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word33 「死後 世界」②
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死んだらどうなるのかを知るのって、生まれてきた意味を知ることにも繋がると思う。
もしこの検索結果が「無」という答えだったとしたら、生きているうちに何をしても終わりは皆同じ。その場合やはり、僕は生きる意味など無いのではと思ってしまう。人が生まれてきた意味など無いのだと――。
椅子の上で膝を抱えて座る。最近は朝晩どころか日中通して冷え込むようになった。季節の変わり目の急速な気温の変化にまだついていけていない僕は、半袖短パンという服装、靴下すら履いていない。
そんな冷たい足先まで暖めるように手で足を包んだ。
この寒さとは裏腹に僕の心はあったまっていた。これからは鬱陶しくなるのだろうけど久しぶりだからか新鮮でテンションが上がる。すっと鳥肌が立っていくのも気持ちよく感じる。
検索内容も冷ための内容。まるでスリリングなアクション映画を見る前のような気構えだった。
大きく息を吐くと僕はEnterキーに手を置いて、無という答えだったら嫌だなあ……それ以外で頼む……そんなことを思いながら押した。
「人間が死ぬと、霊魂となり現世に留まる稀なケースを覗いて、その魂は天界へ向かうことになります。そこで魂は新たな肉体を与えられるか、また別の生物として宇宙に生を受けるか、天界の大地の養分となり自然の一部となるか、この3通りのどれかになります。どれになるかは死ぬ人間の脳が絶命する寸前に選択します……」
人間が主に想像する死後の3通り、その全てが起こりうることで正解ということか……。さらに続く文を、僕は頭の中で朗読するようにゆっくり読んだ。
「再び生まれることと、自然の一部になることはほぼあなたの想像通りです。違うのは転生する場合に、全ての魂が集まってそこからまた1つの魂が生み出されるので前世みたいな概念は無いということくらいでしょうか。想像できないのは天界で生きるという選択をした時ですよね…………」
天界、その単語を耳にすると、脳には雲でできた世界やそこに大地も乗っかっている自然豊かで鮮やかな世界が浮かぶが……。
「天界は地球と比べて、自然はより広大で、文明はより発達しています。広さはその比ではありませんが、見た目は地球が幾度も進化を重ねたようなものです。雲が大地ではありません、宇宙とは別の時空にあるものです。自然を維持した創作物における何千年後の地球みたいな場所です。再び肉体を得た魂は、そこで第二の人生を送ります。そして、天界での人々の暮らしの本質は地球と変わりません。また何故肉体を得たのかも分からず、生まれてきた意味を求めたり求めなかったりして生きるだけです。」
人生レベル2といったところだろうか。今の自分からはまだまだ先の話で、望遠鏡ではるか遠くのそのまた先まで見ようとしているようだった。
自分の魂には果てしなく長い道が用意されているらしい……。
「もちろん違うところもたくさんあります。肉体は半永久的に若く、天界に行った後で転生することも自然の一部になることもできます。人間以外の知的生命体も存在します。自然にも都市にもあなたが見たことない物はごまんとあるでしょう。魔法も当たり前に使われています。そして、天界で暮らす魂の目標の1つに全ての魔法を習得するというものがあります。そうすれば神という存在になり、宇宙に舞い戻る力が与えられます。ただ、戻ったところで他に干渉することはできず、見ることしかできません。神まで辿り着いても、魂には何故そんな力が与えられ生まれてきたかの理由まで辿り着いた者は1人もいません。」
過去に検索したことがある魔法や神の話も出てきた。
そこまで読むと僕は椅子から立ち上がって、伸びをしながら天井を見上げる。天井のもっと上にあるものに焦点を合わせて。
黒いパソコンはまださらに文章を続ける。
「ちなみに人間が死んだときにする選択の比率は、新たな肉体を授かる41%、転生する25%、自然の一部になる34%です――」
今の僕から見ると、それは楽しみなような怖いような……。
きっとこれから僕が年を取って死ぬ間際になれば感じ方も変わってくるのだろう。ただ今は胸をざわつかせるだけでどういう風にも捉えられない。
窓を全開にして、外の空気を迎え入れる。冬の冷たさをより感じたい。そんな気分になったから。
窓から上半身を出して、室内からでは見られない星空を眺める。
「そっか……。どこまで行っても人には生まれた意味とか分かんないのか……」
でも、この黒いパソコンはその先すらもきっと何かしらの答えを示すのだろう……。
「…………」
「…………うん、寝るか」
もしこの検索結果が「無」という答えだったとしたら、生きているうちに何をしても終わりは皆同じ。その場合やはり、僕は生きる意味など無いのではと思ってしまう。人が生まれてきた意味など無いのだと――。
椅子の上で膝を抱えて座る。最近は朝晩どころか日中通して冷え込むようになった。季節の変わり目の急速な気温の変化にまだついていけていない僕は、半袖短パンという服装、靴下すら履いていない。
そんな冷たい足先まで暖めるように手で足を包んだ。
この寒さとは裏腹に僕の心はあったまっていた。これからは鬱陶しくなるのだろうけど久しぶりだからか新鮮でテンションが上がる。すっと鳥肌が立っていくのも気持ちよく感じる。
検索内容も冷ための内容。まるでスリリングなアクション映画を見る前のような気構えだった。
大きく息を吐くと僕はEnterキーに手を置いて、無という答えだったら嫌だなあ……それ以外で頼む……そんなことを思いながら押した。
「人間が死ぬと、霊魂となり現世に留まる稀なケースを覗いて、その魂は天界へ向かうことになります。そこで魂は新たな肉体を与えられるか、また別の生物として宇宙に生を受けるか、天界の大地の養分となり自然の一部となるか、この3通りのどれかになります。どれになるかは死ぬ人間の脳が絶命する寸前に選択します……」
人間が主に想像する死後の3通り、その全てが起こりうることで正解ということか……。さらに続く文を、僕は頭の中で朗読するようにゆっくり読んだ。
「再び生まれることと、自然の一部になることはほぼあなたの想像通りです。違うのは転生する場合に、全ての魂が集まってそこからまた1つの魂が生み出されるので前世みたいな概念は無いということくらいでしょうか。想像できないのは天界で生きるという選択をした時ですよね…………」
天界、その単語を耳にすると、脳には雲でできた世界やそこに大地も乗っかっている自然豊かで鮮やかな世界が浮かぶが……。
「天界は地球と比べて、自然はより広大で、文明はより発達しています。広さはその比ではありませんが、見た目は地球が幾度も進化を重ねたようなものです。雲が大地ではありません、宇宙とは別の時空にあるものです。自然を維持した創作物における何千年後の地球みたいな場所です。再び肉体を得た魂は、そこで第二の人生を送ります。そして、天界での人々の暮らしの本質は地球と変わりません。また何故肉体を得たのかも分からず、生まれてきた意味を求めたり求めなかったりして生きるだけです。」
人生レベル2といったところだろうか。今の自分からはまだまだ先の話で、望遠鏡ではるか遠くのそのまた先まで見ようとしているようだった。
自分の魂には果てしなく長い道が用意されているらしい……。
「もちろん違うところもたくさんあります。肉体は半永久的に若く、天界に行った後で転生することも自然の一部になることもできます。人間以外の知的生命体も存在します。自然にも都市にもあなたが見たことない物はごまんとあるでしょう。魔法も当たり前に使われています。そして、天界で暮らす魂の目標の1つに全ての魔法を習得するというものがあります。そうすれば神という存在になり、宇宙に舞い戻る力が与えられます。ただ、戻ったところで他に干渉することはできず、見ることしかできません。神まで辿り着いても、魂には何故そんな力が与えられ生まれてきたかの理由まで辿り着いた者は1人もいません。」
過去に検索したことがある魔法や神の話も出てきた。
そこまで読むと僕は椅子から立ち上がって、伸びをしながら天井を見上げる。天井のもっと上にあるものに焦点を合わせて。
黒いパソコンはまださらに文章を続ける。
「ちなみに人間が死んだときにする選択の比率は、新たな肉体を授かる41%、転生する25%、自然の一部になる34%です――」
今の僕から見ると、それは楽しみなような怖いような……。
きっとこれから僕が年を取って死ぬ間際になれば感じ方も変わってくるのだろう。ただ今は胸をざわつかせるだけでどういう風にも捉えられない。
窓を全開にして、外の空気を迎え入れる。冬の冷たさをより感じたい。そんな気分になったから。
窓から上半身を出して、室内からでは見られない星空を眺める。
「そっか……。どこまで行っても人には生まれた意味とか分かんないのか……」
でも、この黒いパソコンはその先すらもきっと何かしらの答えを示すのだろう……。
「…………」
「…………うん、寝るか」
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