感じてみたい。
「駄目だよ、リナ」
アレクセイさんが険しい顔で私を見た。
「えっ……?」
「君はリーズ王国へ行きたいと思っているんだろう? それは駄目だ」
「なんで――」
「危険だからだ。僕をはじめ新政府には遠方のリーズ王国には伝手がないので君は単身で乗り込むことになる。貴族には頼めないしね。誤解や憶測を招きかねないので政府関係者の護衛もなしだ。生活能力のない君がどうやって一人で生きていく? それに……君が辛いと思うよ」
「私は一人でもやっていけるわ! だってターニャさんから平民の生き方をたくさん教わったもの! 辛くなんかないっ!」
「リーズ王国は君の元婚約者の国だ。きっと惨めな思いをすることがある」
「私は平気よ!」
「フレデリック王太子に新しい婚約者ができたとしても? 王太子が結婚したとしても? 世継ぎが生まれたと――」
「そのへんにしときな、アレクセイ」と、ターニャさんがアレクセイさんを睨み付けた。
「ターニャ、僕は――」
「あたしはリナに賛成だ。っていうか、あんたの親戚にこの子を預けるほうがよっぽど危険だと思うけどねぇ。あたしが暗殺者だったらリナの居場所を突き止めるにまずは政府関係者から洗うけど?」
「そ、それは……」
「それに、けじめをつけるためにも一度リーズ王国へ行っておいたほうがいいと思う。それがリナを傷付けることになっても、この子が前へ進むために通らないといけない道なんだよ」
「だが……」
「アレクセイさん、お願い! 私は傷付いたって構わないわ! 一度でいいからリーズ王国を見てみたいの! だから、お願いしますっ!」
私は地面に付くくらい深々と頭を下げた。
「あたしからも頼むよ」と、ターニャさんも一緒に頭を下げてくれた。
しばらく水を打ったように静まり返って、ややあってアレクセイさんの長いため息だけが部屋に響いた。
「……分かった。確かにターニャの言う通り、遠いぶん隣国よりか安全かもしれない」
「本当っ!? ありがとう、アレクセイさんっ!」
「ただし!」アレクセイさんは人差し指を立てた。「条件がある」
「条件?」
「そう。僕との約束だ。まずはリナが皇女だと絶対に明かしてはならない。トラブルや最悪は新たな戦争の火種になるかもしれないからね」
「もちろんよ!」
「次に……もし奇跡のようなことが起こって君とフレデリック王太子が出会うことになっても、最初から最後まで平民のリナとして王太子と接すること。決して身分を打ち明けてはならない。絶対にだ」
私はごくりと唾を飲み込んで、ゆっくりと頷いた。
「分かってるわ。約束は必ず守ります」
こうして、私はリーズ王国へ赴くことになったのだった。
こんなことになるなんて、一年前の自分の状況からは考えられなかったので本当に夢みたいだ。
フレデリック様から手紙で教えて貰った王都の人気のお店や観光名所の幽霊が出る古城や小さな湖が点在する広々とした王立公園……行ってみたい場所はたくさんある。それらを考えるだけで胸が踊った。
でも、忘れてはいけない。
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