毒におかされた隊長は解毒のため部下に抱かれる

めぐめぐ

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「んっ……ん……」

 リースが何か言おうと唇を動かすが、すぐさまレフに強く押し付けられ、言葉を奪われる。

 言葉にならなかった息は、吐息といき混じりのなまめかしい声となって、唇かられた。

 呼応こおうするかのように、レフからのキスが激しくなっていく。

 リースの唇が、生暖かいものでこじ開けられ、侵入してきたものが歯列しれつをなぞった。

 レフの舌だと理解した時、あらがうことの出来ないたかぶりが、そのまま彼の一部を口内へと受け入れてしまう。

(駄目なのに……、こんなこと……)

 思いながらも、彼の舌が歯の裏や口の奥の方までい、舐めまわされる感覚に、身体が跳ね上がりそうになる。

 生暖かい唾液が、リースの口内に流し込まれた。

「んふっ……んん……」

 くぐもった嬌声きょうせいと共に喉が動いた。
 少し驚いた表情を浮かべたが、すぐにリースの瞳がトロンと細められる。

 自分の体液が、愛する女性の中を侵食しんしょくしていると思うと、興奮がレフをさらに欲情させた。

 レフは唾液を多くまとわらせると、わざといやらしい音を立て、リースと舌を絡ませる。

 薬の催淫さいいん効果なのか、先ほどまで抵抗を見せていたリースも、ねだる様に自ら舌をつなげに来る。

 お互いの舌を激しく求め合う、ねばり気を帯びた水音が静かな部屋に響いた。

 絡めていた舌をいたのはレフだった。
 唇を離すと唾液にまみれた唇が糸を引き、名残惜なごりおしそうにリースの唇と繋がって切れた。

(どうしよう……欲しい……、もっと……)

 唇に残った唾液を舌で舐めとると、リースはうるんだ瞳で訴えかけた。

 理性を失いつつある上司を見て、レフは小さく笑う。

「後でたくさんあげますよ。でも今は……、あなたの全てを見せて……」

「あっ……」

 その言葉と同時に、彼の大きな手が羽織はおっていた上着をぎ取った。
 独房どくぼうで発見された当時の、薄いタンクトップ姿に戻る。

 薬の影響かキスのせいか、ったふくらみが薄っすら生地に浮き出ている。

 レフの呼吸が、少しの緊張と期待から激しくなった。そして、薄い生地の上から胸のつぼみこすった。

「いやぁっ! あぁ……」

 布ごしに感じる刺激の強さに、リースは思わず拒絶きょぜつの声をあげてしまった。しかし本心からの拒絶でないのは、手を止めた時に向けられる物欲ものほしそうな表情を見れば分かる。

「気持ちよさそうですね、隊長……。ここ、すごく硬くなってる……」

「そっ、そんな……あんっっ……だっ、だめ……そんな擦っ……んっ!」

 服の上から両方の蕾をいじられ、リースははしたなくあえぎ声をあげた。目はとろけ落ちそうなほどゆるみ、口では拒絶しながらも、切なそうに腰が揺れている。

 自分の指で乱れるリースを見て、レフの加虐心かぎゃくしんが刺激された。

「はぁ……隊長がこんな、いやらしい声を出すなんて……。他の部下たちが聞いたらどう思いますかね?」

 意地悪な質問をされ、リースは与えられる気持ちよさに耐えながら、慌てて口止めした。

 理性が保てず、本来もつ女性的な言葉づかいへと変わっているのにも気づかず。

「ああっ……だめ……、誰にも言わないで……」

「もちろん、言いませんよ? こんな可愛い声だなんて……、他の奴らに知られたくない。俺だけのために……もっともっと聞かせて下さいね?」

「そんな……、あぁっ、やっ!」

 リースの胸が浮いた。
 レフが服の上から胸に吸い付いたからだ。

 布越ぬのしに感じる、彼の舌。
 唾液が布に染み込み、少しの硬めの舌が、布に擦れながら敏感な突起とっきを刺激していく。さらに甘噛あまがみをし、歯の硬さでさらに擦り上げた。

(もう……だめ……。こんなの、もう……)

 快楽への欲求が、最後まで誇り高い自分でいようとする意思をぬりりつぶすを感じた。
 全てが塗り替えられた時、

「あぁ……はぁ……きもち……いい……」

 熱に浮かされ、リースの口から無意識に言葉が洩れた。

 そして夢中になって、胸に吸い付いている彼の頭を抱きしめると、誘うように耳元で懇願こんがんする。

「れふ……、もっと……もっとして……お願い……」

「……隊長」

 唇を離すと、ぞくりとするようなつやのある表情を浮かべ、彼を求めるリースの姿があった。
 
 愛する人が、薬にちた。

 自死じしを選んだ誇り高き隊長は、もういない。
 今、ここにいるのは、薬によって快楽への欲求が抑えられなくなった、一人の女だ。

 レフの心は複雑だった。

(隊長は……、薬のせいで俺を求めてるだけ……)

 自分の手で快楽に堕ちたリースに、激しい優越感を感じながらも、それの原因が薬の効果なのが、レフには辛かった。

 どれだけリースを求めても、リースが彼を求めるのは、本心からではないのだ。

 そんな考えを振り落とすように、レフは小さく頭を振った。

(それでも今は……、今だけは……、俺だけを見て欲しい……)

 そう心の中で呟きながら。
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