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word34 「軽音楽部 部員一覧」②
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軽音楽部に入るのであれば、当然楽器を始めることが必要不可欠である。
ボーカルしか志望しませんとかだったら、ありだったりするのかもしれないけど、うちの高校の軽音楽部にはとんでもない歌唱力の子がいるし、僕にそんな手ぶらで軽音楽部に入るほどの自慢の歌声はないので、何か楽器を購入して練習することも入部の条件になる。
それをどうするか、何の楽器にするか。
考えながら「軽音楽部 部員一覧」の結果を見て、想像と全く違わなかった名前の列は1分と経たず閉じられた。
普通に考えたらまあギター安定だと思う。軽音楽部と言えば1番最初に浮かんでくるのはギターとかベースを持っている人だし、ドラムとかキーボードよりは始めやすくて購入しやすい気がする。
でも、ドラムとかキーボードもなくはない。演奏している姿を想像するとかっこいいし、珍しい楽器のほうが目立てる。今の僕には資金もあるし。
僕の財布には今ちょうど15万円もの大金があった。その理由は先週末も父が競馬をやっていたからだ。競馬で勝つ馬を検索して父に賭けてもらうことに味を占めた僕はもう1度作戦を実行した。
前回とは違って父が賭けたレース全てに僕も賭けて、なんと儲けたお金は30万近く。さすがに全てを僕の財布に入れてもらうことはできなかったけど、僕にとっては金銭感覚が狂いそうな15万円という額を所持することには成功した。
これだけあればどんな楽器でもいけるはず。良い服やゲーム機を何個も買える値段だ。かっこいいデザインのものも選べるんじゃないだろうか。
「まあでも……ギターかな……」
色々と頭の中で考えたけれど、僕はとりあえずそう決めて普通のスマホでどんなものがあるか、どのくらいの額で買えるかを調べ始めた。
「ギター 初心者 購入」
検索欄にギターと入力するとサジェストに頼ってその検索をする。
ギターについての知識がほぼ0だった僕のギター購入への検索は、まずギターにどんな種類があるのかということを知るところから始まった。
「アコースティックギターと……エレキギター……ヘー……」
そういったところの説明も1通り書いてくれているサイトを見つけた僕は目を細め、真剣に読んでいった。
弦の違いがどうだとか、初心者におすすめの値段はこのくらいだとか読んでいくとギター購入が現実に近づいてきて、それだけで弾けそうな気がしてきた。思い通り音が出せたらと思うと、面白くもなってくる。
添えられているギターの画像もカッコよくて、黒と白のデザインのそれが今部屋にあったらと思うと、部屋のコーディネートもレベルが上がると感じる。
それ自体が目標ではないけど、きっと上手く弾けた方がかっこいいと思ってもらえるだろうからモチベーションはすこぶる高かった。
「あ、エレキギターってヘッドホンで練習できるのか……」
決め手となったのはそれだった。僕は楽器を演奏するとなると、外に音を出さなきゃいけなくて、少なくとも家族には拙い演奏が聞かれると思っていたのだけれど、エレキギターであればイヤホンやヘッドホンに出力して自分だけが音を聞ける。
ボイトレみたいに布団の中に潜ってやんのかと考えていたのに、その必要が無い。僕はエレキギターを買おうとそれで決めた。
「好き放題弾けるじゃん……ええ、楽しそう」
その気になってきた僕。ちらりと時計を見ると、まだ17時にもなっていなかった。秒針が時を刻む音が良く聞こえる部屋の窓から、外を見ると明るい夕焼けも見える。
こういうのは勢いが大事だ。思い立ったが吉日――。
僕は急いで着替えを終えると、財布とスマホだけ持って外へ出た。
ボーカルしか志望しませんとかだったら、ありだったりするのかもしれないけど、うちの高校の軽音楽部にはとんでもない歌唱力の子がいるし、僕にそんな手ぶらで軽音楽部に入るほどの自慢の歌声はないので、何か楽器を購入して練習することも入部の条件になる。
それをどうするか、何の楽器にするか。
考えながら「軽音楽部 部員一覧」の結果を見て、想像と全く違わなかった名前の列は1分と経たず閉じられた。
普通に考えたらまあギター安定だと思う。軽音楽部と言えば1番最初に浮かんでくるのはギターとかベースを持っている人だし、ドラムとかキーボードよりは始めやすくて購入しやすい気がする。
でも、ドラムとかキーボードもなくはない。演奏している姿を想像するとかっこいいし、珍しい楽器のほうが目立てる。今の僕には資金もあるし。
僕の財布には今ちょうど15万円もの大金があった。その理由は先週末も父が競馬をやっていたからだ。競馬で勝つ馬を検索して父に賭けてもらうことに味を占めた僕はもう1度作戦を実行した。
前回とは違って父が賭けたレース全てに僕も賭けて、なんと儲けたお金は30万近く。さすがに全てを僕の財布に入れてもらうことはできなかったけど、僕にとっては金銭感覚が狂いそうな15万円という額を所持することには成功した。
これだけあればどんな楽器でもいけるはず。良い服やゲーム機を何個も買える値段だ。かっこいいデザインのものも選べるんじゃないだろうか。
「まあでも……ギターかな……」
色々と頭の中で考えたけれど、僕はとりあえずそう決めて普通のスマホでどんなものがあるか、どのくらいの額で買えるかを調べ始めた。
「ギター 初心者 購入」
検索欄にギターと入力するとサジェストに頼ってその検索をする。
ギターについての知識がほぼ0だった僕のギター購入への検索は、まずギターにどんな種類があるのかということを知るところから始まった。
「アコースティックギターと……エレキギター……ヘー……」
そういったところの説明も1通り書いてくれているサイトを見つけた僕は目を細め、真剣に読んでいった。
弦の違いがどうだとか、初心者におすすめの値段はこのくらいだとか読んでいくとギター購入が現実に近づいてきて、それだけで弾けそうな気がしてきた。思い通り音が出せたらと思うと、面白くもなってくる。
添えられているギターの画像もカッコよくて、黒と白のデザインのそれが今部屋にあったらと思うと、部屋のコーディネートもレベルが上がると感じる。
それ自体が目標ではないけど、きっと上手く弾けた方がかっこいいと思ってもらえるだろうからモチベーションはすこぶる高かった。
「あ、エレキギターってヘッドホンで練習できるのか……」
決め手となったのはそれだった。僕は楽器を演奏するとなると、外に音を出さなきゃいけなくて、少なくとも家族には拙い演奏が聞かれると思っていたのだけれど、エレキギターであればイヤホンやヘッドホンに出力して自分だけが音を聞ける。
ボイトレみたいに布団の中に潜ってやんのかと考えていたのに、その必要が無い。僕はエレキギターを買おうとそれで決めた。
「好き放題弾けるじゃん……ええ、楽しそう」
その気になってきた僕。ちらりと時計を見ると、まだ17時にもなっていなかった。秒針が時を刻む音が良く聞こえる部屋の窓から、外を見ると明るい夕焼けも見える。
こういうのは勢いが大事だ。思い立ったが吉日――。
僕は急いで着替えを終えると、財布とスマホだけ持って外へ出た。
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