106 / 117
番外編4 「王子 結婚方法」③
しおりを挟む
日曜日の朝、午前11時に起きた私は、顔を洗うよりも朝食を食べるよりもまず先に、1つの段ボール箱を開けた。
それは前々から楽しみにしていた王子様の公式グッズが入っているものであった。数ヶ月前前に予約していたものが今朝届いていたらしくて、母親が受け取り私の部屋の前に置いておいてくれていたのだ。
ルンルン気分で部屋に持ち運ぶと、すぐにテープを剥がした。
人形だとかストラップだとか服だとか、色々なものが入っているはずで、また棚に並ぶ私のコレクションが増える――。
しかし、段ボールを開けるとまず目に飛び込んで来たのは、黒色のノートパソコンであった。黒色のマウスもセットで。
「ん……?」
身に覚えのない配達品。眠気が飛んで、私は何でこんなものが入っているのかを考えさせられた。
何これは。私はこんなものを頼んでないはずた。もしかしたら間違えて、注文してしまっただろうか。それとも……父か母が頼んだものが一緒に入っていたのか……。
「お母さんかお父さん通販でパソコン買った?」
とりあえず私が注文したグッズもちゃんと届いていることと、注文履歴にパソコンが無いことを確認した私はリビングに行って両親に聞いた。
「してない。知らんよ」
しかし、父と母から返ってきた言葉は全く知らないといったものであった。2人も首を横に振った……。
じゃあ一体この黒いパソコンは何だろう。私は何だか嫌な予感がしていた。
何が変って、そのパソコンは包装されていなくて、充電ケーブルみたいなものも付いていないのだ。
私は思いきってそのパソコンを起動してみることにした。そして、開いてみるとさらに不安が大きくなる。
パソコンは最初から電源がついていた。
画面も真っ黒なところににワードボックスがぽつりといるだけ。ただ使用するユーザーにパスワードを求めていた。
「このパソコン何w」
私は冗談のつもりでキーボードを操作して文字を入力した。
きっとパスワードが違いますと言われるだけ……そう思っていたのに黒いパソコンは私の言葉に返答した。
「このパソコンにはありとあらゆる全ての疑問の答えが入っています。あなたは気になる言葉を入力することでその答えを知ることができるでしょう。しかし、それにはルールがあります。答えを検索することができるのは1日に1度だけです。1日に1度であればどんな質問にも答えることができます。宇宙のことでも、未来の事でも。そう、このパソコンならね。」
――――その黒いパソコンの性能が本物だということはすぐに分かった。
私が昔好きだった人や私の貯金額なんかを、黒いパソコンはいとも簡単に言い当てた。普通のパソコンで調べても分かるはずのないことだ。
最初は危ない気がしていたのに、それがとんでもない性能をしていると分かったら、あっさりとその不安は消え去った。
何だ。悩む私に神様が与えてくださったものだったのか。やっぱり私は天に愛されている。
「王子様 私のことをどう思っている」
パソコンの性能を信じた私は手始めにこう検索してみることにした。
他にも検索したいことは山ほどあるのだけど、まずはこれ。黒いパソコンの詳細ついても、王子様の様々な個人情報も後回しにして、最近の悩みを解消したかった。
その為に私の元へ黒いパソコンは現れたのだとも思っていた。
しかし、表示された結果を見ると、私は目を疑った。
「彼はあなたのことをどうとも思っていません。あなたの存在を認識していません。」
衝動的に目の前のパソコンを壊してしまいそうだった。そんな訳がない、やはり嘘をつくものだったか。
そう思ったのだけど、私の中の私は黒いパソコンのほうが正しいと分かっていて…………悲しみが脳まで達すると私は泣いた。
今までに無いほど、長く泣いた。さすがに叫びはしなかったが、両親が起きている時間ならすすり泣く声でばれたと思う。
我慢できなかった。どうしようもなく、こぼれ出るものを抑えられ無かった。私がずっと愛していたのに、相手からは愛されていなかったなんて悲しすぎる。
初めて経験した。これが失恋か。
「……。はっ……ははっ……」
泣き疲れると、今度は笑った。どれだけ泣いたか分からないけど、日付が変わるほど時間が立ったのを確信していて、自分の中で悲しみに対する結論が出たのだ。
こんなこと許されるはずがない。諦めてやるもんか。私のことを知らないなら、思い知らせてやるまで。
「王子様 結婚方法」
私は絶対にあなたと結婚する――。
それは前々から楽しみにしていた王子様の公式グッズが入っているものであった。数ヶ月前前に予約していたものが今朝届いていたらしくて、母親が受け取り私の部屋の前に置いておいてくれていたのだ。
ルンルン気分で部屋に持ち運ぶと、すぐにテープを剥がした。
人形だとかストラップだとか服だとか、色々なものが入っているはずで、また棚に並ぶ私のコレクションが増える――。
しかし、段ボールを開けるとまず目に飛び込んで来たのは、黒色のノートパソコンであった。黒色のマウスもセットで。
「ん……?」
身に覚えのない配達品。眠気が飛んで、私は何でこんなものが入っているのかを考えさせられた。
何これは。私はこんなものを頼んでないはずた。もしかしたら間違えて、注文してしまっただろうか。それとも……父か母が頼んだものが一緒に入っていたのか……。
「お母さんかお父さん通販でパソコン買った?」
とりあえず私が注文したグッズもちゃんと届いていることと、注文履歴にパソコンが無いことを確認した私はリビングに行って両親に聞いた。
「してない。知らんよ」
しかし、父と母から返ってきた言葉は全く知らないといったものであった。2人も首を横に振った……。
じゃあ一体この黒いパソコンは何だろう。私は何だか嫌な予感がしていた。
何が変って、そのパソコンは包装されていなくて、充電ケーブルみたいなものも付いていないのだ。
私は思いきってそのパソコンを起動してみることにした。そして、開いてみるとさらに不安が大きくなる。
パソコンは最初から電源がついていた。
画面も真っ黒なところににワードボックスがぽつりといるだけ。ただ使用するユーザーにパスワードを求めていた。
「このパソコン何w」
私は冗談のつもりでキーボードを操作して文字を入力した。
きっとパスワードが違いますと言われるだけ……そう思っていたのに黒いパソコンは私の言葉に返答した。
「このパソコンにはありとあらゆる全ての疑問の答えが入っています。あなたは気になる言葉を入力することでその答えを知ることができるでしょう。しかし、それにはルールがあります。答えを検索することができるのは1日に1度だけです。1日に1度であればどんな質問にも答えることができます。宇宙のことでも、未来の事でも。そう、このパソコンならね。」
――――その黒いパソコンの性能が本物だということはすぐに分かった。
私が昔好きだった人や私の貯金額なんかを、黒いパソコンはいとも簡単に言い当てた。普通のパソコンで調べても分かるはずのないことだ。
最初は危ない気がしていたのに、それがとんでもない性能をしていると分かったら、あっさりとその不安は消え去った。
何だ。悩む私に神様が与えてくださったものだったのか。やっぱり私は天に愛されている。
「王子様 私のことをどう思っている」
パソコンの性能を信じた私は手始めにこう検索してみることにした。
他にも検索したいことは山ほどあるのだけど、まずはこれ。黒いパソコンの詳細ついても、王子様の様々な個人情報も後回しにして、最近の悩みを解消したかった。
その為に私の元へ黒いパソコンは現れたのだとも思っていた。
しかし、表示された結果を見ると、私は目を疑った。
「彼はあなたのことをどうとも思っていません。あなたの存在を認識していません。」
衝動的に目の前のパソコンを壊してしまいそうだった。そんな訳がない、やはり嘘をつくものだったか。
そう思ったのだけど、私の中の私は黒いパソコンのほうが正しいと分かっていて…………悲しみが脳まで達すると私は泣いた。
今までに無いほど、長く泣いた。さすがに叫びはしなかったが、両親が起きている時間ならすすり泣く声でばれたと思う。
我慢できなかった。どうしようもなく、こぼれ出るものを抑えられ無かった。私がずっと愛していたのに、相手からは愛されていなかったなんて悲しすぎる。
初めて経験した。これが失恋か。
「……。はっ……ははっ……」
泣き疲れると、今度は笑った。どれだけ泣いたか分からないけど、日付が変わるほど時間が立ったのを確信していて、自分の中で悲しみに対する結論が出たのだ。
こんなこと許されるはずがない。諦めてやるもんか。私のことを知らないなら、思い知らせてやるまで。
「王子様 結婚方法」
私は絶対にあなたと結婚する――。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる