91 / 220
第90話 帰還
しおりを挟む
「ジェネラル様……、本が逆になっていますよ」
エクスの言葉に、はっとなるジェネラル。
手元の本を見ると、彼が言ったとおり逆さまになっている。
慌てて本を元に戻したが、その時に手が香茶の入ったコップに当り、床に落ちた。
カップが砕け、茶が床に流れ出す。
「ああっ…、ごめん、エクス…」
急いで復元の魔法を掛けるエクスを見ながら、ジェネラルが詫びた。
とんでもないと、首を振るエクス。
“一体何やってるんだろ・・・・・”
ジェネラルは本を閉じ、頬杖をついてため息をついた。
その様子を少し心配そうな表情で、エクスが見つめていた。
ジェネラルが魔界に帰ってきて、3月が経っていた。
* * *
魔王の突然の帰還に、誰もが驚いた。
ジェネラルは、ミディが城に戻り、自分も魔界に戻ってきた事を伝えると、それ以上は何も語らなかった。
それからはきちんと国政をこなし、魔界を出る前と変わらない生活をしている。
周りは、
『魔界を出る前よりも、逞しくなられた』
と、ミディに感謝している。
確かに、プロトコルで色々と経験を積んできたジェネラルは、一回り以上大きく成長した……ように感じる。
逞しくなったというか、繊細だった精神が、ず太くなったというか。
まあ、周りが喜んでいるいるから、よしとしよう。
しかし、いつもジェネラルの側に仕え、彼を見ているエクスは、時折見せる魔王の沈んだ表情を、心配して見守っていた。
「…あの……ジェネラル様」
「えっ? あっ? 何の話だっけ?」
「いえ、続いている会話は何もありませんが…」
「そっ、そうだっけ? ごめんごめん…」
そう言って、ジェネラルは手元の書類に視線を戻す。その表情はどこか暗い。明らかに、旅以前と違う態度だ。
エクスは意を決し、口を開いた。
「ジェネラル様、どうかされましたか? 魔界に戻られて3月、ずっとご気分が優れないように見えますが…」
「えっ…、そっそう!?」
「はい……」
飛び上がる勢いで顔を上げたジェネラルに、エクスが頷いてみせる。
魔王である彼が動揺しているのは、明らかだ。
エクスは、ジェネラルの前に立つと、真剣な表情で問うた。
「こんな事を尋ねるなど、出すぎた真似かもしれません。しかし…、もしよろしければ、何があったか話して頂けないでしょうか?」
補佐役の青年の言葉に、ジェネラルは黙って手元に視線を落とす。
出来るだけ伏せた気持ちを表に出さないように、心がけているつもりだった。
だが実はバレており、エクスに心配を掛けていた罪悪感がジェネラルを襲う。
しばらく、顔を伏せていた魔王だったが、
「あのね、エクス……」
顔を上げると、思い切ってミディと別れた時のことを話した。
突然、ミディと別れなければならなかった事。
そのことについて、1言もミディから説明がなかった事。
ミディの父親が病に伏せ、その為にやむを得なかったと思っても、何故か胸にもやもやとしたものが残っている事。
「ずっと一緒に旅をしてきたけどさ、僕の存在ってミディにとって、一言もなく、あんな簡単に別れる事が出来る程度だったのかな…」
最後に、小さくジェネラルが付け加え、口を閉ざした。
そして胸につかえた物を吐き出すように、深いため息をついた。
その時。
ドンッ!!
「えっ、えくす…!?」
いきなりテーブルに音を立てて手をついたエクスを、ジェネラルは驚きの表情で見上げた。
少し伏せ、前髪がかかっているため、エクスの表情ははっきりと見えない。が、もし彼のオーラが見えるなら、真っ赤に燃えているのが見えただろう。
「ジェネラルさま……」
「あっ、はい………」
「城に突撃でもして、何故あの女に一言、言って来てやらなかったのですか!!」
「ええ……あ…えっと?」
いきなり叫んだエクスを、どう反応していいのか分からず、ジェネラルはただ見返すだけだった。
びびった表情を浮かべる主人に、少し冷静さを取り戻したのだろう。
一つ咳払いをすると、エクスは1言侘び、姿勢を正した。
「ジェネラル様。ミディに言いたいことがあるなら、はっきり言うべきです!」
「あっ…、言いたい事って言っても…、たいした事ではないし…。ただ、ミディから1言もなく、別れたことが納得いかないというか……」
「大した事でなければ、3月も悩まないでしょう!」
再び、エクスの活が炸裂する。
びくっと首を竦めるジェネラル。
エクスはもう一度、気持ちを落ち着かせる為、咳払いをした。
「もう1度、プロトコルに行って、ミディにお会いになって来て下さい。そして言いたい事を、思いっきりあの女にぶつけてきて下さい!」
「うっ…、でも、あのミディだよ…?」
「ミディが何ですか! あなたは魔王ですよ!! もし、あの女が何か言い返して来たら、魔王としての力を見せ付けてやればいいのです! それこそ、城の一つぐらい壊してやりなさい!」
ミディの望む魔王に近い発言をするエクス。
魔王としての力を見せ付けるというのはどうかと思うが、エクスの言葉は、ジェネラルの胸の痞えに明らかに刺激を与えていた。
気持ちが揺れるのが、感じられる。
確かに、大した事でないなら、3ヶ月もずっと悩むことはないだろう。
ミディに会いたいのは、自分の我儘。
その真面目な気持ちが、ずっとジェネラルの足を止めていた。
エクスは、そんな魔王の気持ちに気づいていたのだ。
「ジェネラル様。あなた様の優しさは、我々の誇りです。しかし優しい事と、気持ちを抑える事は違うと思うのです」
先ほどとは違う、柔らかく優しい口調で語りかける。
表情から、ジェネラルを思いやる気持ちが見える。
彼の言葉が、ジェネラルの中へ何の障害もなく入ってくる。
気持ちが軽くなっていくのが、感じられた。
瞳を閉じ、大きく息を吐くと、顔を上げた。
すっと瞳を開く。
そこには、もう暗さも迷いもなかった。
「僕、もう1度ミディに会ってくる。言いたかった事、文句でも何でも、しっかり言って来るよ!」
魔王の決意に、エクスは微笑んだ。
ジェネラルも、微笑み返す。
「ごめん、エクス。また少し魔界を留守にするけど…、いいかな?」
「いいかなもなにも……」
首を振り、言葉を続けようとした時、
「ジェネラル様のご決断に、誰が反対しますか!!」
「あなた様の留守中、我々一丸となって魔界をお守りいたします!!」
「ジェネラル様は、我々の事など構わず、すぐにプロトコルへ!!」
どこから沸いて出てきたのか、他の魔族たちがわらわら部屋に入ってきたのだ。
ジェネラルたちの会話を、盗み聞きしていたらしい。
ミディが魔界にやって来たときのように、盗み聞きするわ、部屋に乱入するわ、何て魔界はリベラルな世界なのだろう。
魔王を気遣う言葉を口にする魔族たちを見、ジェネラルは胸が熱くなった。同時に、嬉しく思う。
ジェネラルは立ち上がると、部屋に押しかけた魔族たちを見回し、口を開いた。
「僕の留守中、魔界を頼んだよ」
魔族たちは先ほどとは違い、その場で片膝を付くと無言で頭を下げた。
エクスの言葉に、はっとなるジェネラル。
手元の本を見ると、彼が言ったとおり逆さまになっている。
慌てて本を元に戻したが、その時に手が香茶の入ったコップに当り、床に落ちた。
カップが砕け、茶が床に流れ出す。
「ああっ…、ごめん、エクス…」
急いで復元の魔法を掛けるエクスを見ながら、ジェネラルが詫びた。
とんでもないと、首を振るエクス。
“一体何やってるんだろ・・・・・”
ジェネラルは本を閉じ、頬杖をついてため息をついた。
その様子を少し心配そうな表情で、エクスが見つめていた。
ジェネラルが魔界に帰ってきて、3月が経っていた。
* * *
魔王の突然の帰還に、誰もが驚いた。
ジェネラルは、ミディが城に戻り、自分も魔界に戻ってきた事を伝えると、それ以上は何も語らなかった。
それからはきちんと国政をこなし、魔界を出る前と変わらない生活をしている。
周りは、
『魔界を出る前よりも、逞しくなられた』
と、ミディに感謝している。
確かに、プロトコルで色々と経験を積んできたジェネラルは、一回り以上大きく成長した……ように感じる。
逞しくなったというか、繊細だった精神が、ず太くなったというか。
まあ、周りが喜んでいるいるから、よしとしよう。
しかし、いつもジェネラルの側に仕え、彼を見ているエクスは、時折見せる魔王の沈んだ表情を、心配して見守っていた。
「…あの……ジェネラル様」
「えっ? あっ? 何の話だっけ?」
「いえ、続いている会話は何もありませんが…」
「そっ、そうだっけ? ごめんごめん…」
そう言って、ジェネラルは手元の書類に視線を戻す。その表情はどこか暗い。明らかに、旅以前と違う態度だ。
エクスは意を決し、口を開いた。
「ジェネラル様、どうかされましたか? 魔界に戻られて3月、ずっとご気分が優れないように見えますが…」
「えっ…、そっそう!?」
「はい……」
飛び上がる勢いで顔を上げたジェネラルに、エクスが頷いてみせる。
魔王である彼が動揺しているのは、明らかだ。
エクスは、ジェネラルの前に立つと、真剣な表情で問うた。
「こんな事を尋ねるなど、出すぎた真似かもしれません。しかし…、もしよろしければ、何があったか話して頂けないでしょうか?」
補佐役の青年の言葉に、ジェネラルは黙って手元に視線を落とす。
出来るだけ伏せた気持ちを表に出さないように、心がけているつもりだった。
だが実はバレており、エクスに心配を掛けていた罪悪感がジェネラルを襲う。
しばらく、顔を伏せていた魔王だったが、
「あのね、エクス……」
顔を上げると、思い切ってミディと別れた時のことを話した。
突然、ミディと別れなければならなかった事。
そのことについて、1言もミディから説明がなかった事。
ミディの父親が病に伏せ、その為にやむを得なかったと思っても、何故か胸にもやもやとしたものが残っている事。
「ずっと一緒に旅をしてきたけどさ、僕の存在ってミディにとって、一言もなく、あんな簡単に別れる事が出来る程度だったのかな…」
最後に、小さくジェネラルが付け加え、口を閉ざした。
そして胸につかえた物を吐き出すように、深いため息をついた。
その時。
ドンッ!!
「えっ、えくす…!?」
いきなりテーブルに音を立てて手をついたエクスを、ジェネラルは驚きの表情で見上げた。
少し伏せ、前髪がかかっているため、エクスの表情ははっきりと見えない。が、もし彼のオーラが見えるなら、真っ赤に燃えているのが見えただろう。
「ジェネラルさま……」
「あっ、はい………」
「城に突撃でもして、何故あの女に一言、言って来てやらなかったのですか!!」
「ええ……あ…えっと?」
いきなり叫んだエクスを、どう反応していいのか分からず、ジェネラルはただ見返すだけだった。
びびった表情を浮かべる主人に、少し冷静さを取り戻したのだろう。
一つ咳払いをすると、エクスは1言侘び、姿勢を正した。
「ジェネラル様。ミディに言いたいことがあるなら、はっきり言うべきです!」
「あっ…、言いたい事って言っても…、たいした事ではないし…。ただ、ミディから1言もなく、別れたことが納得いかないというか……」
「大した事でなければ、3月も悩まないでしょう!」
再び、エクスの活が炸裂する。
びくっと首を竦めるジェネラル。
エクスはもう一度、気持ちを落ち着かせる為、咳払いをした。
「もう1度、プロトコルに行って、ミディにお会いになって来て下さい。そして言いたい事を、思いっきりあの女にぶつけてきて下さい!」
「うっ…、でも、あのミディだよ…?」
「ミディが何ですか! あなたは魔王ですよ!! もし、あの女が何か言い返して来たら、魔王としての力を見せ付けてやればいいのです! それこそ、城の一つぐらい壊してやりなさい!」
ミディの望む魔王に近い発言をするエクス。
魔王としての力を見せ付けるというのはどうかと思うが、エクスの言葉は、ジェネラルの胸の痞えに明らかに刺激を与えていた。
気持ちが揺れるのが、感じられる。
確かに、大した事でないなら、3ヶ月もずっと悩むことはないだろう。
ミディに会いたいのは、自分の我儘。
その真面目な気持ちが、ずっとジェネラルの足を止めていた。
エクスは、そんな魔王の気持ちに気づいていたのだ。
「ジェネラル様。あなた様の優しさは、我々の誇りです。しかし優しい事と、気持ちを抑える事は違うと思うのです」
先ほどとは違う、柔らかく優しい口調で語りかける。
表情から、ジェネラルを思いやる気持ちが見える。
彼の言葉が、ジェネラルの中へ何の障害もなく入ってくる。
気持ちが軽くなっていくのが、感じられた。
瞳を閉じ、大きく息を吐くと、顔を上げた。
すっと瞳を開く。
そこには、もう暗さも迷いもなかった。
「僕、もう1度ミディに会ってくる。言いたかった事、文句でも何でも、しっかり言って来るよ!」
魔王の決意に、エクスは微笑んだ。
ジェネラルも、微笑み返す。
「ごめん、エクス。また少し魔界を留守にするけど…、いいかな?」
「いいかなもなにも……」
首を振り、言葉を続けようとした時、
「ジェネラル様のご決断に、誰が反対しますか!!」
「あなた様の留守中、我々一丸となって魔界をお守りいたします!!」
「ジェネラル様は、我々の事など構わず、すぐにプロトコルへ!!」
どこから沸いて出てきたのか、他の魔族たちがわらわら部屋に入ってきたのだ。
ジェネラルたちの会話を、盗み聞きしていたらしい。
ミディが魔界にやって来たときのように、盗み聞きするわ、部屋に乱入するわ、何て魔界はリベラルな世界なのだろう。
魔王を気遣う言葉を口にする魔族たちを見、ジェネラルは胸が熱くなった。同時に、嬉しく思う。
ジェネラルは立ち上がると、部屋に押しかけた魔族たちを見回し、口を開いた。
「僕の留守中、魔界を頼んだよ」
魔族たちは先ほどとは違い、その場で片膝を付くと無言で頭を下げた。
0
お気に入りに追加
66
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢の断罪現場に居合わせた私が巻き込まれた悲劇
藍生蕗
ファンタジー
悪役令嬢と揶揄される公爵令嬢フィラデラが公の場で断罪……されている。
トリアは会場の端でその様を傍観していたが、何故か急に自分の名前が出てきた事に動揺し、思わず返事をしてしまう。
会場が注目する中、聞かれる事に答える度に場の空気は悪くなって行って……
もういらないと言われたので隣国で聖女やります。
ゆーぞー
ファンタジー
孤児院出身のアリスは5歳の時に天女様の加護があることがわかり、王都で聖女をしていた。
しかし国王が崩御したため、国外追放されてしまう。
しかし隣国で聖女をやることになり、アリスは幸せを掴んでいく。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~
流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。
しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。
けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる