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第38話 誘い
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コンコンコン……。
「うーん……、誰?」
ジェネラルの不機嫌そうな声が、ノック音に答えた。
眠気が限界を超え、そろそろベッドに入ろうとしていた時の訪問者である。温厚な少年が不機嫌になるもの当然だ。
「はいはい~、今行きますよ~…」
半分あくび混じりな声で、ジェネラルはドアに声を掛けた。このまま出ないのも悪いと思うのが、彼の真面目なところである。
体の半分を入れていたベッドから出ると、眠い目を擦りながらドアの方へ向う。
“アクノリッジさんかシンクさんなら、即ドア閉めてもいいかな……?”
そんな思いを抱きつつ、ゆっくりとドアを開けた。そこには、
「あら? ジェネ、もう寝てたの?」
寝巻きの上に薄いショールを纏った、ミディの姿があった。寝る前だからか長い髪は下ろされ、化粧も全くされていない。しかし、化粧などせずとも変わらず美しい姿がそこにあった。
「どうしたの? こんな時間に……」
王女の突然の訪問に、ジェネラルは不思議そうに問う。
彼女は、夜更かしは肌に悪いと言って、いつもこの時間には寝ている事を知っている為だ。彼の考えがすぐに読めたのだろう。
「私の肌の心配はしなくていいわよ。一日ぐらい夜更かしして肌荒れ起こす程、私の美貌はヤワではないから」
「心配してない、してない……」
呆れた表情を思いっきり出しながら、ジェネラルは首を横に振った。いつもならミディの機嫌を損ねないよう言葉を選ぶのだが、今は眠気もあってか表現がストレートだ。
そんな少年の突っ込みを無視し、ミディはここに来た目的を伝える為に口を開いた。
「ちょっとした集まりがあるのよ。あなたも来ない?」
「えっ? 集まり? どっ、どういう集まりなの?」
突然に誘いに、ジェネラルの睡魔が一気に吹っ飛んだ。
恐る恐る、集まりの趣旨を問う。怪しさ&嫌な予感が、ジェネラルの心の中で大きな波となり、暴れまくっている。
こんな深夜に出て来いというのだ。それも、あのミディが、大切にしている肌の事に目を瞑ってでも行こうとしているのである。
そんじゃそこらの、変な場所じゃないだろう。まあ、彼女が行くぐらいなのだから、女性が不快感を覚えるような場所でない事は、確かだろうが……。
不信感で心が一杯のジェネラルを見、ミディは人差し指を唇に当てると、可愛らしく首を傾けた。
「それは、行ってからの、お・た・の・し・み。ふふっ」
「…………それじゃミディ、お休みなさい~。良い夢を」
ジェネラルは全てを聞かなかったことにした。
世のお姉さま方を魅了する笑顔をミディに向けると、何事もなかったかのように、ドアを閉めて部屋に戻ろうとする。
が、そんなこと、あの王女が許すはずもない。
素早い動作で、ミディはドアと壁の隙間に靴を挟んだ。
ドアが閉まらないと焦るジェネラルの隙をつき、空いている隙間から手を入れ物凄い力で扉を全開した。
突然の出来事にジェネラルの体勢が崩れ、小さな叫びと共に、少年の体が廊下に飛び出す。慌てて体勢を整えた為、顔面から廊下にダイビングという無様な格好をさらす事はなかったのが、幸いだった。
不気味な笑みを浮かべつつ、ミディはジェネラルの腕を掴んだ。薄暗い廊下に照らされる王女の表情は、恐ろしいの一言に尽きる。
「じゃあ行きましょうか」
「行きましょうかって……、行くか尋ねたくせに、僕に拒否権なしですか!?」
半分引きずられた状態で連れて行かれようとしているのに抵抗してか、ジェネラルが叫ぶ。しかし、相手はミディだ。そんなことで、彼女の手が離される事はない。
最後まで抵抗し続けるジェネラルを見、ミディは溜息まじりに彼の名を呼ぶ。
「ジェネ……」
「なっ、何?」
不意に名を呼ばれ、一時抵抗を止めるジェネラル。
そんな彼を見、ミディはどこか遠い目で呟いた。
「世の中……、そんなものよ……」
「げっ、元凶が言うなあああ――——!」
だが、彼の叫びも空しく、王女と魔王の姿は、夜の闇へと吸い込まれ消えていった。
* * *
城の人間たちに見つからないようにジェネラルが連れて行かれたのは、城の外にある小さな小屋だった。
中には、たくさんの木箱や、何に使うのか分からない道具などが積み上げられている。どうやら、物置小屋のようだ。
「確か、この辺だったはず……」
小屋に入るなり、ミディは木箱の隙間や壁を調べている。
彼女の行動に不信感を抱きながらも、ジェネラルは黙って見ていた。
無理やり連れてこられたのだ。手伝う気も起らないのは当然だろう。と……。
「あっ、あったわ」
何かを見つけたのか、ミディが言葉を洩らした。そして、木箱の隙間に手を入れ、『何か』を押した。すると。
「ええっ!?」
ジェネラルが声を上げるのも、無理はなかった。
木の擦れる音がしたかと思うと一部の床の板が下がり、そこに人1人が入れるぐらいの穴が出現したのだ。驚きに目を見開いたまま穴を見つめているジェネラルに、ミディが声をかける。
「中に入るわよ」
「えっ? 中に入るの?」
「当たり前でしょ? さあ、入るわよ」
どこか不安そうに穴を見つめるジェネラルの背中を、言葉と共にミディが押す。
仕方なく彼女に従い、穴を覗き込んだ。てっきり闇の世界が広がっているのかと思ったが、うっすらと光が漏れており、穴の向こうに何かがある事を示唆していた。
穴の側面を見ると、梯子がつけられてあった。これを伝って、下へ降りるようだ。
腹をくくったのか、ジェネラルは体を持ち上げ、ゆっくりと梯子に足をかける。
穴は、思った程深くなく、すぐ地面に足がついた。
そこには小さな扉があった。その扉の横には、ランタンが掛けられており、ジェネラルを照らしている。彼が上で見た光は、どうやらこのランタンの明かりだったらしい。
降りてきたミディが、ドアをノックした。
まずは、1回。
少し間を置き、3回。
そして、2回。
まるで、何かの合図のようなノックの仕方に、ジェネラルは眉根に皺を寄せた。合図をする、と言う事は、限られた者しかこの中に入れないと言う事を意味するからだ。
ノックの仕方が合っていたのだろう。薄暗い通路に、鍵が解除される音が響き渡る。それを確認し、ミディはゆっくりとドアを開いた。
ランタンの光に目が慣れているジェネラルにとって、その部屋の光はあまりに眩し過ぎた。目の奥に変な痛みをを感じ、思わず手の甲で目を庇う。
痛みが引き、目を刺激しないよう、ゆっくりと手を外した時。
「えっ? ええええっ!? どうして!?」
目の前にいる人物たちを見て、ジェネラルは驚きの声を上げた。
見間違いかと目を擦るが、見える景色は変わらない。そこには……。
「よお、よく来たな、ミディ、ジェネラル」
「ミディ姉、ジェネラル、こんばんは」
と、ミディたちを笑顔で迎えるアクノリッジとシンクの姿があった。
「うーん……、誰?」
ジェネラルの不機嫌そうな声が、ノック音に答えた。
眠気が限界を超え、そろそろベッドに入ろうとしていた時の訪問者である。温厚な少年が不機嫌になるもの当然だ。
「はいはい~、今行きますよ~…」
半分あくび混じりな声で、ジェネラルはドアに声を掛けた。このまま出ないのも悪いと思うのが、彼の真面目なところである。
体の半分を入れていたベッドから出ると、眠い目を擦りながらドアの方へ向う。
“アクノリッジさんかシンクさんなら、即ドア閉めてもいいかな……?”
そんな思いを抱きつつ、ゆっくりとドアを開けた。そこには、
「あら? ジェネ、もう寝てたの?」
寝巻きの上に薄いショールを纏った、ミディの姿があった。寝る前だからか長い髪は下ろされ、化粧も全くされていない。しかし、化粧などせずとも変わらず美しい姿がそこにあった。
「どうしたの? こんな時間に……」
王女の突然の訪問に、ジェネラルは不思議そうに問う。
彼女は、夜更かしは肌に悪いと言って、いつもこの時間には寝ている事を知っている為だ。彼の考えがすぐに読めたのだろう。
「私の肌の心配はしなくていいわよ。一日ぐらい夜更かしして肌荒れ起こす程、私の美貌はヤワではないから」
「心配してない、してない……」
呆れた表情を思いっきり出しながら、ジェネラルは首を横に振った。いつもならミディの機嫌を損ねないよう言葉を選ぶのだが、今は眠気もあってか表現がストレートだ。
そんな少年の突っ込みを無視し、ミディはここに来た目的を伝える為に口を開いた。
「ちょっとした集まりがあるのよ。あなたも来ない?」
「えっ? 集まり? どっ、どういう集まりなの?」
突然に誘いに、ジェネラルの睡魔が一気に吹っ飛んだ。
恐る恐る、集まりの趣旨を問う。怪しさ&嫌な予感が、ジェネラルの心の中で大きな波となり、暴れまくっている。
こんな深夜に出て来いというのだ。それも、あのミディが、大切にしている肌の事に目を瞑ってでも行こうとしているのである。
そんじゃそこらの、変な場所じゃないだろう。まあ、彼女が行くぐらいなのだから、女性が不快感を覚えるような場所でない事は、確かだろうが……。
不信感で心が一杯のジェネラルを見、ミディは人差し指を唇に当てると、可愛らしく首を傾けた。
「それは、行ってからの、お・た・の・し・み。ふふっ」
「…………それじゃミディ、お休みなさい~。良い夢を」
ジェネラルは全てを聞かなかったことにした。
世のお姉さま方を魅了する笑顔をミディに向けると、何事もなかったかのように、ドアを閉めて部屋に戻ろうとする。
が、そんなこと、あの王女が許すはずもない。
素早い動作で、ミディはドアと壁の隙間に靴を挟んだ。
ドアが閉まらないと焦るジェネラルの隙をつき、空いている隙間から手を入れ物凄い力で扉を全開した。
突然の出来事にジェネラルの体勢が崩れ、小さな叫びと共に、少年の体が廊下に飛び出す。慌てて体勢を整えた為、顔面から廊下にダイビングという無様な格好をさらす事はなかったのが、幸いだった。
不気味な笑みを浮かべつつ、ミディはジェネラルの腕を掴んだ。薄暗い廊下に照らされる王女の表情は、恐ろしいの一言に尽きる。
「じゃあ行きましょうか」
「行きましょうかって……、行くか尋ねたくせに、僕に拒否権なしですか!?」
半分引きずられた状態で連れて行かれようとしているのに抵抗してか、ジェネラルが叫ぶ。しかし、相手はミディだ。そんなことで、彼女の手が離される事はない。
最後まで抵抗し続けるジェネラルを見、ミディは溜息まじりに彼の名を呼ぶ。
「ジェネ……」
「なっ、何?」
不意に名を呼ばれ、一時抵抗を止めるジェネラル。
そんな彼を見、ミディはどこか遠い目で呟いた。
「世の中……、そんなものよ……」
「げっ、元凶が言うなあああ――——!」
だが、彼の叫びも空しく、王女と魔王の姿は、夜の闇へと吸い込まれ消えていった。
* * *
城の人間たちに見つからないようにジェネラルが連れて行かれたのは、城の外にある小さな小屋だった。
中には、たくさんの木箱や、何に使うのか分からない道具などが積み上げられている。どうやら、物置小屋のようだ。
「確か、この辺だったはず……」
小屋に入るなり、ミディは木箱の隙間や壁を調べている。
彼女の行動に不信感を抱きながらも、ジェネラルは黙って見ていた。
無理やり連れてこられたのだ。手伝う気も起らないのは当然だろう。と……。
「あっ、あったわ」
何かを見つけたのか、ミディが言葉を洩らした。そして、木箱の隙間に手を入れ、『何か』を押した。すると。
「ええっ!?」
ジェネラルが声を上げるのも、無理はなかった。
木の擦れる音がしたかと思うと一部の床の板が下がり、そこに人1人が入れるぐらいの穴が出現したのだ。驚きに目を見開いたまま穴を見つめているジェネラルに、ミディが声をかける。
「中に入るわよ」
「えっ? 中に入るの?」
「当たり前でしょ? さあ、入るわよ」
どこか不安そうに穴を見つめるジェネラルの背中を、言葉と共にミディが押す。
仕方なく彼女に従い、穴を覗き込んだ。てっきり闇の世界が広がっているのかと思ったが、うっすらと光が漏れており、穴の向こうに何かがある事を示唆していた。
穴の側面を見ると、梯子がつけられてあった。これを伝って、下へ降りるようだ。
腹をくくったのか、ジェネラルは体を持ち上げ、ゆっくりと梯子に足をかける。
穴は、思った程深くなく、すぐ地面に足がついた。
そこには小さな扉があった。その扉の横には、ランタンが掛けられており、ジェネラルを照らしている。彼が上で見た光は、どうやらこのランタンの明かりだったらしい。
降りてきたミディが、ドアをノックした。
まずは、1回。
少し間を置き、3回。
そして、2回。
まるで、何かの合図のようなノックの仕方に、ジェネラルは眉根に皺を寄せた。合図をする、と言う事は、限られた者しかこの中に入れないと言う事を意味するからだ。
ノックの仕方が合っていたのだろう。薄暗い通路に、鍵が解除される音が響き渡る。それを確認し、ミディはゆっくりとドアを開いた。
ランタンの光に目が慣れているジェネラルにとって、その部屋の光はあまりに眩し過ぎた。目の奥に変な痛みをを感じ、思わず手の甲で目を庇う。
痛みが引き、目を刺激しないよう、ゆっくりと手を外した時。
「えっ? ええええっ!? どうして!?」
目の前にいる人物たちを見て、ジェネラルは驚きの声を上げた。
見間違いかと目を擦るが、見える景色は変わらない。そこには……。
「よお、よく来たな、ミディ、ジェネラル」
「ミディ姉、ジェネラル、こんばんは」
と、ミディたちを笑顔で迎えるアクノリッジとシンクの姿があった。
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